須田景凪「porte」 PR

須田景凪|多様性を増すサウンドのルーツ

音楽を通して言えることがあるとすれば

──そして3曲目の「語るに落ちる」はバラード系のナンバーです。弾き語りを想起させるアレンジもそうですが、須田さん自身の体温が伝わる楽曲だなと。

「須田景凪 TOUR 2019 "teeter"」東京・中野サンプラザホール公演の様子。(Photos by Taku Fujii)

「teeter」を出したあと、ラジオに出演させていただく機会があって。その中でリスナーの方と直に電話で話したんですよ。その前から、それぞれにいろんな思いを持って聴いてくれているんだろうなとわかっていたんですが、直接話したことで、すごく感じるものがあって。その日、家に帰ってから弾き語りで作ったのが「語るに落ちる」なんです。リスナーの方を直接的に助けてあげることはできないけど、音楽を通して言えることがあるとすれば、こういう言葉なのかな、というものを詰め込んだ曲ですね。とにかく「言葉(歌詞)」が一番大事なので、自分がデモを作る中で「どうしても蛇足になってしまう部分があるかもしれない」と感じて。アレンジをお願いした横山裕章さん(agehasprings)にはあえてそれまで自分が制作していたデモをお渡しせずに、歌とギターだけの弾き語りに近い音源を聴いていただいて、言葉を崩さないサウンドを付けていただいたんです。それをもとに一緒にスタジオに入って、「この音を入れたほうが、もっと言葉が強く聞こえる」というような相談をしながら作っていきました。

──横山さんはYUKIさん、MISIAさん、JUJUさんなどの楽曲を手がけているヒットメイカーですが、一緒に制作することで、得られることも多かったのでは?

トオミヨウさんもそうですが、勉強になることしかないですね。僕はずっと独学で曲を作ってきて、DTMでやっている人はみんなそうだと思いますが、オリジナルのやり方を持っていて。トオミさんも横山さんも、自分にはないチャンネルをすごく持っているんですよ。例えば「語るに落ちる」に入っているSEは、どこかの工事現場で録った音を加工して、浮遊感のある不思議な音にしていて。アイデアがすごいし、得られるものは本当に多いですね。

──4曲目の「青嵐」は美しいグルーヴと憂いのあるメロディを軸にしたナンバーです。

この曲は自分としても気に入っています。ひさしぶりに自分の机の上で完結している曲なんです。令和になる直前くらいに、別の曲の歌詞で行き詰っている時期にできました。真夜中に公園でボーッとしながら歌詞のイメージを膨らませているときに曲のアイデアが浮かんできて。今までにも夏とか梅雨をテーマにした曲は書いてきたんですが、夏のノスタルジーにフォーカスした曲はなかったから、それを形にしてみようと。僕の中で夏のイメージは、海ではしゃぐとかではなくて、部屋のソファから窓の外を見ていたり、急に雨が降ってきた音が聞こえたり、遠くでサイレンが鳴っているという感じで。それは僕だけにしかわからないノスタルジーなので、すべて自分だけで完結することに意味があるんだろうなと。ギターでサイレンのような音を作ったり、今までやったことがない実験的なこともやっていますね。トオミさん、横山さんとの制作のあとに作った曲なので、その経験を生かせた部分もあると思います。

──最後の「couch」はライブ映えしそうな曲ですね。

須田景凪

この曲は前作の「teeter」における「Dolly」に似た立ち位置の曲だなと思っていて。「couch」は“カウチポテト(couch potato / ソファに座ってテレビを見ながらダラダラと時間を過ごす人たちの俗称)”から来ているんですよ。一番言いたいことはサビの最後に詰まっていて、その人のペースで生きるしかないし、それはきっと間違いじゃないんだろうなと。さっきも言ったように、「Dolly」では前を向くことに疑問があったんだけど、「couch」ではそれを取り払って表現したいと思っていて。それができるモードに入れたし、今の自分の感じをうまく形にできたかなと。

──生々しいサウンドも印象的ですが、ライブ感みたいなものは意識していました?

