SKE48「好きになっちゃった」インタビュー|31stシングルは清楚な夏曲!グループの今を7つのテーマで深掘り

SKE48の31枚目のシングル「好きになっちゃった」が7月5日にリリースされた。

表題曲「好きになっちゃった」は、好きな相手に対して一歩踏み出す勇気が出ない、不器用でもどかしい恋心を歌った夏の青春ラブソング。“清楚なSKE48”を感じることができるこの曲では、7期生・末永桜花が初めてセンターを務め、11期研究生の原優寧が初の選抜入りを果たした。SKE48ではここ数年、次世代メンバーの台頭が目立っているが、今回もフレッシュな顔ぶれが選抜メンバーに名を連ねている。

音楽ナタリーではこのうち、野村実代(チームS / 8期生 / 20歳)、江籠裕奈(チームKⅡ / 5期生 / 23歳)、熊崎晴香(チームE / 6期生 / 25歳)、原優寧(11期研究生 / 21歳)の4人にインタビュー。“SKE48の今”を鮮明にするべく、7つのテーマに沿って話を聞いた。

取材・文 / 小野田衛撮影 / はぎひさこ

① 「春のチームコンサート」で実感した各チームの絆

──グループの近況として、今年4月と5月に「SKE48 春のチームコンサート2023」が開催されました。奇しくも今回の4人はチームSの野村実代さん、チームKⅡの江籠裕奈さん、チームEの熊崎晴香さん、研究生の原優寧さんと所属が分かれています。このコンサートを通じて、自分たちのチームの特徴を再確認するような出来事はありましたか?

野村実代 チームごとの違いというのは、ものすごく感じましたね。私たちチームSは小室哲哉さんがプロデュース、牧野アンナ先生に全体曲の振付を担当いただいた「愛を君に、愛を僕に」という劇場公演を5月にスタートさせまして。本当に毎回倒れるんじゃないかと思うくらい必死に歌って踊っているんですよ。今回のチームコンサートも「愛を君に、愛を僕に」と同じくらい過酷なセットリストでした(笑)。

──セットリストもチームのコンセプトごとに異なるわけですね。

江籠裕奈 もう完全に違いますね。

野村 チームSの場合、MCを挟まず8曲連続でシングル曲をパフォーマンスするなど、とにかく「体力の限界に挑む!」という感じでした。セットリスト後半になると声が出なくなるくらいで……。ただ、レッスンを重ねるごとにステージに必要な体力が備わってきたことは自分たちでも実感していたんですよ。全体的に若いメンバーも多いですし。それで、なんとか乗り切れました。

野村実代

野村実代

──江籠さんのチームKⅡはいかがでしたか?

江籠 チームカラーって、やっぱりリーダーのキャラも大きく関係してくると思うんです。それで言うと、チームKⅡのリーダー・太田彩夏ちゃんは公演のたびに奇妙な“本日のテーマ”を作る人で。例えば「今日は“紅葉”でいくから」とか言うんですけど、突然、そんなこと言われてもポカーンとするじゃないですか。「紅葉? それってどう表現するの?」って(笑)。今回のチームコンサートでも「ミックスジュース」というテーマを掲げていました。

──ミックスジュースとは?

江籠 昔、SKE48は紅組と白組に分かれて活動していた時期があったんです。それを今のタイミングで再現したら面白いんじゃないかという話になり、2組に分かれて交互にパフォーマンスしました。紅と白を混ぜるとピンクになるじゃないですか。だから最後は全員でピンクの衣装を着て歌いまして。2組を混ぜ合わせたミックスジュースが完成というわけです。

江籠裕奈

江籠裕奈

熊崎晴香 チームEの場合は、「ファン第一主義」という点が最大の特徴だったかもしれないです。何をやったらファンの方が一番喜んでくれるのか? そのことをたくさん考えたうえで、全体の構成やセットリストも作られていました。とにかく最後まで飽きずに楽しんでもらおうと考えた結果、バラエティ番組みたいな要素も多くなりました。コンサートの開催前には性格診断をやるようにスタッフさんから言われて。メンバー間では「雑誌の取材かなあ」とか噂していたんですけど、実際はこの結果をもとにして、性格の似たメンバー同士でチームを組むことになったんです。そんなふうにしてチームのメンバーを決めるのは初めてだったから、すごく新鮮でしたね。

