音楽ナタリー Power Push - スカート
2016年の澤部渡
好きな人にフックアップされ続けてきた
──シングル「静かな夜がいい」発売直後には、また藤井隆さんのイベントにお呼ばれしてましたよね(参照:恵比寿で熱狂の一夜!藤井隆主宰SLENDERIE RECORDの「MUSIC AWARD」)。
あのイベントでは打ち合わせがほとんどなくて、出たとこ勝負なんです。僕は黒沢かずこ(森三中)さんの持ち歌でギターを弾くというのも重要な役割で。
──藤井さんもそうですし、いろんな業界の方がスカートの音楽を評価する声をよく聞いた1年という印象もあります。田島貴男(ORIGINAL LOVE)さんも、あるインタビューでスカートの名前を出して褒めてましたね。
本当にうれしいですね。ああ、小西(康陽)さんとお会いしたのも今年でした。小西さんのラジオ番組の最終回付近でお邪魔して。別の日にDJで一緒になってめちゃくちゃ緊張したんですけど、あるレコードをかけたら小西さんがバーッと寄って来て「俺もこの曲大好き! この曲かけてる人に初めて会った!」って言われて、うれしかったです。やっぱり続けるもんだなと思いましたね。好きだった人にちゃんとお会いできたり、届いたりするようになってきたんだなと。振り返ってみると、曽我部(恵一)さんや、直枝(政広 / カーネーション)さん、岸野(雄一)さん、もちろん慶一さんもそうですけど、僕はひたすら自分が好きな人にフックアップされ続けてきたんですよ。
──ムーンライダーズやカーネーションと呼応しながら、小西さんや田島さんともクロスオーバーできる若手アーティストって、実はあんまりいないんですよ。さらにスカートの場合は、そこにお笑いやアイドルも加わって。
スピッツまで入りましたからね。かなりミラクルは感じます。思わぬところからつながっていく、みたいなのも多いですからね。今はわからなくても2、3年後に縁になった、みたいな。
2017年の澤部渡
──2017年の澤部渡、2017年のスカートはどんな感じになりそうですか?
今、曲作りはけっこう調子いいんですよ。ただ、「CALL」と「静かな夜がいい」は確実に届けたいところに届いた実感があるし、それ以外の部分にもしっかり広がったと思うんだけど、その先がまだ見えないという感覚も自分の中にはあるんです。「自分の中で今一番いい曲だと思う『CALL』と、勢いがあって開けた感じの『静かな夜がいい』は出せた。さあ、次どうしよう?」っていうところです。
──さらなる開拓の余地というと……熱心な音楽ファン以外のところにも届ける要素でしょうか。単純なところだとラブソングとか。
それは今までやってこなかったことですからね。ラブソングかー。
──遠い目をしてる!(笑) ラブソングっぽく解釈できる曲は増えているように思いますけど、さらにもう少し意識してラブソングに近寄せてみるとか。
なるほどねー。でも本当に、2016年は「音楽をやりきった」ってようやく実感できた1年でした。来年に向けてまたいいお話もいただいてますし、新しいアルバムも来年中に絶対出すくらいの気持ちはあります。
──今は「2016年は人生で最高の年」という実感があるでしょうけど、来年はもっとよくしないと。
そうですね。2011年以降は仕事の面で言えば毎年「人生のピークは絶対ここだ」と思いながらやって、それを更新できているので。
──20代最後の年でもありますし、大事に過ごしてほしいです。
本当にもう、やるしかないです。今までもやってきてるんですけど、余計にがんばらないといけないなと。あとは、本当に今まで楽曲一本槍だったんで、もっとそれ以外の自分も出るといいなと思ったりはします。だけど、それってどうやるんでしょうね?(笑)
CD収録曲
- 静かな夜がいい
- 雨の音がきこえる
- おれたちはしないよ
- いつかの手紙
DVD収録内容
2016年5月27日 渋谷WWW “CALL”発売記念ワンマンライブより
- いい夜
- ストーリーテラーになりたい
- さかさまとガラクタ
- ともす灯やどす灯
- おばけのピアノ
- CALL
- シリウス
- 回想
スカート 1st Single「静かな夜がいい」発売記念ワンマンライブ “(できれば)静かな夜がいい”
2017年1月28日(土)東京都 WWW
スカート
シンガーソングライター澤部渡によるソロプロジェクト。昭和音楽大学卒業時よりスカート名義での音楽活動を始め、2010年12月に自主制作による1stアルバム「エス・オー・エス」をリリースした。以降もセルフプロデュースによる作品をコンスタントに制作し、2014年12月にはアナログ12inchシングル「シリウス」をカクバリズムより発表。2016年4月にはカクバリズムよりオリジナルアルバム「CALL」、11月には初のCDシングル「静かな夜がいい」を発売した。澤部はスカートでの活動のほか、ギター、ベース、ドラム、サックス、タンバリンなど多彩な楽器を演奏するマルチプレイヤーとしても活躍しており、yes, mama ok?、川本真琴ほか多数のアーティストのライブでサポートを務める。またトーベヤンソン・ニューヨーク、川本真琴withゴロニャンずには正式メンバーとして所属している。