Veats Shibuya特集|五感で楽しむ新ライブハウスを杏沙子が訪問!店長&デザイナーによるこだわり解説も

「さすがビクター」って言われなきゃダメ

──音響にも力が入っていますね。

川上 正直、ライブハウスの規模としてはケタ違いの予算が投入されています。メインのPA卓も、最新鋭すぎて僕も知らない機材だったんで「何この卓?」みたいな。担当の人間に言わせると、「これからの時代にスタンダードになっていく機材を今のタイミングで採用した」ということです。メインスピーカーも、これで野外フェスができるレベルのものが入っていて。サウンド的な方向性が決まっているという意味では、ほかと一線を画すという言い方をしてもいいんじゃないですかね。

Veats Shibuya内の様子。

──ちなみにどんな方向性の音なんでしょう?

川上 僕の拙い表現力で言うなら、“外国人っぽい”です(笑)。驚くほどクリアに出て、そしてすぐ消える。いわゆるライブハウスの音に慣れている人だと、逆に「もっと回したいな」と思うかもしれない。それくらい、ものすごくソリッドですね。やはり「さすがビクター」って言われなきゃダメだろというところで、音響機材に関しては最新鋭のものが入っています。

若松 フロアの音だけじゃなくて、ライブレコーディングができる機材とか配信系の機材も充実してますよね。

──ラインの音と映像をまとめて配信に送るためのセッティングが楽にできるみたいな?

川上 そうですね。カメラ映像だったり、音響もそのまま引っこ抜けるようにパネルが付けてあって。今までだったらPA卓に「ラインくださーい」ってケーブル引っ張っていかなきゃいけなかったのが、システムとしてすでに用意されているんです。これからの時代に求められるものはひと通り備えておこうということで。

ステージの様子。

──ステージ照明も、見たことのない数がぶら下がっていました。

川上 僕もあれだけLEDが付いているステージは正直見たことないですね。照明の向きを変えるにも竿で振る必要がなくて、すべてプログラミングで完結できるんです。ものすごいハイパワーのきれいなLEDですし、おおむね持ち込まずともステージが成立するんじゃないかな。

──というか、持ち込む余地がなさそうですよね。

川上 持ち込むなと言わんばかりの多さ(笑)。

数字も取って、人々の記憶にも残る

──このお店は、ライブハウスシーンにおいてどういう立ち位置になっていくんでしょうか?

川上 このハコ自体は、渋谷にできた1つのガラスの入れ物だと思うんですよ。いろんな人が来て、そこにいろんなものを注いでいく。「今日は赤だね」とか「青だね」みたいに、全然違うものを注がれても大丈夫というか。翌日にはいきなりゴールドとシルバーが注がれるかもしれないけど、それにも全然耐えうる強度がある。その中でVeatsなりの何かを発信できる基地になっていけば、後発で渋谷にできたハコとしての意味合いは出てくるかなと思います。ふらっと飲みに来る場所として定着してくれてもいいし、誰かの居場所みたいになれたらいいですよね。

エントランス

──ライブ目当てではなく、例えば川上さんに会いに来るみたいな。

川上 (笑)。まあ、僕というよりは次の子たちを育てたいですよね。「僕がここで働くことに意味がある」では、もう弱いんですよ。若い誰かがVeatsの“顔”になっていくために、僕が今ここにいる感じです。

若松 そうですね。若い子が楽しめる場所になっていかないといけないし、最終的に“文化が生まれる”というところまで持っていかないと。数字も取って、人々の記憶にも残るのが本当の意味でいいハコだと思うんで。そうなれるように、柔軟にいろんなことを形にできる場所として続いていくとうれしいです。

──柔軟性を重視されているということが、お二人の発言の端々からうかがえます。

川上 変化に対応できないと生き残っていけないというか、これからの時代にそぐわないですから。

若松 ただ、音響や照明といった基礎的な部分で一切妥協をしていないからこそ、そういうことも言えるのかなって気はしますね。「見た目とかいろいろステキだけど、音イマイチだよね」って言われちゃったら……。

川上 一番カッコ悪い(笑)。

「とりあえずVeatsでなんか食わない?」

──レコード会社がハコを持つことの意味はどんなふうに考えていますか?

川上 後ろに大きな会社がいてくれるというのはいいことだと思いますよ。昔はあったじゃないですか、「あの店に出続けると、どこそこの事務所が観に来るらしいぞ」みたいな(笑)。今はもう自分たちで発信できる時代なんで、特別なハコに出るための道筋をたどっていく文化はなくなってひさしいですけど。違う意味で「あそこに出たいよね」というバリューを持っていく可能性はあるんじゃないかな。

──お客さんが特定のアーティストを観に来るんじゃなくて、「ビクターのハコなら間違いないよね」って来てもらえるくらい、文化として定着したら面白いですよね。吉本の劇場みたいに。

川上 それはもう究極の理想型ですね。

──フードメニューでも何か企んでらっしゃるとか。

川上 カフェの部分は強化していきたいんですよ。「とりあえずVeatsでなんか食わない?」「せっかくだからライブも観る?」みたいなスタイルにつなげていけたらなと。名物料理みたいなものができていったら面白いと思うんです。

──新宿LOFTのオムライス的な。

川上 ああ、そういうことですよ。「あそこに行ったらあれ食わないと」っていうふうになれば。

──カレーで有名なライブハウスも多いですし。

若松 そうそう、カレーはどこでも出してますね。

川上 うちのこの空気感でカレーを出すわけにも……。

一同 あはははは(笑)。

川上 とか言いながら、もし2年後にカレーを出してたら、そのときは察してください(笑)。

左からVeats Shibuya店長の川上貴也氏、デザイナーの若松義秀氏。

ライブスケジュール

Veats Shibuya OPENING EVENT

Colourful Records presents "Match Up" Day1 - 家入レオ / SCANDAL - Supported by タワーレコード40周年
  • 2019年9月20日(金)東京都 Veats Shibuya <出演者> 家入レオ / SCANDAL オープニングアクト:吉田凜音
Colourful Records presents "Match Up" Day2 - iri / Yogee New Waves - Supported by タワーレコード40周年
  • 2019年9月21日(土)東京都 Veats Shibuya <出演者> iri / Yogee New Waves
タワーレコード日本上陸40周年記念 ビクタージャズ祭り2019〈SCENES〉
  • 2019年9月23日(月・祝) 東京都 Veats Shibuya <出演者> ADAM at / SANOVA / Schroeder-Headz / jizue
夏の終わりのハーモニー♡~中島さんとNegiccoさん~ Supported by タワーレコード40周年
  • 2019年9月24日(火)東京都 Veats Shibuya<出演者> 中島愛 / Negicco
PREMIUM SEATED ハナレグミ&手嶌葵 Supported by タワーレコード40周年
  • 2019年9月27日(金)東京都 Veats Shibuya<出演者> ハナレグミ / 手嶌葵