そうですね。ひさしぶりに「わかりやすい曲を書きたい」という気持ちになれたし、いつもライブを支えてくれているバンドメンバーに合うだろうなと。ライブで一番映える曲になりそうだなと思ってます。

「音楽を渡している」という実感

──少し先の話になりますが、2020年2月からは全国7カ所を回るツアーを開催されます。「porte」の楽曲がライブでどうなっていくか、すごく楽しみです。

ありがとうございます。「青嵐」や「couch」もそうですが、リスナーの方からいろんな刺激を受けて、それを自分なりに解釈しながら、「こんなこともできる、あんなこともできる」と思って書いた曲もあって。その曲を皆さんの前で演奏できるのは、すごく楽しみですね。まだちょっと先なので、イメージできていない部分もありますが。

──ライブに対するモチベーションも上がっている?

「須田景凪 TOUR 2019 "teeter"」東京・中野サンプラザホール公演の様子。(Photos by Taku Fujii)

そうですね。皆さんの前で演奏して、いろいろな言葉や表情を受け取ると、「音楽を渡している」という実感があるし、自分自身も救われるんですよね。来年の2月には僕にもいろんな変化があるだろうし、ライブに来てくれる人たちにも変化があるだろうなと思ってて。それを持ち寄って、お互いの価値観をぶつけ合えたらいいな、と思っています。

──ライブのMCでも「こちらから返せるのは音楽だけ」と言ってますよね。

はい。「語るに落ちる」の話につながりますが、直接的に何かができるわけではないので。僕は音楽の人だし、それ以上でも以下でもない。今は音楽という大きな枠組みの中で、できることは何でもやっていきたいですね。

須田景凪のルーツ

──最後に須田さんの音楽的なルーツについて聞かせてください。ポルノグラフィティで音楽に興味を持ったあとは、どんなアーティストを聴いていたんですか?

Mr.Children、BUMP OF CHICKEN、RADWIMPS、ORANGE RANGEなどですね。高校のときに軽音楽部の顧問の先生の影響でTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT、THE YELLOW MONKEY、浅井健一さんなども聴き始めて、そういう楽曲をドラムで演奏していた時期も数年ありました。そのあともいろいろ聴きましたけど、今振り返ってみると、一番体になじんでいたのはグランジだったかもしれないですね。結果的に今はそういう音楽をやってないですが。

──ボカロ系の楽曲は?

高校生のときですね。自分のバンドを組んで、ダンスロック、J-ROCKをやっていたんですけど、家ではよくゲーム実況動画を観ていて。その中の1人が“歌ってみた”をやってたんです。「“歌ってみた”って何だろう?」と思って調べてみたら、その曲がVocaloidで。それをきっかけにして、ボカロの楽曲にもなじんでいきました。

──確かに須田さんの音楽には、2000年代以降のバンドの音楽とVocaloid系の楽曲のテイストが両方入っていますよね。ものすごく独創的だから、具体的にどういう音楽に影響を受けているのはわかりづらい気もしますが。

そうかもしれないですね。ラテンのリズムが好きなのはポルノグラフィティの影響だろうなと思うんですけど、メロディについてはよくわからないんですよね。自分のメロディはどこから来てるんだろう?って、いまだに思います。

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※特集公開時より一部表現を変更しました。

須田景凪「porte」
2019年8月21日発売 / Warner Music Japan / unBORDE
須田景凪「porte」初回限定盤

初回限定盤
[CD+DVD+ブックレット]
3240円 / WPZL-31649

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須田景凪「porte」通常盤

通常盤 [CD]
1620円 / WPCL-13090

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CD収録曲
  1. veil
  2. MOIL
  3. 語るに落ちる
  4. 青嵐
  5. couch
初回限定盤DVD収録内容
  • 「porte」concept movie
  • 「MOIL」music video
  • 「veil」music video
須田景凪(スダケイナ)
2013年より「バルーン」名義で動画共有サイトにVocaloid楽曲を投稿し、人気を博す。自身の曲を自ら歌うセルフカバーでも数多くの支持を集めており、「シャルル」のセルフカバーは2019年8月時点でYouTubeで4000万回以上再生されている。2018年1月、自身で書いた楽曲を自身で歌う須田景凪名義の初アルバム「Quote」をリリース。同年3月には東京・WWWにて須田景凪名義の初ライブ「須田景凪 1st LIVE "Quote"」を行った。2019年1月、ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルunBORDEより6曲入り音源「teeter」をリリース。8月には新作「porte」をリリースした。