ナタリー PowerPush - Superfly
私は希望を歌いたい 最高傑作「Mind Travel」完成
「もっと悪くなれ」って言われました(笑)
──ロックボーカルという意味では、Superfly & The Lemon Bats[百々和宏(G) / 八橋義幸(G) / 蔦谷好位置(Key) / 日向秀和(B) / 中村達也(Dr)]でライブハウスツアーを回った経験も大きくフィードバックされているんじゃないかなと思いました。このアルバムにも「Free Planet」では達也さん、「悪夢とロックンロール」では百々さんが参加していますけど。
すごくいい経験でした。元々去年はライブハウスツアーをやりたいと思っていて。ありがたいことですけど、これまで大きい会場でライブをやることが多かったので。ライブハウスで衝動やパッションを再確認したいなと思っていたときにこのすごいメンツでライブをすることになって。
──ビビりますよね、このメンツは。ロックの猛者たちって感じで。
ビビりましたね(笑)。皆さん明らかに100%の力でガーンと音をぶつけてくるから。常にマックスなんですよ。そこに自分が追いついていけるのかという心配もあったし。人間的にもすごい人たちなので(笑)。でも、実際に音を合わせてみて、ライブをして、自分も感情を剥き出しにすればいいんだなって思ったんです。今までは、ツアーを回っていると、どうしてもどこの会場でも平均的にお客さんに素敵なライブを見せたいという気持ちが強くあったんですけど。でも、Superfly & The Lemon Batsは、もちろん平均値は高いんですけど、良くも悪くもその日のコンディションに左右されるから。それでいいんだと思ったんですよね。
──志帆さんが彼らからアドバイスや意見をもらうことはあったんですか?
「もっと悪くなれ」って言われました(笑)。
──あはははは!
百々さんに「もっとやさぐれなきゃダメだ!」とか(笑)。
──その言葉をどう受け止めたんですか?
「そうね……」と思いましたけど「たぶんもう性格的に無理ですね」って(笑)。普段はどこかではっちゃけ切れないというか。なんか、ダメなんですよね。
──でも、ステージに立てばアグレッシブになれるわけでしょ?
そうそう、だからそれでいいのかなと。でも、百々さんが言いたいこともよくわかりました(笑)。
幸せが逃げるのを止めるくらいの大きなため息を
──で、「Wildflower」とともにもうひとつこのアルバムの核になっているのがラストの「Ah」だと思います。
ああ、うれしいです。自分にとってもすごく大きな2曲だから。
──この曲には歌詞は存在せず、ボーカルは「Ah」というため息だけで構成されているんですけど。この曲はどのように生まれたんですか?
一番大きかったのは……いただくファンレターの中には私だけに誰にも言えない悩みを打ち明けてくれる人がいるんですよね。その中には「病気と闘っています」というものもあって。私自身に置き換えてみても、つらいことほど言葉にできないものだなって。その言葉に訳せない思いを曲にして、ファンの方に私の思いを返したいと思ったんです。小さなため息では幸せが逃げるから、幸せが逃げるのを止めるくらいの大きなため息を曲の中でついてしまおう、と思って。多保くんも私のそういう思いをすごく理解してくれて、早い段階で曲を上げてくれたんです。
──しかもこの曲は教会でレコーディングしたんですよね。
はい。どうしても神聖な場所で録りたくて。実際にすごく穏やかな気持ちで歌うことができました。その場の空気がとにかく落ちついてるし、優しいんですよ。
──賛美歌であり、鎮魂歌でもあるような曲になりましたね。
そうですね。最初ゴスペルのコーラスを入れようかとも思ったんですけど、でもこの曲はジャンル云々ではない魂の叫びだと自分でも思うし、そもそもこの歌の存在自体がゴスペルに近いというか。だから必要ないなと思いました。この曲は、聴く人に深呼吸できる時間を提供したくて。気持ちが息詰まっている人をひとりでも少なくしたいなって。あと、この曲は歌詞が乗っているバージョンもあるんです。
──あ、そうなんだ。
最初に歌詞を書き上げてから、このため息バージョンを歌いたいなと思って。今後どこかで披露できたら、と思ってます。
音楽は祈り、願いなんだとすごく感じてる
──今の志帆さんにとっての音楽、あるいは歌うことって言葉にするとどういうものですか?
そうですね……悩んだり、悔やんだりすることも多いので、闘いだなとは思うんですけど。でも、曲を作って歌うその先に……晴れやかな気持ちを味わえるんですよね。晴れやかな気持ちを味わえたということは、いい曲を作れたということだと思うので。そういう曲をみんなに届けたいと思ってます。今回の震災も含めて、音楽は祈り、願いなんだとすごく感じて。だから、やっぱり、私は希望を歌いたいです。
──ここまで語ってくれたことと重複するところもあると思いますが、このアルバムを踏まえて、今後どんな音楽を生んでいきたいと思っていますか。
やっぱり私が発することを軸に曲を作っていきたいなと思ってます。いろんな出来事や物事や景色に感動できる心を保ちながら、自分なりの答えを1曲1曲に映し出していく。そのために、この気持ちを表現するためにはどんな楽器やメロディが必要なのか。それをもっともっと追求していきたいですね。そういう意味では「Ah」は理想に近いのかもしれない。最近ホントによく「オリジナリティってなんだろう?」って思うんです。先人が残した名曲や教科書になるようなサウンドもたくさんあるじゃないですか。その上でオリジナリティを出すときに重要になってくるのは、やっぱり自分の心だと思うんです。感じ方は人それぞれで、どのポイントでどう感じるかは私にしか出せない答えでもあって。それを大切にしていきたいです。
CD収録曲
- Rollin' Days
- Beep!!
- Fly To The Moon
- タマシイレボリューション(Extended ver.)
- Eyes On Me
- Deep-sea Fish Orchestra(※Drums:マシータ 参加)
- Secret Garden
- Sunshine Sunshine
- Morris(※Acoustic Guitar:おおはた雄一 参加)
- Wildflower
- Free Planet(※Drums:中村達也 参加)
- 悪夢とロックンロール(※Second Vocal:百々和宏(MO'SOME TONEBENDER) 参加)
- Only You
- Ah
DVD収録内容
- Dancing On The Fire
- Roll Over The Rainbow
- Rollin' Days
- Beep!!
- タマシイレボリューション
- Eyes On Me
- Morris
- Wildflower
- Free Planet
- Ah
Superfly(すーぱーふらい)
2004年に愛媛県の大学サークルで出会った越智志帆(Vo)と多保孝一(G)によって結成。越智のパワフルかつソウルフルな歌声、60年代、70年代の洋楽を思わせるブルージーなサウンドが注目を集め、2007年4月にシングル「ハローハロー」でデビュー。その後、多保がコンポーザーとしての活動に注力すべく表舞台から退き、越智のソロユニットとなる。2008年に発表した1stアルバム「Superfly」、2ndアルバム「Box Emotions」がともにチャートで1位を記録。2009年12月には初の日本武道館ライブを成功に収め、その後も多くのヒット曲を連発。2011年6月に3rdアルバム「Mind Travel」をリリース。
- Superflyオフィシャルサイト
- Superfly | ワーナーミュージック・ジャパン - Warner Music Japan
- 3rd Album「Mind Travel」特設サイト
- USTREAM「Superfly TV」
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2011年6月15日、横浜赤レンガ倉庫で開催されるフリーライブが全国どこでも聴ける!LISMO WAVEでライブ生中継決定!(auスマートフォン対応)
※詳しくは「リスモウェイブ」で検索。