ナタリー PowerPush - Superfly

4th=Force=最強 傑作ロックアルバムを語る

Superflyの4thアルバム、その名も「Force」が完成した。「Force」=「最強」と定義し、Superfly史上最高に振り切れたロックアルバムとなった本作。初回限定盤にはスタジオ盤のDISC 1と同じ曲順で収録したライブ盤のDISC 2が付属される。このライブ盤は、スタジオ盤の完成直後に敢行したファンクラブツアー「Live 4th You」の模様を音源化したもの。アルバムのリリース前に完全再現ライブを行うという大胆なアイデアは、越智志帆の「ロックライブアルバムを作りたい」という思いに端を発したものだという。

なぜ本作をここまでライブにこだわったタフなロックアルバムにする必要があったのか。そこには、越智のパーソナリティとSuperflyのパブリックイメージを巡る根深い葛藤が横たわっていた。以下のインタビューでは、「Force」に至るまでの胸中と、本作を完成させたことで得られた特別な達成感を率直に語ってもらっている。ぜひ彼女の声に耳を傾けてほしい。

取材・文 / 三宅正一(ONBU)

 
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ライブ盤とスタジオ盤の2枚組、そこで初めて完成するアルバムにしよう

──すごい迫力に満ちたアルバムになりましたね。

Superfly

どうしても作りたかったアルバムを形にできた満足感がすごくあって。それと、ありのままの自分だと思えるものができた喜びですね。「スッキリした!」って感じ(笑)。

──今までのアルバムと違う感触がある?

今まではアルバムのレコーディングが終わりに差しかかると寂しい気持ちが先行していたんですけど、今回は「出し切ったぞ!」という気持ちが先にありますね。

──肉体、本能、そしてライブに強く焦点が当たったアルバムだと思います。全方位に振り切れたロックモードを貫いていますけど、どういうビジョンを立てて制作していったんですか?

まず、去年「Mind Travel」のツアーで過去最多の35本のライブをやったんですね。そのツアーが終わって、4thアルバムをどういうものにするか考えているときにふと、ロックライブアルバムを作りたいと思ったんです。でも、普通に作るのでは面白くないから、ライブに向けてひとつのセットリストを形にしていくような感じで作りたいなと。さらに、スタジオ盤を完成させたあとに、アルバムの曲順どおりにやる新曲オンリーのライブをやって。その模様を録音したライブ盤をスタジオ盤との2枚組でリリースする。そこで初めて完成するアルバムにしようと思って。

──初めからそこまで明確なビジョンがあって、それをしっかり具現化したんだ。

そうなんですよ。ジョギングしていたらこのアイデアが思いついて(笑)。

──ライブをテーマにしたアルバムを作りたいと思ったのは、去年のツアーで強い手応えを感じたから?

手応えというよりも、長いツアーの中で、正直なところ良いライブの日もあれば、良くないライブの日もあって。最高のライブって、私とお客さんのバイオリズムやその日の天候、空気感に左右されながら、いろんな条件が重なって生まれるものだと思うんですよ。実際に最高のライブと感じられる感動的な日もありました。でも、そのなかなか手に入らない幸福感がたまらないなと思ったんですよね。だからこそ、これからもっともっとライブに力を入れていきたいという気持ちもさらに強くなって。

──志帆さんはこれまでも十分ライブを大切にしてきたと思いますけどね。

そうですね。ただ、今まではお客さんの前に立つのが怖いときもあったんです。去年のツアーでも心を閉ざしてしまう瞬間があったりして。でも、ツアーで35本もライブをやっていく中で、もっと自分から積極的にお客さんに心を開いていかないといつまでも自分の殻を破れないと思ったんです。だから、次のアルバムでは一度Superflyのイメージとか、そういうものは置いておいて、私が個人的に大事にしたい思いを中心に置いたアルバムを作りたいと思って。そこから必然的にアルバムのテーマが「ライブ」になり、サウンドも私が一番自由で開放的になれる「ロック」にこだわったものにしようってなったんです。

ステージに堂々と立つためのアルバムが欲しかった

──結果的にSuperflyのド真ん中を提示するアルバムにもなったと思います。

ホントですか?

──多くの人がそう思うはずですよ。志帆さんはそう思わないんですか?

