WATWING「uNi」インタビュー|ありのままの自分たちで手を取り合い、新しい世界へ (2/3)

過去を経て、未来につながっていく

──2曲目の「Echoes」は爽快なロックナンバーで、こちらも新たなスタートにふさわしい曲ですね。WATWINGには珍しいシンセロック的なアプローチが新鮮でした。

古幡 そうなんですよ。

桑山隆太 これまでのWATWINGの曲だと、雰囲気は「HERO」に近いかなと思ったんですけど、サウンドが新鮮ですよね。イントロの音やリズム感がすごく好きな曲です。

八村 個人的にはWATWINGの音楽にロックをどんどん導入していきたくて。それで、僕が作曲に携わらせてもらった「I don't care」(2023年12月に配信リリースされた楽曲)や「HELL FIRE」(2024年11月に配信リリースされた楽曲)には、ロックの要素を取り入れています。そういった思いがあったので、「Echoes」のデモを聴いたときはうれしかったですね。

──「ロックがやりたい」というのは、八村さんがWATWINGにロックサウンドが似合うと思ったから?

八村 そうですね。僕らはステージに立ってるとき、ありのままでいること、リアルな自分たちの思いを届けるということを大切にしていて。そういうところがロックミュージシャンの姿勢と近いような気がしてるんです。個人的にも、ロックバンドのMCを参考にさせてもらったりしています。

髙橋 「Echoes」は歌っていて、つい熱くなっちゃうような曲です。グループを結成してすぐコロナ禍になってしまって、思うように活動できなくて悩んだり苦しんでたりしたけど、今だったらやりたいことができるし、Windyに会いに行ける……そんなことを感じるんですよね。歌詞に「君に預けた言葉が 今も未来照らしてるよ」という言葉が出てくるんですけど、活動初期の頃にWindyに向けて「こういう夢を叶えたい」と言っていたことを改めて胸に抱きながら、これまで以上に力強いエネルギーで前に進んでいくイメージを僕は持ってます。

──確かにWATWINGのこれまでの道のりを彷彿とさせる楽曲ですよね。「答えのない夜を超え」「失った夢の欠片も きっと意味を変え輝くよ」といったワードから、過去の葛藤を超えて走り出すWATWINGの姿が思い浮かびます。

八村 歌詞を書いてくださったgbさんも、「過去を経て未来につながっていくようなニュアンスと、勇気を持って走り出していくイメージを込めた」とおっしゃっていました。

古幡 僕は「二人描いた夢が 今も未来繋いでいるよ」という歌詞が好きです。「二人」という言葉に対して、いろんな考え方ができるなって。特定の誰かというよりは、自分が人生を歩んでいくにあたって、必ずそこに“人”の存在があるなと最近思うんです。わかりやすく言うと、やっぱり自分1人じゃ何もできない。「二人」という対象を抽象的に描いてくださってるところが印象的でした。Windyの存在はその「二人」に必ず入ってますし、メンバーだったり、支えてくださるスタッフさんだったり、いろんな人に当てはめられる。「uNi」を感じるフレーズで、心に響きました。

桑山 でも、この曲はキーが高いよね。レコーディングのとき、みんなけっこう苦戦したんじゃないかな。

──福澤さんの歌い出しの「Shine on through」から澄み渡るような空が見えましたよ。

福澤 最初に聴いたときに、さわやかなサウンドから、朝の日常の光景が思い浮かんで。歌い出しは特に“朝”をめちゃくちゃ意識しました。

福澤希空

福澤希空

髙橋 ちなみに彼、朝弱いですけどね。

福澤 朝の日常っていいですよね。朝日を浴びながら、コーヒーを飲んでる感じ。

古幡 ちなみに彼、コーヒー飲めないです。

福澤 想像するのが好きなんです(笑)。

曉の声を聴いてると、めっちゃ安心するんです

──3曲目の「memories」はファンクサウンドとダンサブルなビートで始まるラブソングです。

鈴木曉 ベースとギターが立っている曲だなと思います。

八村 ファンキーな始まり方で、リズミカルなんですけど、サビのメロディは切なくてしっとりした感じもあるんですよね。

──歌詞も叙情的ですよね。大切な人を探している内容で、切なさはありつつ、未来を信じて前に向かっていく強さを感じました。

八村 僕はこの曲に“和”を感じるんですよ。サビに「季節ヒラヒラ巡り」という歌詞がありますが、四季ってやっぱり日本のよさだと思っていて。ファンキーで洋楽的な雰囲気のサウンドに、四季を感じさせるような歌詞が乗っていて、gbさんはすごいなと思いました。この曲では「季節が移りゆく中でも変わらないものがある」ということが描かれてるんですが、僕も幕張公演の最後のMCで同じようなことを言ったんですよ。「いろんなことが変わってくけど、そんな中で唯一変わらないのは最初から持ってる『皆さんのことを応援してる』という思いです」って。この曲を聴いて、そのMCを思い出しました。形は変わっていくけれど、思いは変わらない。そんな意思の強さがメロディアスな曲に乗っているところが好きです。

鈴木 僕がサビのパートを主に歌ってるんですけど、音程の上下の差が激しくて難しいですね。

古幡 でも、「季節ヒラヒラ」の曉の声、すごく合ってるよ。透明感があって、はかなげな声色。あそこは何回も聴いちゃいます。

髙橋 曉の声を聴いてると、めっちゃ安心するんですよ。メンバーですけど、いちファンです。僕は周りの環境の変化に移り変わりに対して怖いなと思っちゃうことがあるんですけど、そういうときに「memories」のサビを聴くと、その変化も楽しんでいいんだと思える。包み込んでくれるような、安心感がある曉の声からめちゃくちゃパワーをもらえます。

