音楽ナタリー Power Push - WANIMA

リスナー巻き込む急成長バンドが今歌う新旧曲

「藤のはじまり」

──今作「Think That...」は4曲中2曲が既発曲です。1曲目「終わりのはじまり」はデモCDの収録曲だと思うんですが、今回入れたのはなぜですか?

松本 デモで出したことで俺らの中では完結してたんですけど、でもデモだと、言っても数千枚しか売れてないから。ライブでたまにやってたんですけど、反応してくれるお客さんもいる反面、知らない人も多かったんで、今かなって。

──前作や最近のフェスでWANIMAを知った人はデモCDを聴けないですしね。

松本 そうなんですよね。デモCDがオークションサイトとかですごい値段で売られてたんですよ。コピーしたやつとか。やっぱりそれじゃいけないなと思って。

藤原 聴きたい人みんなが聴けたらなと。

──デモの曲っていくつもあると思うんですけど、その中からこの曲を入れたのは?

松本 わかりやすいかなと思って。前に街中でファンの方に会ったとき「♪ラララララララ~」ってこの曲の冒頭部分を歌ってもらったことがあったんです。そういうのを聴くと、待ってくれてる人おるんかなって思って……入れちゃった! あと前作「Can Not Behaved!!」の1曲目「Hey Lady」が「アー」のシンガロングから始まるので、今回もシンガロングから始まったらいいかなって。

西田光真(G, Cho)

──いつ頃できた曲なんですか?

松本 これは藤くん(藤原)に出会う前です。

西田 俺が上京したての頃だから……6年前くらいですね。

藤原 僕が初めてWANIMAのライブを観たときにもやってました。自分がWANIMAに入って、初めてレコーディングしたのがこの曲です。

松本 つまり「藤のはじまり」ってこと? 違うか(笑)。「始まりか終わりを決めるのは君だ」ってカッコつけて言ってますけど、その通り。そのことを歌いたくて作りました。

──カッコつけてはないと思いますけど。

松本 いや、俺「~だ」とか「~だよ」とか言うの苦手なんですけど、「だ」って言っちゃったんです。いつもはなんか引いちゃうんですよね。ライブで熱いこと言う人いるじゃないですか。「すべてわかっとるよ」「大丈夫だよ」みたいな。そういうの苦手なんですよ。

──上から一方的に「君は大丈夫だ」って言うのが苦手なんですかね。

松本 はい。「いやいやいや、お前は大丈夫かもしれんけど」って思っちゃう。大丈夫じゃない人はそう言われても大丈夫って思えんと思う。だから「大丈夫だよ」って言わんで「大丈夫だよ」って思ってるってことを伝えたいなって思ってるんですよ。「こうやったらいいよ」とか「がんばれ」って一方的に言うんじゃなくて、一緒になって困難を乗り越えたい。

エッチな歌を歌うのはサザンかWANIMAか

──2曲目は「いいから」です。

松本 はい、エッチな歌。得意分野です!

──この曲はライブでもすでによく披露していますよね。

松本 はい。覚えやすいのかライブでもお客さんがすごく歌ってくれるので、いろんなバンドの方から「あれ、本当に新曲?」って言われます。

WANIMA

──ライブではシンガロングを促してますよね。エッチな曲をみんなに歌わせてるっていうのも面白いなあと思って。

松本 WANIMAってエッチな歌から真面目な歌まで振り幅があると思うんですけど、ただエッチなだけやなくて、エロカッコいいっていうのが出たらいいなって思ってます。ここまでエッチな歌を歌うのは、最近だとサザンオールスターズかWANIMAかくらいですよ(笑)。

──前作収録の「BIG UP」もそうですけど、WANIMAはなぜエッチな曲を歌うんですか?

松本 俺の好きなアーティストたちがものすごくストレートにエッチなこと歌ってたんですけど、そんなにエッチに聞こえなかったんです。餓鬼レンジャーとか。あと海外のヒップホップとかレゲエとかってMVでエッチなシーンがものすごく出るじゃないですか。それがカッコいいんですよ。で、それをバンドでやってみようかなっていう。

──ライブでみんなで歌ってると、むしろさわやかな曲に思えます。

松本 本当ですか? エッチに聞こえないようにしたいんで、うれしいです。

“今の「HOPE」”

──エッチな歌に続く3曲目「HOPE」は、明るいWANIMAのイメージとは少し離れたネガティブな曲で。この曲も既発曲ですね。

松本 これは東京の生活にうまくなじめなかったときに作った曲です。光真が東京に出てきて、でもドラマーは見つからずっていうときに。

西田 ドラマーがいないときに作ったから、その大変さが出てる。

松本 それだけじゃないけどね。いろいろな大変なことがあった。

松本健太(Vo, B)

──当時からアレンジなどは加えましたか?

松本 はい、けっこう加えました。レゲエ調のところとか。

藤原 あとはサビを3声にしてみたり、ギターソロ入れてみたり。なので“今の「HOPE」”になりました。

松本 この曲はライブであんまり演奏してなかったので、ライブを想定しながらアレンジしました。3声にしたらみんなで歌えるんじゃないかなとか。

──ライブでどんなふうに育っていくのか楽しみですね。

松本 はい。でも実は歌うのが大変なんですよ。

藤原 「大変で大変で」って歌うのが大変っていう(笑)。

松本 ブレスがあんまりなくて。

──ブレスがないのってこの曲に限らず、WANIMAの曲全体的に言えますよね。得意なのかと思ってました。

松本 いや、俺、詰め込みすぎなんですよね。欲張っちゃうんです。スタジオで作るときはキーも高くして気持ちいい感じなんですけど、ライブでやると何曲も続けて歌うからキツい(笑)。

WANIMA「Think That... Tour」
  • 2015年9月1日(火)宮崎県 SR BOX
  • 2015年9月2日(水)鹿児島県 SR HALL
  • 2015年9月5日(土)広島県 ナミキジャンクション
  • 2015年9月6日(日)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2015年9月10日(木)石川県 vanvan V4
  • 2015年9月11日(金)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2015年9月13日(日)宮城県 仙台MACANA
  • 2015年9月23日(水・祝)愛媛県 Wstudio RED
  • 2015年9月25日(金)香川県 高松MONSTER
  • 2015年9月26日(土)大阪府 Music Club JANUS
  • 2015年9月27日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2015年10月4日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
WANIMA(ワニマ)
WANIMA

熊本出身の松本健太(Vo, B)、西田光真(G, Cho)を中心に2010年初夏に結成されたメロディックパンクバンド。2012年12月に同じく熊本出身の藤原弘樹(Dr, Cho)が加入し、現在の編成となる。Ken YokoyamaやHOTSQUALL、FOUR GET ME A NOTSなどさまざまなバンドのツアーに参加し、各地で知名度を高める。これまでに制作したデモ作品3枚は、現在までに手売りで4000枚を突破。2014年にPIZZA OF DEATHが、レーベルとして初めてマネジメント契約をしたことを発表。同年10月、同レーベルより1stミニアルバム「Can Not Behaved!!」をリリースした。「VIVA LA ROCK 2015」「京都大作戦2015 ~いっ祭 がっ祭 感じな祭!~」といった各地のフェスやイベントに多数出演し、各会場で軒並み入場規制がかかるほどの動員を集める中、8月には4曲入りCD「Think That...」を発表する。