音楽ナタリー Power Push - 東京女子流
5人の少女がアーティストになるまで
東京女子流が6月24にシングル「Never ever」をリリースした。2010年のデビュー以来、彼女たちは精力的なライブ活動を展開するとともに、ハイクオリティな楽曲を次々と発表し、実力派ガールズグループとして、アイドルファンのみならず、耳の肥えた音楽ファンからも高い評価を獲得してきた。そしてデビュー5年目を迎えた2015年1月、5人は堂々の“アーティスト宣言”を行い、新たな決意を胸に次のステージに向けて歩みを始めた。
今回の特集では、デビューからの5年間をメンバーに振り返ってもらうロングインタビューに加え、多くの女子流楽曲を手がけるアレンジャー・松井寛と、デビュー時から彼女たちに注目してきたというtofubeatsの対談、そして女子流メンバーを姉のように見守り続けてきたバニラビーンズ・レナのインタビューを掲載。3つのコンテンツを通じて、東京女子流の魅力をディープに掘り下げていく。
取材・文 / 望月哲、臼杵成晃 撮影 / 佐藤類
布団から脱出できなくて泣いちゃいました
──これまでの5年間を総括したベストアルバム「1st BEST ALBUM キラリ☆」を経てのニューシングル発売ということで、今回は東京女子流結成から現在に至るまでを振り返ってもらえればと思います。大きなトピックはもちろんですけど、「今思えばあれはなんだったんだろう?」みたいなイベントもけっこうありましたよね。
中江友梨 うちらけっこうそういうのやってますからね。
──ではまず結成前夜の話から聞かせてください。1stアルバム「鼓動の秘密」(2011年5月発売)の付属DVDにはメンバーが初顔合わせをする映像が入ってますよね。先日あの映像を改めて観直したんですけど、今からは想像できないぐらい、皆さんよそよそしくて。
小西彩乃 そうでしたね(笑)。しばらくはずっとああいう感じで。
山邊未夢 私は(新井)ひとみと(庄司)芽生とは面識があったんですけど、友梨と彩乃の関西チームとは、まったく面識がなかったので。
新井ひとみ 私はスタッフさんからメンバーを紹介されたとき「大阪がいる!」って思いました。
──「大阪がいる!」(笑)。
新井 だから2人に話しかけるのにすごく勇気が要りました。友梨ちゃんがけっこうグイグイくる感じだったので、「もしかしたら恐い人なのかな?」とか思ったり。
中江 そうだったんだ(笑)。私はあんまり人見知りしないタイプなので。
新井 顔合わせのときに質問タイムみたいなのがあったんですけど、みんながシーンとしてる中、友梨ちゃんはみんなに積極的に話しかけてくれて。
庄司芽生 「芽生ちゃんって呼んでいい?」とか。
──メンバーの仲を深めるために何かやったことはありますか?
山邊 当時、週末はメンバー全員でウイークリーマンションで生活してたんですけど、部屋で枕投げしたり。
小西 あと1人ずつ、布団の中に埋めていくみたいなやつもやったよね(笑)。
山邊 ワーって布団に閉じ込められて、そこからがんばって脱出するんですよ。
中江 私、泣いた(笑)。
新井 そうそう。友梨ちゃんめっちゃ元気だから、みんなで「絶対出さないぞ!」って押さえつけたら、最初すごい暴れてたのに途中から動かなかくなっちゃって。心配して布団をどけたら……。
中江 脱出できなくて泣いちゃいました(笑)。
山邊 ひとみもよく泣いてた印象がある。突然いなくなっちゃって、みんなで部屋中探したら、クローゼットの中でしくしく泣いてたり。
新井 お母さんが恋しくなっちゃって。
──当時まだ小学生ですもんね。
庄司 私もみんなが寝てから、よく泣いてました。実家から持ってきた“いもむしくん”っていうぬいぐるみを抱いて。
「東京女子流」の誕生
──2010年1月にグループ結成の情報が発表されました(参照:7年ぶりのエイベックス女子グループ「東京女子流」誕生)。「東京女子流」というグループ名が決まったときはどう思いましたか?
小西 「え? 漢字?」って(笑)。みんな、もうちょっとカッコいい名前を予想してたよね?
中江 うん。友達にも「え?」って言われましたもん。
庄司 私も友達から「なんで漢字なの?」ってすごく聞かれたんですけど、「いや、ちょっと詳しいことはわからないんだけど」とか答えて(笑)。
──2010年5月5日にデビューシングル「キラリ☆」がリリースされました。初めて曲をもらったときの印象はいかがでしたか?
小西 すごくいい曲だなと思いました。実はデビュー曲として用意されていたのが2014年に発表した「Killing Me Softly」という曲だったんですよ。でも、「この子たちには難しすぎる」っていう理由で「キラリ☆」がデビュー曲になったんです。でも、歌ってみたらすごく難しくて。
中江 レコーディングでも音程外しまくったしね。
庄司 私は最初レコーデイングで恥ずかしすぎて歌えなかったんです。「じゃあ行くよ」ってスタッフさんが曲を流しても、恥ずかしくて声が出なくて。
山邊 そういえばレコーディングスタジオにお化けが出るって噂があったよね。
一同 あったー!