髙橋颯

髙橋颯

鈴木 ありがとう。うれしい。

八村 この前リリースイベントで初めて「memories」をパフォーマンスしたけど、楽しかったよね。ラストにかけてノッてくる感じがあって。

古幡 うん。ラストのサビは6人が1人ずつ順番に歌ってるんですけど、目まぐるしくリードボーカルが変わっていくスピード感が好きなんですよ。お客さんにも主人公が代わる代わる出てくる感じを楽しんでもらえたらいいなと感じました。

──4曲目の「STEPPIN'」はゴスペルっぽいクラップの入ったグルーヴ感がある曲で、全体的にギラギラした雰囲気がありますね。

鈴木 管楽器が鳴っていて、ゴージャスですよね。AメロからBメロにかけて細かい音が右からも左からも流れていて、音フェチとしてはそれがすごく楽しいです。まだダンスの振付はついていないけど、どんな感じになるんだろう?

八村 どういうパフォーマンスができるのか楽しみだよね。大人な雰囲気がある曲だし。もともとやりたい方向性の楽曲だったから、すごくうれしかったです。

──歌詞からは、自分の殻を破って一歩踏み出すことの大切さを感じます。

髙橋 勇気をもらえる歌詞ですよね。新しいことに挑戦するのが怖いときもあるけど、「STEPPIN’」を聴くと「やってみよう」とポジティブに思える。ステップを踏むようにラフに進んでいいんだと感じられて、すごく好きな曲です。

──WATWINGはグルーヴに乗るのがうまいというイメージがあって。

八村 これまでの曲で言うと、「Turn it up」みたいな曲ということですよね。

古幡 「DANCE NOW」とか。

鈴木 「STEPPIN'」はレコーディングのとき、「“後ろノリ”を意識してほしい」というディレクションがスタッフさんからありました。いつもよりゆっくりリズムにノることで、グルーヴ感が出るので。確かに聴き比べてみると、オンタイムでハメるよりも、ちょっと後ろのタイミングで乗ったほうが聴いていて癖になる。それは発見でしたね。

感情を爆発させるロックナンバー

──EPの最後を飾るのは、11月に配信リリースされたラウドなロックナンバー「HELL FIRE」です。八村さんが主演を務めたサスペンスホラー映画「他人は地獄だ」の主題歌で、作詞は八村さん自身、作曲クレジットには音楽プロデューサーのKosuke Craneさん、そして八村さん、古幡さん、鈴木さん、髙橋さんの名前が並んでいます。

八村 そうなんです。

──12月にWATWINGが出演したイベント「YES! FES! by 7ORDER×ナタリー」で、1曲目に「HELL FIRE」を披露していましたが、ものすごい爆発力でした。この曲でまた1つ殻を破りましたね。

八村 せっかくのタイアップだから、映画の雰囲気を生かして今までやったことのないサウンドに挑戦してみたかったんですよ。もしタイアップなしに突然「HELL FIRE」みたいなメタルサウンドの曲を出したら、ファンの方々から「WATWINGどうなっちゃうんだろう?」という反応があるかもしれないけど、映画の雰囲気に合った主題歌だったら、違和感なく受け入れてもらえるだろうなって。実はもともと主題歌はヒップホップの方向性で考えていたんです。でも、途中で「違うな」と。ロックサウンドに感情を乗せて爆発させるのが、WATWINGのライブに合うんじゃないかなと思いました。

──初めての映画主題歌なのに今までにない攻め方をしていて、すごく勇気があるなと思ったんですけど、映画の雰囲気を踏まえて新しい挑戦しようということだったんですね。

八村 あー、タイアップだからこそ慎重になるケースもあるのか。そこは逆の発想だったかもしれない(笑)。

──Kosuke Craneさんが作ったトラックにWATWINGのメンバーでメロディを入れていったという話がライブナタリーの対談でチラッと出ていましたが(参照:7ORDER主催イベント「YES! FES!」始動!WATWING、氣志團招いてダンスとバンドで魅せる)、そもそもどういう経緯で皆さんが作曲に携わることになったんですか?

八村 「I don't care」(八村が出演したドラマ「佐原先生と土岐くん」主題歌)のときもそうだったんですけど、自分がお芝居で参加した作品の主題歌を作ることが、僕のやりたいことの1つで。映画「他人は地獄だ」の主題歌をやらせてもらえるという話を聞いたときに、どうにかして音楽制作に携わりたいなと思ったんです。映画の主人公を一番理解している自分が作ったら、主題歌の説得力も増すんじゃないかという気持ちもあって。

──それは間違いないですね。

八村 「I don't care」は曉に協力してもらいながらも、けっこう自分主導で作曲させてもらったんですけど、歌うのは6人だし、みんなで考えたほうがメロディのアイデアも増えるから、今回はメンバー複数人で作曲に挑んでいいものを作りたいなと思って。それで、まず個人的にもお世話になっているKosuke Craneくんに「トラックを作ってほしいんだよね」という話をしました。さっきも言った通り、最初はヒップホップテイストでオーダーしたんですけど、途中で「ごめん! こっちの方向でいきたい」ってリファレンスでLinkin Parkを出したりして。そしたらメンバー4人がスタジオに入るにタイミングで、Kosukeくんが2種類のトラックを持ってきてくれたんです。「どっちがいい?」と聞かれて聴き比べたときに、僕ら4人とも「こっちっしょ!」ってロックのほうを指差したら、Kosukeくんも「俺もこっちがいいと思った」と言ってくれました。