SKE48「告白心拍数」インタビュー|選抜メンバーが抱えるそれぞれのドラマ (3/3)

CASE 3:荒井優希「取り柄のなかった私が見つけた2つの居場所」

──現在、荒井さんはアイドル活動のかたわら、東京女子プロレスの主力選手として大活躍しています。

荒井 もともと“個性がない”ということがアイドルとして根本的な悩みだったんです。歌とかダンスはパッとしないし、わかりやすい趣味があるわけでもなかったですし。無個性というのが本当にコンプレックスでした。よく勘違いされるんですけど、私の場合、プロレスが好きだからプロレスを始めたというわけではないんです。誘われたときはコロナ禍でアイドルのお仕事があまりできなくて、「楽しそうだからやってみようかな」「プロレスが趣味とか特技になればいいな」くらいの軽い気持ち。ただ自分でもびっくりしたことに、始めてみたらめちゃくちゃ面白かったんです。それに周りの方からも「すごく向いているよ!」って褒められることが多くて。

荒井優希

荒井優希

──アイドルの片手間でリングに上がっているわけではないということが、プロレスファンにも伝わったのではないでしょうか。

荒井 両方とも大事なんですよ、東京女子プロレスもSKE48も。両方をやるから価値があるといいますか。プロレスのリングに上がっているときも、どこかでSKE48メンバーとしての責任は感じています。東京女子の試合会場に来るお客さんの中には、アイドルなんてまったく知らないという方も大勢います。でも私としては、それでもSKE48を知ってもらいたいんです。プロレスがきっかけで劇場とか握手会に来てくれる方はけっこういますし。

──「SKE48は外部仕事が弱い」と昔から指摘されることがありました。その大きな壁を荒井さんが突破していると思います。

荒井 そうだといいんですけどね。それでいうと、東京女子のリングでSKE48がライブしたことも何度かあって。自分がメンバーを違うフィールドに連れていくことができたというか、外のお仕事をSKE48にフィードバックできたことには充実感を覚えました。今は昔に比べて外でのライブイベントが少なくなっているので、知らない人に見ていただく機会を作れることがすごくうれしいです。

太田 見ていると、大変そうだなと思うことは多いですけどね。私は同じTeam KIIなので、試合の次の日に公演をがんばってる姿を何度も見てきているわけですよ。試合で激しいファイトをして、そのまま札幌まで飛んできたり……。もちろん人一倍、疲労は溜まっているはずです。だけどSKE48の後輩たちには絶対に疲れたところを見せないし、そういう姿勢はリーダーの私もめちゃくちゃ刺激を受けています。

野村 アイドルとプロレスの“二刀流”だね(笑)。

太田 いや、でもホントそうですよ。球界には大谷翔平選手がいますが、アイドル界には荒井優希がいる! そう覚えてください。

荒井 なんかずいぶん大きく煽られちゃったな(笑)。

CASE 4:倉島杏実「同期メンバーたちとつかんだ“私たちの時代”」

──グループ活動は、自分1人ががんばったところで成立しません。数多くのメンバー、スタッフ、ファンと出会ったことで現在の倉島さんがあるはずです。ご自身にとっての“人生を変えた出会い”を教えていただけますか?

倉島 全部の出会いが大事だったと思います。でも、インパクトが大きかったのは同期と出会ったことかもしれません。そもそも私、地元でもお友達作りとかしたことがなかったんですよ。SKE48に入ったのは小学校5年生の11歳のときで、当時は「AKB48グループ最年少」と少し騒がれたりもしました。当然、周りが全員年上の中、どういうわけか私は自信満々だったんです。子供特有の我の強さが全身からあふれちゃっているような感じで。

倉島杏実

倉島杏実

──子供って根拠のない自信を持ちがちですしね。

倉島 そうなんです。ところがSKE48に入ったら、一瞬で鼻をへし折られまして(笑)。同期にはダンスが上手な子もいれば、歌が上手な子もいて、なおかつトークが上手な子、ファンの方へのアピールが上手な子もいる。「ヤバい! 早く追いつかなきゃ」と焦りました。自分が考えていた以上に、成長させなきゃいけないことがたくさんあったんですよね。それ以降も同期からはいつだって刺激を受けてきました。同期がいなかったら、私、ここまでがんばれなかったと思います。

──そうした倉島さんの成長ぶりが、今回のシングル「告白心拍数」で確認できるというわけですね。

倉島 はい! それに加えて「告白心拍数」の選抜メンバーは8期生が一番多いんですよ。私を含めて6人が入っています。加入したときから刺激を与え合ってきた仲間が、いつの間にかSKE48全体の中でも大事な役割を任せられるようになって……なんだか個人的にすごく感慨深いです。自分たちの時代がやってきたのかなって。「告白心拍数」は今のSKE48に注目していただきたいのはもちろんですが、8期生の勢いとパワーにも目を向けてください!