個人的にやりたいことを出し切った感覚はあるけど、これがSuperflyのド真ん中なのかは正直まだわからないですね。

──前回の「Mind Travel」のインタビューで僕は「Superflyと越智志帆という人が完全に同化したと思う」と言ったんですね。でも、あのときの志帆さんは、まだ心からそうは思えなかったんだ。

うん、覚えてます。私も「Mind Travel」ができて、インタビューでそう言っていただけたときは、そうなれて良かったなと思っていたんですけど。その後ツアーに出たときにやっぱり私自身がイメージしているよりも、お客さんが抱いているSuperflyのイメージが大きくて、存在がひとり歩きしていると思ってしまったんです。そこに距離を感じたからこそ、もっと私自身の気持ちを作品にもライブにも出していかないと、みんなの中のSuperflyのイメージばかりが大きくなってしまうと思って。

──そうか。志帆さんとSuperflyを巡るある種のアイデンティティクライシスはまだ解決していなかったんですね。

そうですね。それは端から見ていたら気付かないことでもあると思うんですけど、自分の中では私とSuperflyの距離感はまだまだあるなと去年のツアーで痛感しましたね。

──志帆さんって元々すごく繊細な人なんだけど、ステージに立つと堂々としたパフォーマンスを見せるじゃないですか。だから、これまでも自分の殻を破っていく姿を楽曲やライブで体現してきたと思うんですけどね。でも、まだまだという思いが強くあったと。

そうですね。だから作品でもっともっと自分の心をさらけ出せば、自然とステージにも自分を開放した状態で立つことができるはずだと思って。自分がこれまで以上にステージに堂々と立つためのアルバムが欲しかったんです。

──だからこそ本作は中身も外身も振り切ったアルバムにする必要があった。

そうなんです。こういうアルバムは今だからこそ作れるものだと思うんです。プロデューサーの蔦谷(好位置)さんや作曲家の多保(孝一)くん、スタッフも含めて、みんなにある種の覚悟がないとこんな冒険はできないと思うし。しかも5周年なので、ホントだったらベストアルバムを出すのが一般的なのかなと思うんですけど(笑)。

──そうですよね。実際にそういう話もあったのでは?

なくはなかったですけど、私に元々ベストをリリースしたい気持ちがそんなにないので、そこはスタッフにも汲んでもらって。そういう意味でもチームみんなに私の思いを理解してもらえたからこそ、こんなに自由なアルバムを作ることができたんですよね。

──完全に攻めのアルバムだしね。

うん。お客さんの想像を良い意味で裏切るようなアルバムを作りたいと思ったし、私自身もそのドキドキ感を味わいたいなって。

CD収録曲
DISC 1
  1. Force
  2. Nitty Gritty
  3. No Bandage
  4. 輝く月のように
  5. 愛をくらえ
  6. 終焉
  7. 平成ホモサピエンス
  8. Get High!!~アドレナリン~
  9. 919
  10. The Bird Without Wings
  11. スタンディングオベーション
DISC 2 “Live 4th YOU”
  1. Force(Live)
  2. Nitty Gritty(Live)
  3. No Bandage(Live)
  4. 輝く月のように(Live)
  5. 愛をくらえ(Live)
  6. 終焉(Live)
  7. 平成ホモサピエンス(Live)
  8. Get High!!~アドレナリン~(Live)
  9. 919(Live)
  10. The Bird Without Wings(Live)
  11. スタンディングオベーション(Live)
Superfly(すーぱーふらい)

2004年に結成。越智志帆のパワフルかつソウルフルな歌声、60年代、70年代の洋楽を思わせるブルージーなサウンドが注目を集め、2007年4月にシングル「ハロー・ハロー」でデビュー。その後、多保孝一がコンポーザーとしての活動に注力すべく表舞台から退き、越智のソロユニットとなる。2008年に発表した1stアルバム「Superfly」、2ndアルバム「Box Emotions」がともにチャートで1位を記録。2009年12月には初の日本武道館ライブを成功に収め、その後も多くのヒット曲を連発。2011年には3rdアルバム 「Mind Travel」 でアルバム4作(10thシングル「Wildflower & Cover Songs:Complete Best 'TRACK 3'」は企画盤だが曲数的にアルバム扱い)連続1位を達成し、初のアリーナツアーも大成功に収める。2012年9月、4thアルバム「Force」をリリースした。