07. ヤキモチ予定調和をなくしたくて

「ヤキモチ」は今回のアルバムで唯一バンドでプリプロしたんですよ。ほかの曲はギタリストの池窪浩一くんとパソコンでやったんですけど、これだけはどうしても腑に落ちなくて。一度白紙に戻してバンドでやり直しました。

──それはどういう違いが生まれるんでしょう？

単純に人数が多いから、いろんな意見が生まれますよね。あとは生バンドならではのライブ感かな。ドラムはTRICERATOPSの吉田佳史さんにお願いしているんですが、そのグルーヴが生きたほうがこの曲には合ってる気がして。パソコンでやれば細かい部分まで精密に作れるけど、予定調和をなくしたくてバンドメンバーに集まってもらいました。

──ちなみに、優さんはヤキモチは焼くほうですか？

……けっこうヤキモチは焼くほうです。

──なるほど。では……。

あ、ヤキモチを焼いた話はしなくていいですか？

──しましょうか？ でも聞きたいことがほかにもありますし、時間も限られてますので。

そっか、残念。ヤキモチの話ならいっぱいあるんで、また次の機会に（笑）。

08. 旅人どこに向かっているのかまだわからない

──「旅人」は以前から「導かれるように書いた」とおっしゃってますよね。そのあたりを具体的にうかがえますか？

今でも「旅人」は、僕にとって難しいんですよ。歌詞の内容は今の僕が感じているテーマに向かっているし、今回のアルバムでも特にキーポイントになる曲だと思うんです。でも僕にしては非常にスケールが大きいものを描いたような気がしていて、まだ答えが出てなくて。

──それまでは自分の中で答えが定まっているものを書いていた？

そうですね。答えまでいかなくても、何が言いたいかははっきりしてました。でも「旅人」は自問自答というか、一言ずつ語りかけるように作っていて、それがどこに向かっているのかまだわからないんです。だから福島で歌ったときに「俺らは旅人で帰る場所なんてないんだ」って意味に聞こえちゃったんですね。本当に帰れない人たちを目の前にして、こんな歌でいいのかって気持ちが出てきて。生半可な気持ちじゃ歌えねえぞって思ってます。だからまたしばらくして、次の取材のときにでも、話さないといけないなと思いますね。

09. 犬あの従順さはどこから来るんだろう？

──「犬」は率直に、なぜ犬なんでしょう？

これも違和感から始まってますね。だって服着てるんですよ、犬が。

──はい、最近は多いですよね。

服着てる犬は何を思ってるんだろうって考えたのが最初ですね。あの従順さはどこから来るんだろうって思ったときに、人の顔色うかがって生きているのは犬だけじゃないなって考えになったんですよ。

──これもさっき話していた、他のテーマとドッキングして歌詞を書くという作り方ですよね。

そうですね。もっと根本的な話なんですけど、今まではギター弾いて作曲してたんですよ。だから自分の手癖が必ず生きてたんですけど、今回はボイスレコーダーでメロディラインをいきなり歌うことから始めたんです。そのあとにコードをくっつけていくと、自分が今まで使わなかった曲調になる。そうやっていろいろなチャレンジやアプローチは意図的に試してますね。