──企画性が強くて、初見の人でも楽しめそうですね。

熊崎 それから学力テストも事前にやらされまして……。「チームE推し」をパフォーマンスしているとき、その順位とコメントが発表されていくんです。こっちはちょっと恥ずかしかったけど、ファンの方は大笑いしていました。あとは寸劇みたいに、先生役と生徒役に分かれて学校を題材にした曲を歌ったりもしましたね。セクシーな先生だったり、ヤンキーっぽい生徒だったり、登場するのは濃いキャラばかりでしたが(笑)。

江籠 本当に3つのチームで目指す方向が笑っちゃうくらい違っていたんです。ときにはセットリストの中に同じ楽曲が入ることもあったんですけど、それでもやっぱりパフォーマンスは違ってくるんですよ。

熊崎 本番前にほかのチームのリハーサルを観ることができたんですけど、そこですごく刺激をもらいましたね。チームSに対しては「めっちゃ汗かいてる! 輝いてる!」と驚いたし、チームKⅡはユニークなリーダーを中心にしてまとまりがすごいなって感動しました。

──研究生である原さんの目には、各チームはどのように映りましたか?

原優寧 私たち研究生は昇格を目標にがんばっている最中なんですけど、コンサートのときに改めて先輩たちのすごさに気付かされたところがあります。本当に気合いが入ったし、「早く追いつきたい!」という気持ちがますます強くなりました。

左上から時計回りに野村実代、江籠裕奈、熊崎晴香、原優寧。

左上から時計回りに野村実代、江籠裕奈、熊崎晴香、原優寧。

② 最新シングル「好きになっちゃった」でつかんだ新たな手応え

──7月5日にリリースされる「好きになっちゃった」は、通算31枚目のシングルです。これまでのシングルと比べて、どんなところに違いがある作品だと思いますか?

江籠 まずはなんと言っても衣装! こんな小花柄の清楚な衣装、今までのSKE48では考えられなかったです。特に夏曲に関しては元気いっぱいに「イエーイ!」と騒ぐ感じが多かったので、斬新に映るんじゃないかと思います。原ちゃんは、どうだった?

 振り入れのときにすごく苦労しました。私はダンスが苦手で、ほかの曲でも苦労しているのに、「好きになっちゃった」でCRE8BOYさんが振り付けてくださった“恋花ダンス”はちょっと独特なところがありまして。今までのSKE48は、ダンスはパワフルに激しく踊るというのが特徴だったと思うんです。でも今回は歌詞に合わせて切ない表情で踊ったり、ステップで微妙なニュアンスを表現したりしなくちゃいけなくて。

野村 SKE48は常に全力で踊り続けてきたから、逆に「力を抜く」ことが苦手なんですよね。例えば「好きになっちゃった」のアウトロ部分では「花びらをつまみ、お花を本のしおりにしつつ、ページをそっと閉じて眠る女の子」をイメージしたパフォーマンスが求められまして。そんな柔らかい表現、私たちは経験したことがないから戸惑うばかりでした。どうしても「押忍!」みたいな感じになっちゃうんです(笑)。

熊崎 やっぱり体育会系だからね(笑)。

野村 逆に言うと、今回のシングルで初めて女性らしい柔らかさや優しさをきちんと表現できたんじゃないかと思っています。これまでになかった“清楚なSKE48”に注目していただければと思います!

③ 初選抜・原優寧、初センター・末永桜花のフレッシュな魅力とは?

──2022年4月にお披露目された原さんは、今作で初めて選抜メンバーに選ばれました。意気込みを聞かせていただけますか?

