TRI4TH「ANTHOLOGY」 PR

TRI4TH|「踊れるジャズ」「叫べるジャズ」を超えたその先へ

5人組ジャズバンドのTRI4THが11月14日にメジャーデビューアルバム「ANTHOLOGY」をリリースした。

2006年に伊藤隆郎(Dr)を中心に結成されたTRI4THは、メンバーの入れ替えを経て、2012年から現在の編成となった。メンバーはこれまでにさまざまなレコーディングやサポートミュージシャンとしての活動などを重ねてきた、言わばジャズの猛者たちである。

近年のTRI4THは、オリジナル盤はもちろん、カバー集のリリース、コンピレーション盤への参加、テレビCMや地上波アニメへのエンディングテーマ提供など、インディーズながらも多彩な活動を展開してきた。そして結成12年目の今年、ソニー・ミュージックレーベルズ内のSME Recordsからメジャーデビューが決まったのだ。

この記念すべきタイミングを祝して、音楽ナタリーではTRI4THにインタビューを実施した。メジャーデビューへの意気込みから、バンド活動が停滞した時期の心境、さらには新作に込めた思いや今後の野望までを語ってもらった。

取材・文 / 内田正樹 撮影 / 新元気

然るべきタイミングに光栄なチャンスが巡ってきた

──前回の音楽ナタリーPower Push登場時は、結成10周年を迎えてアルバム「Defying」をリリースされたタイミングで、バンドが誕生した経緯から今後の目標までをお話しいただきました(参照:TRI4TH「Defying」インタビュー)。それから2年を経て、今回、メジャーデビューするということですが。

伊藤隆郎(Dr)

伊藤隆郎(Dr) 2015年にディスクユニオン内のPlaywrightというジャズレーベルに移籍して、5枚のアルバムをリリースしてきました。そうした流れの中で現在のスタイルが確立されてきたし、いろんなライブに出演する機会が増えていきました。ライブを観てくれたソニーの担当からメジャーデビューのお話をいただいたのは今年の頭だったんですが、ちょうど自分としてもジャズのリスナーはもちろん、ぼちぼちロックやJ-POPのリスナーにも楽しんで聴いてもらえる音楽性、つまりTRI4TH流の“踊れるジャズ”が固まってきたと感じていた時期だったので、然るべきタイミングに光栄なチャンスが巡ってきたのかなと。

──正直、リスナーの中には、「あれ? TRI4THって、まだメジャーじゃなかったんだ?」と思った人も少なくない気がするんですよ。

伊藤 そういう声も多かったです(笑)。

織田祐亮(Tp) Twitterでも、「そうだったんだ?」みたいな声を見かけましたね。

伊藤 Playwrightでレーベルメイトだったfox capture planの活躍に刺激を受けた部分も大きかったですね。彼らはメジャー、インディーの枠を越えてさまざまな露出を果たしていましたから。

──メジャーデビューのオファーを受けたときは、受けるかどうかなど、全員でミーティングとかしたんですか?

伊藤 しましたね(笑)。

織田 僕は機会があれば一度はメジャーデビューしてみたかったし、隆郎さんと話しても、お互い即座に「やりたいね」で一致しましたね。

藤田淳之介(Sax)

──じゃあ反対派は1人もいなかった?

竹内大輔(Piano) そうですね。僕は「やったー!」って(笑)。

藤田淳之介(Sax) 僕も「ぜひ」って感じでしたね。

関谷友貴(B) 実は僕と竹内くんは黒船というバンドもやっていて、そっちもほぼ同じタイミングで別のメジャーレーベルからお話をいただいて。今回、各方面の快諾をもらって両立していいことになったので、もう感謝しかありません(笑)。

──おお。じゃあ、おめでたいの二乗だったんですね?

関谷 そうですね。突然、立て続けに(笑)。

いつも今が一番フレッシュだし、ずっとキープできている

──TRI4THは伊藤さんと織田さんが結成時からのメンバーで、2008年に藤田さん、2009年に関谷さん、2012年に竹内さんが加入しました。つまりメンバーが現在の編成となって6年目ですが、その間、TRI4THを継続していくことについて悩んだような場面はありましたか?

竹内大輔(Piano)

伊藤 僕はピアノが竹内くんに代わった頃から、自分たちの音楽により自信が持てるようになりました。でも、それと反比例するかのように、当時はライブで満足のいく集客が得られていなかったんです。正直、「このままだとヤバい」と思っていました。その直後、Playwrightへ移籍することになったので、それをきっかけに、これまでとは違う風を吹かせたいと思いました。

竹内 僕自身、TRI4THには、それまで自分が参加していたバンドとは違う何かがあるような気がして入りました。5人一体と言うか、誰かがリーダーとして引っ張っていくのではなく、なんでもみんなで一緒に決めていくようなバンドが初めてだったんです。あと、その当時で年齢が32、3でしたから、「この先、ずっとバンドをやっていけるような歳でもないのかな?」とも思っていました。だから本気で取り組むバンドは、もうTRI4THで最後にしようと、入るときに覚悟を決めていたんです。アルバムを2年間出せなかった時期もありましたけど、その間も常に5人でやってきましたし。

藤田 僕も「どうしようかな」と悩んだ時期はありましたけど、やっぱりこの5人でやっていくことが、自分がもっとも高みに行くための方法だと思ったので。実際、2年ぶりにアルバムをリリースしたあたりから、僕としてはもう一度新しいバンドを組んだぐらいの楽しさと新鮮さで、ここまで突っ走ってくることができましたね。

関谷友貴(B)

関谷 僕の場合、当時ベースがいなかったTRI4THから加入をオファーされるときまで、ウッドベースを弾いたことがなかったんですよ。だからバンドに入る決意とウッドベースを弾くという、2つの決意を持って入ったんですが、まあみんなが話したような暗黒の時代もあった(笑)。でも、続けたら必ずいいことがあると信じていました。あと、そもそも僕以外のメンバーはクラシック出身で、自分だけがずっとジャズをやっていたせいもあって、加入してしばらくの間は、自分の中に「ジャズとはこうでなければ」といった固定概念があったんです。でもそれは大きな間違いで、ライブでお客さんの心をつかむ手段は、音楽理論ではなく、もっと別のところにあった。TRI4THって、ジャズバンドにしてはものすごくリハーサルをするバンドなんです。どうやったらライブを盛り上げられるか、みんなでああだこうだ言いながら(笑)。でも、それってとても大事な時間なんです。ただ曲の練習をして「はい、あとは本番で」というスタイルがジャズバンドにはありがちですが、うちらはそういう勝負の仕方じゃないんです。

織田 僕も2013年から14年の頭ぐらいまでは悩んでいましたね。隆郎さんに「今のままだと俺はどうしていいかわからない」と話したこともありました。でもそういう時期をこの5人で過ごせて、今回メジャーデビューまで1人も欠けることなく一緒に来られたことがすごくよかったと思います。最近のTRI4THは、本当にいつも今が一番フレッシュだし、そんな状態をずっとキープできているんですよ。