ナタリー PowerPush - Superfly
私は希望を歌いたい 最高傑作「Mind Travel」完成
Superflyの3rdアルバム「Mind Travel」が完成した。結論から書くと、文句なしの最高傑作である。全14曲。そのうちタイアップ曲が7曲も含まれていることからも明白なように、今やSuperflyはポップシーンの中心に立つロックアイコンとなった。
だが、越智志帆というシンガーはパワフルなパフォーマンスとは裏腹に普段はとても穏やかでナイーブな性格の持ち主でもある。作品を重ねるごとに大きくなっていくSuperflyの状況、あるいはSuperfly=越智志帆でなければならないプレッシャーと彼女は向き合い、闘い続けてきたのだと思う。本作には、その結実と答えが力強く示されている。今回のインタビューでは、彼女が辿った「心の旅」について、じっくり語ってもらった。
取材・文/三宅正一
このアルバムでいいリスタートが切れたと思う
──言い方は悪いかもしれないけど、Superflyってもはや傑作以外はリリースできない存在になってると思うんですよ。
(笑)……ありがたや。
──それは志帆さんにとって毎回乗り越えなきゃいけない壁でもあると思うんですけど、そうした状況の中、見事に素晴らしいアルバムを完成させたなと思います。
ありがとうございます!
──このアルバムで、完全にSuperflyと越智志帆という人が同化したなと思って。越智志帆という個人の生き様を表現しても、Superflyとしてのロックのダイナミズムやポピュラリティを得られるんだという確信を感じました。
ありがとうございます。うれしい! なんというか……リスタートを切れたような気がするんですよ。Superflyって体制が2ndシングルリリース直後に変わったじゃないですか。
──それは志帆さんにとっていきなり訪れた大きな試練でもありましたよね。
そうですね。だから、ずっと土台作りをやっていた感じがあって。2ndアルバム「Box Emotions」もそうだし、シングルをリリースするタイミングでもその都度すごく考えてきたし。でも、この3rdアルバムでようやく地にしっかり足が着いて、もう一度「Superflyは私のソロプロジェクトです!」って胸を張って言えるようなリスタートが切れる作品になったなって思える。だからすごく晴れやかな気持ちです。
──ですよね。
うん。いままでは探り探りというか、元メンバーの多保(孝一)くんとの距離感もうまく取れていなかったところもあるし──もちろんその中で常にベストを尽くしてはきたんですけど。Supertflyって元々多保くんのプロジェクトとして始まったので。その事実は今でも変わらないけど、そういう事実は置いて、自分だけが表現できることを出せるようになってきたなと思います。ここでようやくプロデューサーの蔦谷(好位置)さん、コンポーザーの多保くん、私というトライアングルがすごくいいバランスになってきて。3人の信頼関係が何より深くなったんですね。
2ndアルバムまではヒリヒリした感情のまま走り続けていた
──改めて前作「Box Emotions」はどういうアルバムだったと捉えていますか?
ヒリヒリしたアルバム。とにかく音楽に自分の感情を思い切りぶつけないといけないって思ってました。でも、「Box Emotions」での私はすごく言葉に捕らわれていたところがあって。音楽ってやっぱりメロディだと思うんですよね。こういうことを歌うためにはどういうメロディが欲しいのかとか、そういうことをもっと追求していかないといけないという課題が残ったんですね。その課題を持って臨んだのがこの3rdアルバムでした。
──このアルバムはどういうビジョンを描くことから始まりましたか?
制作に入る前に1カ月お休みをいただいたんです。その期間で時間の感じ方や流れ方が体感的にどんどん変わっていって。すごく穏やかに過ごせるようになったんですね。2ndまではずっと走り続けていたから、もう、感情がヒリヒリしていて。常にガツガツ、ヒリヒリしてるみたいな(笑)。
──どんどんプロジェクト自体が大きくなっていったし、そうならざるを得なかった感じはありますよね。
うん。もちろん、それがプラスになったケースも多かったんですけど、このままだとプツっとどこかで切れてしまいそうな感じがあって。
──パンクしちゃいそうな。
パンクしちゃいそうな感じがありましたね。でも、そのお休み期間でリセットできて、すごく穏やかな気持ちになれたんですよ。今まで見えなかったことがどんどん見えるようになってきて。リラックスしてるからこそ、考え事もしやすかったんです。自分が包まれたいサウンドも2ndのように攻撃的なものではなくて、優しい気持ちを表現できるような——温かい風とか、大地とか、花とか、光を感じられるようなものにしたいなと思って。そういう流れのなかで制作はスタートしましたね。
──だからより生音を重視するようになったし。
そうですね。そういう心境を表現できる生楽器を選んでいきましたね。
CD収録曲
- Rollin' Days
- Beep!!
- Fly To The Moon
- タマシイレボリューション(Extended ver.)
- Eyes On Me
- Deep-sea Fish Orchestra(※Drums:マシータ 参加)
- Secret Garden
- Sunshine Sunshine
- Morris(※Acoustic Guitar:おおはた雄一 参加)
- Wildflower
- Free Planet(※Drums:中村達也 参加)
- 悪夢とロックンロール(※Second Vocal:百々和宏(MO'SOME TONEBENDER) 参加)
- Only You
- Ah
DVD収録内容
- Dancing On The Fire
- Roll Over The Rainbow
- Rollin' Days
- Beep!!
- タマシイレボリューション
- Eyes On Me
- Morris
- Wildflower
- Free Planet
- Ah
Superfly(すーぱーふらい)
2004年に愛媛県の大学サークルで出会った越智志帆(Vo)と多保孝一(G)によって結成。越智のパワフルかつソウルフルな歌声、60年代、70年代の洋楽を思わせるブルージーなサウンドが注目を集め、2007年4月にシングル「ハローハロー」でデビュー。その後、多保がコンポーザーとしての活動に注力すべく表舞台から退き、越智のソロユニットとなる。2008年に発表した1stアルバム「Superfly」、2ndアルバム「Box Emotions」がともにチャートで1位を記録。2009年12月には初の日本武道館ライブを成功に収め、その後も多くのヒット曲を連発。2011年6月に3rdアルバム「Mind Travel」をリリース。
- Superflyオフィシャルサイト
- Superfly | ワーナーミュージック・ジャパン - Warner Music Japan
- 3rd Album「Mind Travel」特設サイト
- USTREAM「Superfly TV」
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2011年6月15日、横浜赤レンガ倉庫で開催されるフリーライブが全国どこでも聴ける!LISMO WAVEでライブ生中継決定!(auスマートフォン対応)
※詳しくは「リスモウェイブ」で検索。