 11期研究生の中で初めて選抜メンバーに選んでいただいたので、そのことは素直にうれしかったです。でも、それと同時に焦りも感じますね。やっぱり先輩方と比べると、知名度はもちろんですが、実力面で追いつけていないので。今はミュージックビデオの撮影やそのリハーサルに臨んでいても、頭に浮かぶのは「がんばって少しでも差を縮められるようにしよう」ということばかり……。とはいうものの、入って間もない私が選抜入りしたことで、「ん? 知らないメンバーがいるな」とSKE48に興味を持ってくださる方もいると思うんです。微力ながら、自分きっかけで「好きになっちゃった」やSKE48の魅力が少しでも伝わればいいなと考えています。

原優寧

原優寧

江籠 いやー、発言がしっかりしている!

野村 驚いたんですけど、私、原ちゃんよりも年下なんですよ。

──原さんが21歳、野村さんが20歳ですね。

野村 最初は「ずいぶん年下の子が入ってきたなぁ」と思っていたんですけど、プロフィールを見たら1歳上だったから「嘘でしょ!? 信じられない!」ってビックリしちゃって。見た目と実年齢が釣り合っていない! 私よりも圧倒的に若く見える!

江籠 みよまる(野村)が老けているってことじゃないよね(笑)。

野村 違う、違う(笑)。私は年相応に見られる20歳なんですよ。原ちゃんの初々しさとか透明感がそれだけズバ抜けているってことを言いたいんです。このピュアな雰囲気は、アイドルとしてものすごい武器だと思いますね。第一印象からして「かわいいな」って誰しも思うはずだし、私も正直言ってうらやましい!

熊崎 あと、原ちゃんってめちゃくちゃがんばり屋さんなんですよ。「ダンスが苦手」とよく言っているので、どんな感じかなとリハーサルのときに見てみたら、ちゃんとがんばって踊れていたんです。その姿を見てマネージャーさんが感動していましたからね。「原ちゃん、みんなについていけてる!」って。

 ……改めて言われると、なんだか恥ずかしいです(笑)。

熊崎 今回のシングル、見本の振付動画を渡されてからMV撮影のリハーサルまであまり時間がなかったんです。リハーサルのときに隣で踊っている原ちゃんの姿を見て、たぶん必死で覚えたんだろうなと思ったら、私も心を揺さぶられちゃって。さっきも「早く先輩に追いつきたい」と言っていたじゃないですか。その気持ちがダンスから伝わってくるんですよ。本人は「まだまだ私なんて……」と考えているんでしょうけど、「自分が思っている以上に成長しているんだよ」って私は伝えたいですね。

熊崎晴香

熊崎晴香

野村 なんだか親目線みたいになってる(笑)。

熊崎 ああ、でも本当にそうかもしれない。きっとファンの方も保護者みたいな気持ちで応援したくなると思います。MVとかライブを観るたびに「原ちゃんが成長している! すごくがんばっている!」って感動するだろうし、健気な姿を見て「好きになっちゃった」となるはずです。

──新曲タイトルに絡めてアピールしていただき、ありがとうございます(笑)。そして今回センターを務めるのは21歳の7期生・末永桜花さんですが、彼女の注目ポイントは?

江籠 とにかく真面目なんですよね。その性格でメンバーの信用を得ている部分は大きいと思います。それからトレードマークになっているツインテール!

熊崎 おーちゃん(末永)のツインテールは、単に髪型だけの話じゃない気がします。人前に出る立場になると、やっぱり髪型を新しくしたいと思う瞬間があるんですよ。「今回の衣装だったら、ポニーテールにしてみようかな」とか。おーちゃんはアイドルとしての自己プロデュース能力がすごく高いから、ツインテールを貫き通しているんじゃないかな。お客さんの立場からすると「いつもツインテールにしている子か」って覚えやすいはずですし。私にとっては後輩にあたるけど、そのへんは本当に尊敬しています。

野村 あとライブとかイベントだと、ファンの方に目線を配る能力がすごい! ファンサの天才ですよ。ビームみたいな感じで、目力が半端じゃないですから。会場にいる全員が「あれ? 今、自分と目が合ったかな」って思うんじゃないですかね。それで“好きになっちゃった”状態になるんです。

江籠 またしても新曲タイトルに(笑)。でも本当に、おーちゃんはアイドルの鏡だと思います!