高橋優|10年後もワクワクしながら転がり続けたい

誰もが個性のあるパーソナリティ

──メジャーデビュー10周年イヤーという記念すべきタイミングでリリースされる「PERSONALITY」は、10周年ならではの気持ちが表現されている部分もあるとは思います。ただ一方で、これまで通り今の高橋さんの思いが1曲1曲に詰め込まれたアルバムのようにも感じていて。表題曲の「PERSONALITY」は歌詞に「大切な媒体」と書かれていますが、これはラジオに対するご自身の気持ちが反映されているのでしょうか?

そのあたりの歌詞に関してはそうですね。ラジオはずっと生き残り続けているじゃないですか。だから言うまでもなく大切な存在だよなと。そこに自分の思いを重ねたというか。今は誰もが発信できる時代なので、どこからどこまでが芸能人だという境界線は薄れてきている気がするんですよね。にもかかわらず、著名な人が何かするとすぐにみんなで指を差して自殺にまで追い詰めるという、いじめの構図とそんなに変わらないようなことが起こっている。ネットで自分の顔も名前も出さずに誰かを叩いている人たちも、叩かざるを得ないパーソナリティというか、僕は誰もが1人ひとり個性のあるパーソナリティだと思っていて。それを超個人的なところ、自分のやっているラジオのことから話を広げていった感じです。

──ラジオといえば、期間生産限定盤Aに付属するCDには高橋さんと大倉忠義(関ジャニ∞)さんがパーソナリティを務めた、ニッポン放送「オールナイトニッポンサタデースペシャル 大倉くんと高橋くん」の最終回で初披露された「開け放つ窓」が収録されています。本編CDではなく期間生産限定盤Aの付属CDに収録したのはなぜですか?

最初に世の中にお披露目したときに弾き語りだったので、変に色気付いてバンドの音にアレンジするよりも、お披露目したときの形で聴いてもらうのがいいんじゃないかなと思って。最初は弾き語りでもリフとか考え直して、ちょっと特別な感じにしようかなという思いもあったんですけど、やっぱりそのまま届けたいなと。期間生産限定盤Aに付くCDには、事前に募集したファンの方の思い入れのある曲上位10曲を入れさせてもらったんです。ただそれだけではなく新曲も入れたくて。ベスト盤(2015年7月発売のベストアルバム「高橋優BEST 2009-2015『笑う約束』」)のときも新曲を入れさせてもらったんですけど、それと同じニュアンスですかね。単なる振り返るものにしたくなかったんです。

みんな優しくない男性に振り向くでしょ

──「福笑い」(2011年4月発売の1stアルバム「リアルタイム・シンガーソングライター」収録曲)もラジオのリスナーの言葉をきっかけに生まれたそうですが(参照:高橋優「リアルタイム・シンガーソングライター」インタビュー)、ラジオパーソナリティを務める中で得た経験が楽曲に反映されることは多いですか?

多くはないかもしれません。ラジオはどちらかというとプライベートに生きていることが多いかな。会話とか。僕、会話がヒートアップするとめっちゃ早口になって、ずっとしゃべってるんですよ。ラジオをやっていると、早口すぎて聴いている人が不快になるんじゃないかと思うときがあるから気を付けるようにしていて。たぶんラジオをやってなかったら一生気付かずそのままだった。ほかにも自分の話し方や読者からのメールを読んだときのリアクションの仕方について考えたり。自分とは接点のないような人たちからのメールをたくさん読ませてもらって、自分だったら「そんなやつ嫌い!」と言っちゃうけど、「別の立場から見るとこうだよな」と考えられるようにもなりましたね。「大倉くんと高橋くん」だったら電話でリスナーの考えを聞いたり、大倉くんの考えを聞いたりもするので。もともとそんなに友達が多いほうじゃなかっただけに、相手の気持ちを想像する機会が増えた気がしますね。

──リスナーの方と電話できるのはすごいですよね。

ね。ラジオのいいところですよね。

──「大倉くんと高橋くん」の最終回にも電話出演されていた、リスナーのとしきさんが印象的で。

ラジオ聴いてくださってるんですね。ありがとうございます。としきが好きなんですか?

──3人の会話が素敵だなと思いました。高橋さんは実際にとしきさんに会われたこともあるんですよね。

そうそう。俺の現場に「優さん優さーん!」と来て。怖い人だったらどうしようと思っていたら「としきです!」というから「えっ? としき!?」って一緒に写真を撮りました。

──優しいですね。

優しいと書いてゆうと読みます。実際優しいかどうかは自分でもわからないんですけど。「優しいですね」と言われたらそう言うようにしてます。ただ「優しいですね」と言われて喜ぶ男は少ないって知ってました? だってみんな優しくない男性に振り向くでしょ。そういうところありません? いやごめんなさい。この話関係ないからやめよ。

高橋優

──そのお話を聞いてふと思い出したんですけど、高橋さんのメジャーデビュー10周年特設サイトに掲載されていた対談(参照:10周年スペシャル対談)で、プロデューサーの箭内(道彦)さんが高橋さんのことを「危うい爽やかおじさん」と形容されていたのがすごく印象に残っていて。

そうですか? なんか犯罪者みたいじゃないですか? 全然うれしくないですよ。

──先ほど優しくない男性に振り向くとおっしゃっていましたが、同じようにモテる男性の魅力が詰まった言葉だと感じました。

なるほど。それでモテていたらよかったですけど、モテていない危ういさわやかおじさんなので。参っちゃいます。

──話が脱線してしまいましたね。すみません。

いや大丈夫ですよ。話の核心だと思います。危ういさわやかおじさん。全然うれしくないですが。でもきっと多角的な魅力が受け入れられる時代になったんですね。そう思うといろんな人に居場所があっていいですね。今度危ういさわやかおじさんのどのあたりに魅力があるのか詳しく聞かせてください。自分に自信を持ちたいので。