新井 トイレに行くときとかめっちゃ怖くて。
小西 しばらく同じスタジオだったから、毎回行くのが怖かったです(笑)。
──「キラリ☆」のリリ-ス後にはNHKの「ミュージックジャパン」で地上波デビューを果たしました(参照:総勢59人!「MJ」収録に人気女性アイドル7組が集結)。そのときのことは覚えてますか?
小西 めちゃめちゃ緊張しました!
山邊 私たちだけ何もしゃべれなかったよね。
新井 共演したスマイレージさんやももいろクローバーさんとか、皆さんトークが上手でびっくりしました。
中江 うちら超つまんないことしかしゃべれなくて。
小西 トークの最中に突然、「東京、東京、女子流!」みたいなコールをやったよね。
山邊 うわー! 思い出したくもない(笑)。
中江 直前に「何やる?」ってみんなで考えたんだよ。でも、めっちゃスベって(笑)。最後どうしていいかわかんないから、「イエーイ!」で終わったもんね。
百田夏菜子の忘れ物を届けに
──その後はコンスタントにシングルを発表していくわけですが、4枚目の「ヒマワリと星屑 / きっと 忘れない、、、」(2010年10月発売)が出たあたりから、アイドルファン以外のリスナーからも女子流の楽曲を評価する声がチラホラ上がりはじめましたよね。それこそ、小西康陽さんがインタビューで「ヒマワリと星屑」について「(Jackson Sistersの)『I Belive in Miracles』を超えた曲ですよ!」と絶賛したり。そういうザワザワ感みたいなものは伝わっていましたか?
山邊 はい。なんとなく、ですけど。今までとは違う反響があるなって思いました。
中江 ミュージシャンの方とか音楽プロデューサーさんの間で、楽曲が評価されてるっていうのを聞いたときは、すごくうれしかったです。たぶん大人っぽい楽曲とのギャップを面白がってくださったのかなと思うんですけど。私たち、まだ子供だったんで。
──そのリリースタイミングでは、前日に同じ会場でライブをしたももいろクローバーの百田夏菜子さんが楽屋に忘れていった髪飾りを名古屋まで届けにいくという謎の展開もありました(参照:東京女子流「忘れ物を届けに」ももクロ名古屋公演出張)。
山邊 あの髪飾り、みんなでかぶって遊んだよね。「すごーい!」って。あんなの普段、見たことないから。
新井 で、ライブを終えてから髪飾りを届けるために新幹線に乗って名古屋に向かったんですよ。
──「自分たちは一体何をしてるんだろう?」とか思わなかったですか?
庄司 全然。めっちゃ楽しかったです。
新井 で、会場に着いて、ももクロさんのライブを観たんですけど、ファンの皆さんの盛り上がりがすごくて。女子流のライブとは全然違う感じで新鮮でした。
庄司 お客さんが、輪になってぐるぐる回ってたり。
小西 「うわ、楽しそう!」みたいな。
庄司 私たちも一緒にやりたいかもって、ちょっと思いました(笑)。
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- Contents Index
- 東京女子流インタビュー
- 松井寛×tofubeats 対談
- バニラビーンズ・レナ コメント
- ニューシングル「Never ever」 / 2015年6月24日発売 / avex trax
- Type-A [CD+DVD] / 1944円 / AVCD-83321/B
- Type-B [CD+フォトブック] / 2160円 / AVCD-83322
- Type-C [CD] / 1080円 / AVCD-83323
- Type-D [CD] / 1296円 / AVCD-83324
CD収録曲(共通仕様)
- Never ever (TJO & YUSUKE from BLU-SWING Remix)
- Never ever (Original mix)
- Never ever (Royal Mirrorball vs MODEWARP Main mix)
Type-A DVD収録内容
- "Never ever" Making Movie
Type-D CD収録曲
- Never ever (Royal Mirrorball vs MODEWARP Dub mix) [SoundCloud]
- Never ever (TJO & YUSUKE from BLU-SWING Remix) -Instrumental-
- Never ever (Original mix) -Instrumental-
- アナログ盤「Never ever REMIX」 / 2015年6月12日発売 / [7inchアナログ盤] 1620円 / avex trax / AVKD-83329
- アナログ盤「Never ever REMIX」
Side-A(45rpm)
- Never ever (TJO & YUSUKE from BLU-SWING Remix)
Side-B(33rpm)
- Never ever (Royal Mirrorball vs MODEWARP Dub mix)
東京女子流(トウキョウジョシリュウ)
小西彩乃、山邊未夢、新井ひとみ、中江友梨、庄司芽生からなるダンス&ボーカルグループ。エイベックスにとって約7年ぶりのガールズグループとして2010年1月1日に結成された。 同年5月にデビューシングル 「キラリ☆」をリリース。2011年5月には1stアルバム「鼓動の秘密」を発表する。2012年12月には初の日本武道館単独公演を成功に収め、1年後の2013年12月には2度目の武道館ライブを開催した。2014年にはロックフェス「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014」への出演や、台湾、香港、シンガポール、タイ、ベトナム、サンフランシスコなどワールドワイドに活動を展開し、国内外で注目を集めている。2015年3月には山邊未夢が初めて作詞を手がけたニューシングル「Stay with me」、5月にはデビュー5周年を記念した初のベストアルバム「1st BEST ALBUM キラリ☆」を発表。6月には通算19枚目となるニューシングル「Never ever」をリリースした。