WANIMAインタビュー|青春の1ページを描き出す「inゼリー」テーマソング「Rolling Days」

WANIMAのニューシングル「Rolling Days」が8月14日に配信リリースされた。

森永製菓による部活や受験に励む全国の高校生たちを応援するキャンペーン「その全力にさしいれを。学校にinゼリー」のアンバサダーに就任したWANIMA。「Rolling Days」はこのキャンペーンのテーマソングで、疾走感のあるサウンドに葛藤や焦燥を表現した歌詞を乗せた、青春感のある1曲になっている。

音楽ナタリーではメンバーにインタビューし、「Rolling Days」の制作エピソードに加え、2022年3月から開催しているロングツアー「Catch Up TOUR -1Time 1Chance-」の所感や、開催を目前に控えた3度目の主催フェス「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL」への意気込みなどを聞いた。

取材・文 / 酒匂里奈撮影 / YOSHIHITO KOBA

旅の終わりはアリーナで

──2022年3月から開催中のロングツアー「Catch Up TOUR -1Time 1Chance-」のファイナル公演が、11月に東京・有明アリーナ、兵庫・ワールド記念ホールで行われることが先日発表されました。79公演を終えた現時点での手応えや各地を巡った思いを教えてください。

KENTA(Vo, B) 79本、毎回セットリストを変えて挑んで、今のWANIMAのヒリついた部分を届けられたらと思いながら回ってきました。場所にこだわりたいと思っていたから、行ったことのない会場を自分たちで選びながらやってきましたし、これまでとはまた違う経験ができた。存在意義を感じられた、やる意味のあるツアーになっていると思います。

──ホール公演もありつつ、ライブハウス公演も多いですね。

KENTA 今回のツアーでひさびさにライブハウスに行くというお客さんもかなりいて。ライブハウスは非現実的な空間やし、独自のルールがある場所。みんなの配慮や思いやりがある状態でしか成り立たん空間やから、そういう部分を常連のお客さんにも、新規のお客さんにもわかってほしかった。俺らは昔からライブハウスに遊びに行っていて、その文化の中で育ったけど、初めて来る子たちからするとびっくりする場所やと思うから。そこで嫌な思いをしたら、きっとWANIMAの音楽を聴いてその経験がフラッシュバックしてしまう。だから、楽しみながらもかなり気を遣いながらライブをやっていました。若いときのように勢いでガーッとやるだけじゃなくて、ちょっと冷静にならんといかん部分もある。そこは経験を積み重ねてきたからこそ意識できたことかなと思います。

──2022年3月に始まり2024年11月にフィナーレを迎えるという、ここまで長いツアーはバンドとしても初かと思います。

KENTA ツアーの途中でアルバム「Catch Up」をリリースして、そこからまた旅が続いて。正直こんなに長いツアーになるとは想像していなかった。やからこそ、できるだけたくさんの人と一緒に旅の終わりを迎えたいと思って、アリーナでファイナル公演を開催することにしました。

KENTA(Vo, B)

KENTA(Vo, B)

KO-SHIN(G, Cho) ライブハウスをたくさん回ったことで、ライブ力みたいな部分で自信が付きました。毎回セットリストを変えていると対応しなきゃいけないことが都度違ってくるから、かなり鍛えられたと思います。

FUJI(Dr, Cho) このツアーはただ長くダラダラ回っていたわけじゃなくて、さっきKENTAも言ったように、やる意味のあるものになっていて。11月のツアーファイナルは、79本のライブを積み重ねてきたWANIMAだからこそ見せられるアリーナ公演になると確信してるので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

──私は6月に行われた東京・Zepp Haneda(TOKYO)公演に伺いまして(参照:WANIMAが“ライブハウスでの戦い方”示した一夜、アンコールはまさかの10曲「これがライブやぞ!!」)。初期衝動を感じたというか、アグレッシブなライブに圧倒されました。ライブハウスやホールで“戦い方”を変えているとMCでおっしゃっていたのが印象的だったんですが、具体的にどのように変えているんでしょうか?

