SixTONESに宿るロック魂、4thアルバム「THE VIBES」を全曲レビュー

SixTONESが4thアルバム「THE VIBES」をリリースし、2024年の活動のスタートを切った。

SixTONESなりのお年賀なのか、2020年のデビュー以降、毎年1月にフルアルバムを発表してきた彼ら。ジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹の6人は好奇心の赴くままにハードロックやヒップホップなどさまざまなジャンルを取り込んだ「THE VIBES」を完成させた。

音楽ナタリーでは、メンバーがカッコいいSixTONESの姿を追求したという「THE VIBES」を全曲レビュー。既発曲「こっから」「CREAK」といった4曲に、リード曲「アンセム」やユニット曲「Blue Days」「希望の唄」「スーパーボーイ」を含む新曲16曲を加えた計20曲から彼らの“GOOD VIBES”を感じ取ろう。

文 / 寺島咲菜

想像の斜め上を行く企画で、各作品のプロモーションを盛り上げてきたSixTONESとそのスタッフチーム。「THE VIBES」の情報解禁前には収録曲のタイトルを忍ばせたパズルゲームを、ユニット曲の組み合わせ発表前には“神経衰弱ゲーム”でファンの期待値を高めた。

「THE VIBES」は新たなチャレンジに向けての不安、失恋の痛みなどさまざまな感情に寄り添ってくれる1枚。これまでのアルバム(2021年1月発売の「1ST」 / 2022年1月発売の「CITY」 / 2023年1月発売の「声」)以上に、ライブ映えするようなロックチューンが大きな割合を占めている。SixTONESの中で燃え盛るロック魂。6人を突き動かす情熱の源とはなんなのか。この記事では彼らの熱いメッセージが込められた「THE VIBES」を通常盤、初回盤A、初回盤Bの収録曲順に紹介していく。

全仕様共通収録曲

01. こっから

[作詞・作曲・編曲:SAEKI youthK]
※2023年6月に発売された10thシングルの表題曲

髙橋海人(King & Prince)が若林正恭(オードリー)、森本慎太郎(SixTONES)が山里亮太(南海キャンディーズ)を演じた日本テレビ系ドラマ「だが、情熱はある」の主題歌の1つで、ミュージックビデオの再生数が1億2000万回(※特集公開時)を突破した令和のヒットソング。メンバーが阿吽の呼吸で繰り広げるマイクリレーはリスナーに衝撃を与えた。リリース後、SixTONESの今年の代表曲としてさまざまな番組で披露されてきたが、中でも大きな爪痕を残したのが12月放送のテレビ朝日系「ミュージックステーション SUPER LIVE 2023」出演時のひと幕。6人がステージで自由に躍動する姿、そして田中の即興ラップには感動すら覚えた。「この数分の1曲に命燃やして」という即興のリリックから、SixTONESがステージに懸ける並々ならぬ覚悟が伝わってきたからだ。「こっから」というラップナンバーをきっかけに、これまで以上にお茶の間に広く知れ渡ったSixTONESという存在。6人には間違いなく追い風が吹いている。

02. Alright

[作詞・作曲・編曲:Takuya Harada]
※新曲

「JAPONICA STYLE」(2020年7月発売「NAVIGATOR」期間限定盤カップリング曲)、「WHY NOT」(「CREAK」通常盤カップリング曲)の制作にも携わったTakuya Haradaの提供曲。浮き沈みがあってこそ人生──失敗や失態も受け入れて前へ進もうとする心情が、ブラックミュージックのエッセンスを感じさせる洒脱なサウンドに乗せて歌われている。あまり聴くことのできない田中の高音パートも聴きどころの1つだ。

03. アンセム

[作詞・作曲:YUUKI SANO、Hayato Yamamoto、YUKI(2D) / 編曲:Hayato Yamamoto]
※新曲

「THE VIBES」のリード曲はスタジアムロックのような解放感あふれるナンバー。4月にキャリア初となる単独ドーム公演「慣声の法則 in DOME」(参照:SixTONESレビュー|YOSHIKI、常田大希も駆けつけた初の単独ドームBD/DVD見どころは)を経験した今だからこそ、より説得力を持って届けられるのかもしれない。「こっから」で「このブレーキを 壊したいの したいの」と歌っていたSixTONESが、この曲で「Now breaking the wall Let it go リミッター取っ払って」と歌っているのがなんだか気持ちいい。理想を実現すべく仲間と猪突猛進する姿を歌った熱いエールソングだ。ライブ会場で「Wow…」とシンガロングする日が待ち遠しい。

ミュージックビデオの舞台は架空の大学“SixTONES University”。色彩豊かなキャンパス内でメンバーはハイテンションなパフォーマンスを繰り広げている。

04. ABARERO

[作詞・作曲:TSUGUMI、TOMOKO IDA / 編曲:TOMOKO IDA]
※2023年4月にリリースされた9thシングルの表題曲

SixTONESのシングル曲としては珍しいノンタイアップで、初の単独ドームライブ「慣声の法則 in DOME」に照準を定めて作られた曲。ヒップホップとEDMをかけ合わせたハードなサウンド、己のスタイルへのこだわりや「限界突破」をテーマにしたリリックが聴き手を刺激する。仲間との絆を示すような「We together コワいもんなし Monsters」というメッセージは、煽動的な言葉が並んでいるからこそ、ひと際まばゆい光を放っている。

