SKE48「告白心拍数」インタビュー|選抜メンバーが抱えるそれぞれのドラマ (2/3)

5人が語る今日に至るまでの道のり

CASE 1:入内嶋涼「辞めようと考えたことは何度もあった」

──さて、ここからは5人それぞれ今日に至るまでの道のり、ドラマを掘り下げさせてください。今回、入内嶋涼さんは25歳で初選抜となりました。もちろんおめでたいことではありますが、グループの中ではかなりの遅咲きという言い方もできると思います。正直、ここまでの活動で挫折しそうになったことはなかったんでしょうか?

入内嶋 辞めようと思ったことは何度もありました。「SKE48 超世代コンサート2022」という9~11期生の若手だけでやるコンサートが2年くらい前にあったんですけど、私は体調不良で途中から参加できなくて……。やっぱりつらいですよ、みんなががんばっているのに自分だけ出られないというのは。「なんで私って……」と自分をすごく責めてしまいました。

入内嶋涼

入内嶋涼

──アクシデントだから仕方ないと思いますが。

入内嶋 マネージャーさんからも同じことを言われました。「もう決まったことだから仕方ないんだよ」と慰められ、それでようやく前を向くことができて。大好きな先輩、Team Eのさとかほさん(佐藤佳穂)から優しい言葉をかけていただいたことも大きかったです。「やっぱり私はさあや(入内嶋の愛称)とまだお仕事がしたい。いつか選抜でも一緒に活動したいから、待ってるよ」と声をかけてくださって……。そこで「やっぱり辞めるのは、もう少しあとにしよう」と思い直したんです。

──そこまで思い詰めていたんですね。

入内嶋 研究生時代も疲労骨折とかが重なって、何度か卒業という文字が頭をよぎりました。思いとどまれたのは、やっぱり周りの人の存在が大きかったです。応援してくれるファンの方から「さあやの活動がまだ見たい」という声が届きましたし、家族もすごく応援してくれたんです。「ちょっとでも恩返ししたい」というのが自分にとって最大のモチベーションでした。

──それだけの苦労があったのだから、さぞかし今回の初選抜入りは胸に迫る思いがあったのでは?

入内嶋 いや、それがですね……。「選抜に入りました」って伝えられた場所が病院だったんですよ。

野村 えっ、どういうこと!?

入内嶋 ちょうどそのときは喉の調子が悪くて、声が出なかったんです。念願の選抜入りだから気持ち的には超うれしいんですけど、喜びの声も発することができない状態(笑)。リアクション薄めな自分が、もどかしかったです。ただ、声は出せなかったものの涙はポロポロこぼれてきましたね。周りの人はギョッとしたかも。

──でも、ファンはさぞかし喜んだのでは?

入内嶋 たぶん応援してくれている方は喜んでくださると思うのですが、私推し以外のSKE48ファンの方がどう思うのか? そこは不安な気持ちもありまして……。でも、それをひっくり返すくらいのパフォーマンスを見せるし、この新曲を盛り上げていければいいなと思っています。強気でいきます!

CASE 2:太田彩夏「先輩に救われた私が後輩にしてあげられること」

──14歳でSKE48に加入した太田さんは、来年で10年のキャリアになります。そんな太田さんが活動を振り返ってみて、今までで一番のターニングポイントはどこになりますか?

太田 うーん、やっぱりそれはTeam KIIに昇格したときじゃないですかね。確か2016年の終わりくらいだったかな。わりと初期だったと思います。大きかったのは、そのタイミングで自分の殻を破れたんですよ。というのも私、小さい頃は信じられないくらい内気な性格だったんです。口数も極端に少なかったし、自分の考えを発信するなんてもってのほか。だからMCとかも大変でした。

太田彩夏

太田彩夏

荒井 今の姿からは想像つかないですけどね(笑)。

太田 いや、でも本当に目も当てられないレベルだったんです。あまりにもビビりで、レジャー施設のマスコットキャラクターにも近付けないくらいでした。だけどTeam KIIの先輩たちがサポートしてくれたおかげで、少しずつ自分の考えを口にすることができるようになったんです。私が何か意見を言うと、すぐ周りの先輩たちが「それ、いいじゃん!」って感じで盛り上げてくれましたから。そうやって寄り添ってくれたことが自信につながったし、どんどん発信することで「あやめろ(太田)ってこういうキャラなんだ」とファンの方に見つけていただいたんです。

──現在の太田さんは、押しも押されもせぬTeam KIIのリーダー。かつて先輩たちに支えられたように、後輩たちをプッシュアップしなくてはいけない立場です。

太田 本当にその通りで。だから私としても、常に後輩たちの意見に耳を傾けるリーダーでありたいと考えています。例えばTeam KIIの中で新しいことをやりたいという意見が出たとします。そうしたらメンバーが打ち合わせをするスケジュールも調整しなくちゃいけないし、それはマネージャーさんにも連絡しなくちゃいけない。セットリストに関してはリーダーと副リーダーで決めるんですけど、みんなの意見を反映させたうえで方向性を固めたいですし。私は「引っ張っていくから、黙ってついてこい!」というタイプのリーダーではなくて、みんなと気持ちを共有しながら前に進んでいきたいタイプ。そういう点で言うと、今はみんなが私に共感しながらついてきてくれるので、すごく活動しやすい環境にいるなと感じます。チームとしての一体感もありますし。

──ほかのメンバーの目には、太田さんのリーダーぶりはどのように映っていますか?

野村 SKE48ってチームごとにカラーがバラバラなんです。例えば私がいるTeam Sは“ほんわか仲良し”みたいな雰囲気。それに比べてTeam KIIの場合は、あやめろさん自身が“リーダー”というより“ボス”って感じで君臨していますからね(笑)。

太田 やめてよ、そんな言い方(笑)。

野村 私がすごいなと感心したのは、掃除のこと。劇場公演って出演メンバーが毎公演ごとに楽屋をきれいにするんです。私たちTeam Sはのほほんした調子で掃除しているんですけど、Team KIIはあやめろさんが「はい、掃除掃除!」と一喝したら全員が「はい!」って従うらしいですからね。厳しい体育会系の部活みたいで、とても私はTeam KIIで生きていけないなと思いました。

太田 そんなところをほかのチームから目撃されているとは思わなかった(笑)。

野村 いや、でも掃除は大事ですから。おかげさまで最近はTeam Sもいそいそと掃除するようになりました。明らかに、あやめろさんの影響です。あやめろイズムがSKE48全体を侵略しかけているんですよ。

太田 だから、もっと優しい言い方にしてー(笑)。