KENTA 届け方が違います。ライブハウスは単純にお客さんとの距離が近いし、その場でしか伝わらんこともあると思う。わりとごまかしが利くというか、勢い任せでできるし、それが逆によかったりもする。ホールは体を慣らすというか馴染ませるように、楽器は大きくのびのびと鳴らすようにしていて。ライブハウスで得た勢いをホールで生かせたり、ホールで得たダイナミックなステージングをライブハウスに持ってこられたりもするし、いい循環になってます。

KO-SHIN やること自体はそんなに変わらないですが、ホールは広い分、客席のうしろのほうまでしっかり届けることを意識しています。

FUJI 自分の場合、大きく変わるのは演奏ですね。場所によってお客さんの聴き方、楽しみ方が違うので。アゲるビート感でいくのか、聴かせるビート感でいくのか、はたまたその間を取るのか。場所に合わせてしっかり届けられるように、自分の中では細かいところを意識していて。ただ、どんな場所でも「今のWANIMAを伝える」という思いは変わらないです。

高校時代を思い出しながら作った「Rolling Days」

──さて、WANIMAは先日森永製菓が全国の高校生を応援するキャンペーン「その全力にさしいれを。学校にinゼリー」のアンバサダーに就任しました。テーマソングである「Rolling Days」はオファーを受けてから書き下ろした曲なんでしょうか?

KENTA そうです。自分の高校時代はどうやったかな、卒業して上京するときどんな気持ちやったかなと思い返しながら作らせてもらいました。若い頃はイライラしていたというか、とにかく田舎から抜け出したいと思いながら日々生活してたから……昔を思い出して懐かしいというよりは、嫌な気持ちになりながら作りましたね。

──KO-SHINさん、FUJIさんは「Rolling Days」のデモを聞いた際にどんな感想を持ちましたか?

KO-SHIN 「inゼリー」の企画で、高校生たちの前でライブをすることも決まっていたので、この曲だったら一緒に青春の1ページを刻めるなと。高校生に限らず幅広い年代の方に向けた歌詞になっていて、年齢関係なく、一緒に青春できる曲だなと思いました。

KO-SHIN(G, Cho)

KO-SHIN(G, Cho)

FUJI 最初にデモを聴いたのがドラムのフレーズを決めるタイミングで。いつもKENTAとKO-SHINが演奏して聴かせてくれるときに、曲に込められた思いの一端を感じるんです。今回は企画的には高校生を応援するというものだったけど、最初に聴いたときに、「がんばれ! 負けるな!」とただストレートに伝える曲じゃないなと。メロディラインやコードから、内に秘めた熱い思いを表現していることが伝わってきました。だからこの曲に合うように、軽快なドラムじゃなくて、どっしりとしたドラムを叩こうと意識しました。

KO-SHIN ギターに関しては、聴いた人が拳を上げたくなるような疾走感のあるサウンドを追求しました。

──まさに疾走感のある、ライブ映えしそうな曲だと感じました。歌詞に関しては、先ほどKENTAさんが「嫌な気持ちになりながら作った」とおっしゃってましたが、「神も仏もいない空」「予報雨のち雨」というような少し暗い表現もありますね。

KENTA きれいごとじゃなくて「現実はこうだよね」ということを歌いたくて。上京したときは希望に満ちあふれていたけど、同時にかなり不安やったし、尖ってた。そういう温度感を声に乗せて歌いました。いろんなことを抱えとったあの頃の自分を救えるのは、今の自分だけやとも思いながら。聴いてくれる人もそれぞれの生活の中で、自分の体に染み付いたものと戦って、いろんなことを割り切りながら生きていると思うので、自分の経験から書いた歌詞ではありますが、刺さる言葉が1つでもあったらいいなと思います。