05. Something from Nothing

[作詞:Jamesy Minimal、Soma Genda / 作曲・編曲:Naoki Itai、MEG(MEGMETAL)、Satoshi Setsune]
※新曲

SixTONESの楽曲でデスボイスを聴く日がくるとは思わなかった。「Something from Nothing」は「アンセム」と同様にスタジアムクラスのスケールを感じる、ヘヴィメタル調のナンバー。BABYMETALやBiSHにも楽曲提供してきたMEG(MEGMETAL)が作編曲で関わっている。

SixTONESは骨太なバンドサウンドの上でありあまるエネルギーを放出。「ほらみろ Now look at us! SixTONES」という歌詞からは、強烈なオーラを放つ誇り高き6人の姿が浮かび上がる。ライブでは「Something from Nothing」に合わせてヘッドバンギングするファンの姿が見られるかも。

06. Only Holy

[作詞:Daisuke Nakamura / 作曲:TAKAROT、Daisuke Nakamura / 編曲:TAKAROT]
※新曲

熱いパッションが詰まった「アンセム」や「Something from Nothing」とは異なるアプローチでSixTONESが届けるのは、穏やかなラブバラード「Only Holy」。乃木坂46、Little Glee Monsterなどに楽曲提供してきたDaisuke Nakamuraと、鞘師里保や小野賢章の曲に携わってきたTAKAROTによってSixTONES初のウインターソングが誕生した。メンバーのソフトな歌声、流麗なピアノやストリングスの音色が聴き手に優しく寄り添う。

07. DON-DON-DON

[作詞:ONIGASHIMA / 作曲:Scott Russell Stoddart、Mark Angelico Thomson、Taneisha Damielle Jackson / 編曲:Scott Russell Stoddart]
※新曲

「RAM-PAM-PAM」(2021年1月発売「1ST」初回盤A[原石盤]収録曲)、「Waves Crash」(2022年3月発売「共鳴」初回盤Aカップリング曲)の制作にも携わった作家陣が集結。SixTONESの定番とも言える情熱的なEDMに新たな1曲が加わった。楽曲からイメージされるのはヘビーなビートの上で夜通し踊る“パリピ”の姿。どんなシチュエーションで聴いてもたちまち気分が高揚してしまう、中毒性をはらんだパーティチューンだ。

08. Bang Bang Bangin'

[作詞:Atsushi Shimada、MiNE / 作曲:Jimmy Claeson、Andreas Ohrn / 編曲:Jimmy Claeson]
※新曲

「DON-DON-DON」からの「Bang Bang Bangin'」。こちらもライブを意識したようなEDMで、「Hey! hey! hey! hey!」と煽り続ける6人のパワフルさに聴き手は皆圧倒されるだろう。性急なビートに合わせて躍動する肉体と飛び散る汗──そんな光景が容易に想像できた。どこまでもタフなSixTONESの魅力がここにある。

09. SPECIAL

[作詞:CLAUDE S. / 作曲・編曲:O-BANKZ]
※新曲

Sexy ZoneやKing & Princeに楽曲提供してきたCLAUDE S.、V6やWEST.の楽曲制作に関わってきたO-BANKZが紡ぐポップチューン。「いつもありがとう bottom of my heart キミだけに送る special love」「大切な存在だから 見逃せない」という歌詞から、ファンに向けたメッセージソングと受け取った人も多いのでは。軽やかなサウンドとともに届けられる感謝の言葉が、自然と心を温かくする。

10. Seize The Day

[作詞:Soflan Daichi / 作曲・編曲:Shun Hasegawa]
※新曲

一聴するだけで心が揺さぶられるシンフォニックな英語詞のバラード。雄大なサウンドと「Don't be afraid of anything」「Forget the pain in your past」などのポジティブなメッセージはあらゆる悩みを吹き飛ばしてくれそう。

11. TOP SECRET

[作詞:CLAUDE S. / 作曲・編曲:O-BANKZ]
※新曲

「SPECIAL」と同じくCLAUDE S.とO-BANKZのタッグで生まれた、森本イチオシのヒップホップチューン。ループするエレクトロサウンドに乗せ、英語詞と日本語詞によって“友達を超えた秘密の関係”が描かれている。

12. CREAK

[作詞:Seiji Takagi / 作曲:Kengo Kuwata、Seiji Takagi / 編曲:Kengo Kuwata、Peach]
※2023年8月にリリースされた11thシングルの表題曲

探偵事務所を舞台にした松村と西畑大吾(なにわ男子)のダブル主演ドラマ「ノッキンオン・ロックドドア」の主題歌。扉をノックするSEで始まり、疾走感あふれるストリングスや狂騒感のあるピアノがスリリングな興奮をもたらす。歌詞の世界観は、事件に翻弄されながらも真実にたどり着こうとするドラマのストーリーとリンクする。