CASE 5:野村実代「個人の夢、そしてSKE48としての夢」

──野村さんはカミングフレーバーやラブ・クレッシェンドといった派生ユニットのメンバーとして活躍するほか、最近はモデルとして活動する機会も増えてきました。ここで改めて、将来の夢を教えていただけますか?

野村 実は最近、周りのスタッフさんたちとも将来のことを話す機会が増えてきたんです。ただ、私としては「最終的にどうなりたいの?」みたいなことを聞かれたときに、パッと思いつくものがなくて……。でも、ある意味ではそれが自分の答えなのかなという気もするんですね。アイドルを辞めた先のイメージが特に湧かないということは、今は将来について考えるより、目の前のアイドル活動に全力を注ぐべき時期なのかもなって。SKE48のメンバーとしてどこまでいけるかによって、今後の道はおのずと決まっていくでしょうし。それこそ今が勝負どころだなというのは、自分でもヒシヒシ感じています。

野村実代

野村実代

──野村さんの場合、以前から「アイドルとモデルの両立」を目標に掲げていましたよね。女性ファンも多いですし、今以上にマルチに活動したいという気持ちもあるのでは?

野村 もちろん身内だけにとどまらず、どんどん外にもSKE48を広めていきたいという気持ちは持っています。ただ気持ちばかり先走っても、こうしている間に1日1日がどんどん過ぎていくのは確かじゃないですか。最近は本当に日々を無駄にできないなって感じるんです。なので「1日1ファン増やす」というのを自分の目標にしているんですね。「たった1人?」って感じる方もいるかもだけど、その1人に知ってもらうことを全力でがんばりたいので。

──具体的には、どのような方法を?

野村 ほぼ毎日、生配信をやっています! 生配信、大好きなんですよ。SHOWROOMだったり、TikTokだったり……それを地道にやることで本当に1日1ファン増えているんですね。実際、「初めて握手会に来ました」って言ってくれる方もいますし。結局、自分で行動を起こさないと何も変わらないですから。今は自分が動くことでSKE48を好きになってくれる人が増えるということが心から幸せです。

──志が非常に高いですね。

野村 個人としての目標はそんなところだけど、SKE48全体としての夢はまた別にあります。もっともっと音楽番組に出たいし、世間に知ってもらいたい! やっぱり誰もが知っているアイドルにSKE48はなりたいんです。そしてSKE48で自分がセンターになることが、究極の目標です。今はその夢を追い続けていきたい。ファンの方もそれを望んでいると思いますし。これからSKE48はどんどんパワーアップしていくので、この勢いについてきてください!

左から太田彩夏、入内嶋涼、野村実代、倉島杏実、荒井優希。

左から太田彩夏、入内嶋涼、野村実代、倉島杏実、荒井優希。

プロフィール

SKE48(エスケーイーフォーティエイト)

AKB48の全国進出第1弾として、名古屋・栄に誕生したアイドルグループ。名称の由来は、活動拠点の栄(SaKaE)の頭文字。秋元康の総合プロデュースにより、2008年7月より活動をスタートさせた。AKB48同様「会いにいけるアイドル」をコンセプトに、栄にあるSUNSHINE SAKAE 2階のSKE48劇場にてTeam S、Team KII、Team E、および研究生が公演を行っている。2009年8月にシングル「強き者よ」でメジャーデビュー。2011年5月にエイベックスへのレーベル移籍を発表し、7月に移籍第1弾シングル「パレオはエメラルド」をリリースした。2012年に初めて単独で「NHK紅白歌合戦」に出場。2014年2月には愛知・ナゴヤドームで、2015年8月には愛知・豊田スタジアムで単独コンサートを開催した。2024年10月に33枚目のシングル「告白心拍数」をリリースした。