全員が「カッコよくなるのはこうだ」と思うところまでやる
──TRI4THの楽曲はどのようなプロセスで制作していくのですか?
織田 僕はまずはしっかり自宅でデモや譜面を作ります。それをリハーサルに持ち込んで、みんなで分解と再構築を繰り返すという感じです。誰かが持ってきた曲が、そのまま曲になるということはまずないですね。誰かの曲に、別の誰かが新しいメロを書き足すこともあります。
藤田 デモはしっかり作る人と作らない人といますけどね(笑)。
──藤田さんはどちらですか?
藤田 僕はリードシートのような紙を1枚持ってきて「思っているのはこうでね」と話します。で、全員が「カッコよくなるのはこうだ」と思うところまでやる。そこは昔も今も変わらないですね。
──全員が「これだ」というところまでたどり着かなければ、何分でも何時間でもやる?
藤田 はい。その結果、曲にならない場合だってあるし。
伊藤 そうですね。ただ今回は、恐らく全員がポピュラーセンスを意識していたと言うか、いかにキャッチーか、口ずさめるか、ノれるかという判断基準で曲を選んでいた気がします。
藤田 僕らは「いいね」も「違うよね」もほぼ全員一致なんですよ。そのポイントが合っているというのはとても幸せなことだと思います。
存在そのものが1つの代名詞となるよう
──あと、僕は個人的にTRI4THの楽曲の主旋律から、1940年代から50年代のビッグバンドのジャズやブルーノート・レーベルのジャズの匂いを感じるのですが。
織田 それは40年代や50年代が、まさにジャズで“踊れた”時代だったからじゃないですか。僕自身、そこからの影響も大きいし。
竹内 TRI4THにはバラードもあるので、“踊れる”のほかに“歌える”もあるんじゃないかと思います。わかりやすく、覚えやすいメロディも多いと思うし。
関谷 そう言われて思い出したんですけど、昔、1stと2ndのアルバムをプロデュースしてくださった須永辰緒さんから、「TRI4THは絶対ハードバップやったら売れるから」と言われたんです。だから今そんなことを言ってもらえると、須永さんに少しだけ恩返しができたような気持ちになりますね。お世話になってきたたくさんの人たちに、音楽で恩を返していきたいです。あと、TRI4THは以前からロックフェスに出演するという目標を掲げていまして。
──それって確か前回のインタビューでも話していましたよね。
関谷 まだ達成できていないんです。うちにはギターがいないぶん、僕がウッドベースを歪ませたりフィードバックさせたりしているんですが、今回のアルバムでもかなりやらかして、これまでで最高に歪ませたウッドベースを鳴らすことができました(笑)。
藤田 僕はバンドとしてはインストバンドでジャズバンドだけど、ジャンルを超えたホーンバンドという見られ方もされるようにがんばりたいですね。そしてあとになって「ジャズのいろんな枠組みを壊したのって、TRI4THだったよね」と言われたくて。ロックフェスに出たいという動機もそうだし、例えばジャニーズのグループみたいに個々のキャラクターが認知されるところまでいきたいですね。これまでのジャズバンドが見られなかった景色と言うか、それをも認知してもらえるような活動をしていきたいですね。
──それこそジャズなら、かつてのPE'Zや勝手にしやがれ、そしてSOIL & "PIMP" SESSIONSや、またスカなら大ベテランの東京スカパラダイスオーケストラと、インストゥルメンタル中心の先達たちはそれぞれに独自のアプローチを提示してきました。TRI4THは彼らの楽曲をカバーした「Hybrid ROOTS」というアルバムもリリースしていますが、そうした先達の存在を踏まえて、今後どのようにメジャーで活動していこうと考えていますか?
織田 ロックフェスもまさにそうですが、もっともっと大きいステージに立って、そこからの景色をこの5人で見ることができたら、さらに次のステージも新しい道筋も見えてくると思います。まずはこのメジャーデビューという機会に、もっとTRI4THそのものを研ぎ澄ませていきたい。みんなで新しい面白さを研究して、バンドを大きくしていきたい。そして、ちょっと聴いただけで「あ、これTRI4THだな」とわかってもらえるようなサウンドを構築していきたいですね。そのための土壌が今まさにできつつあると感じているので。
伊藤 極端な話、ジャズをあまり知らないリスナーも、「TRI4THのジャズならわかる」というところまで、自分たちの音楽性をブラッシュアップしたい。どんなに音楽性や活動の場を広げたとしても、ジャズ本来のよさを失わない自信があるし、ジャズ特有の即興性や4ビートの魅力を、いまだに追い求めている自分たちもいますから。昨年から今年にかけて、デンマーク、フランス、シンガポールのジャズフェスに呼んでもらって経験も積みましたが、来年も海外のジャズのリスナーを唸らせることができるような力を蓄えたいし、それと並行して日本のロックフェスに出演して、あらゆるリスナーを沸かせるだけのパフォーマンスをも身に付けたい。その2つを行き来していくことで、まずは“踊れるジャズ”、“叫べるジャズ”の1つの到達点を見出したい。先輩たちはたくさんいますけど、TRI4THも彼らに負けないよう、存在そのものが1つの代名詞となるような活躍をしたいと思います。それが当面の目標と言うか、常に青写真を意識的に描きながら前進していくつもりです。
- ツアー情報
TRI4TH"Shout"Tour -
- 2018年11月3日(土・祝) 宮城県 space Zero
- 2018年11月18日(日) 東京都 渋谷ストリームホール
- 2018年12月2日(日) 福岡県 ROOMS
- 2018年12月3日(月) 広島県 Live Juke
- 2019年1月18日(金) 大阪府 Shangri-La
- 2019年1月19日(土) 愛知県 伏見JAMMIN'