SixTONES初となるドームでの単独公演「慣声の法則 in DOME」開催から約半年、ライブの模様を収録したBlu-ray / DVDがリリースされた。
「慣声の法則」はSixTONESが今年1月に発売された3rdアルバム「声」を携え全国8カ所31公演を行い、のべ約52万人を動員したツアー。ジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹の6人はその集大成として4月に「慣声の法則 in DOME」を開催し、大阪・京セラドーム大阪と東京・東京ドームで5公演に臨んだ。ファンが待ち望んだパッケージ作品には、最終日にあたる23日の東京ドーム公演の模様が収められている。
SixTONESの原点と言えるオリジナル曲「Amazing!!!!!!」「IN THE STORM」、デビュー後のシングル曲である「NAVIGATOR」や「ABARERO」、ユニット曲の「OPA!」「愛という名のベール」「ラ・ラ・ラ・ラブストーリー」──SixTONESが届けたパフォーマンスには、心躍るエンタテインメントが詰まっていた。この記事では、SixTONES史に刻まれた東京ドームでの特別な夜を振り返る。
文 / 寺島咲菜
夢の舞台で響くジュニア時代の曲
マイケル・ジャクソンやマライア・キャリー、The Rolling Stonesをはじめとする世界的アーティストから、サザンオールスターズ、SMAP、嵐、X JAPAN、King Gnuといった時代を象徴する日本人アーティストまで、さまざまなスターたちがワンマンライブを行ってきた、多くのミュージシャンが目指す夢の舞台・東京ドーム。東西ジュニアによるイベントでデビューを発表したゆかりの深いこのステージに立つことは、SixTONESにとっても念願であった。グループ結成から8年、彼らはついにその夢を叶えることとなる。
客席を分断するように走るレーザー光線、ノイズが混じったシングル曲の音源、妖しげに動く照明装置が放つ光。あらゆる演出が約5万5000人を刺激し、ステージへの期待感を膨れ上がらせる。このツアーにはバックダンサーを担う後輩ジュニアが参加していないため、客席に広がる光の海は、紛れもなくSixTONESファンによって作り出されたものだ。
ドーム内が赤や青のライトで染まり、賛美歌のようなSEが荘厳な空気を作り出す中、メインステージでは古代の石像を思わせる顔型オブジェ“フェS”が5万5000人を待ち構える。2022年の「Feel da CITY」ツアーではS字のレール上をトロッコが移動する“Sカレーター”に観客の視線が釘付けになったが、守り神のように舞台を見下ろす6体の“フェS”の存在感にはそれを上回る衝撃があった。大きく口を開いた“フェS”をバックに、ジェシー、京本、松村、髙地、森本、田中が「Overture -VOICE-」で芳醇なハーモニーを響かせると、東京ドームはたちまち歓喜の声であふれる。リフターで徐々に下降し、観客の前に降り立つ6人を歓迎するように、ステージの至るところで噴き上がる何発もの炎や花火。ダイナミックな演出が観客の目を引く中、メンバーは舞台中央へとゆっくりと歩を進め、あぐらをかいてスタンバイした。そして序曲の次に披露されたのは、「声」の収録曲ではなく、ジュニア時代のオリジナル曲「Amazing!!!!!!」だった。東京ドームという大舞台で響く「俺らまだ原石さ」というフレーズで感慨に浸るファンも多かっただろう。ツアーファイナルを構成する全35曲のうち、デビュー前の楽曲は「Amazing!!!!!!」を含む7曲で、このうち「Amazing!!!!!!」「IN THE STORM」「Mr.ズドン」はCD化されていない。ドーム公演は、SixTONESがグループの初期を振り返りながら進化も示した集大成的な内容となった。
顔型オブジェに改造ジープ
「慣声の法則 in DOME」はSixTONES初のドーム公演とあって、“フェS”以外にもオーディエンスを喜ばせる演出やセットが用意されていた。彼らのライブを見慣れているファンにとっても驚きの連続だっただろう。広大なドームでメンバーが歌い踊る場所はメインステージと後方ステージ。この2カ所からは花道が延び、中間地点には六角形のステージが位置する。「慣声の法則」で初めて登場した、このヘキサゴン型のステージ。「6人それぞれの原石を磨いて輝かせる」という意味をグループ名に込めたSixTONESが立つこの“六角形”は、光り輝くダイヤモンドを表しているようだ。昇降式かつ回転式のこの舞台で6人は観客の熱い視線を浴びながらギターロックチューン「シアター」や、全編英語詞のEDMチューン「Dance All Night」をパフォーマンスした。
ライブ中盤の「Drive」(2023年4月発売「ABARERO」通常盤のカップリング曲)では扉や窓が取り外され、スピーカーで大胆にカスタムされたブルーのジープがお目見え。車体の前後にはCO2が噴き出すジェットガンが取り付けられている。改造ジープに乗り込んだメンバーは「Drive」を心地よさそうに歌いながらドーム内を1周。運転手は髙地が務め、ハンドルを握りながら歌声を届けた。
「Drive」の和やかなムードから一転、場内は闇に染まり、緊迫感のあるSEに合わせてレーザーの光が四方八方を照らし出す。白い光の線がメインステージに集中すると、そこには6人の姿が。厳かなクワイアをきっかけにスタートしたのは、「慣声の法則 in DOME」初日の3日前となる4月12日にリリースされた、9枚目のシングル曲「ABARERO」だ(参照:SixTONES「ABARERO」全曲レビュー|初の単独ドーム公演に向けて攻撃開始!6人の荒ぶる魂が目覚めるとき)。舞台では炎が高く燃え上がり、スモークがメンバーを覆う。初の単独ドームライブに懸ける6人の熱い思いは力みなぎるパフォーマンスに表れ、「We together コワいもんなし Monsters」という歌詞の通り“向かうところ敵なし”と言わんばかりのSixTONESのたくましい姿がステージに刻まれた。
「on eST」(2021年)、「Feel da CITY」(2022年)のツアーに続いて、今回も大きな見せ場を作ったのがユニット曲のセクションだ。サングラスでクールにキメた森本と田中は、EDMチューン「OPA!」を歌唱。エキゾチックなビートに乗りながら日本語と英語を巧みに操り、会場をダンスフロアへと変貌させた。ジェシーと松村がデュエットしたのはピアノバラード「愛という名のベール」。幻想的な光のショーが繰り広げられる中、2人はセンチメンタルな歌声を重ねる。クライマックスには大量の羽が彼らの頭上に降り注いだ。“渋谷系”をイメージした「ラ・ラ・ラ・ラブストーリー」でポップな世界観を作り上げたのは京本と髙地。ビッグバンドジャズ風味のにぎやかなサウンドに合わせ、キュートな魅力を振りまいた。
1年越しに果たされた約束
「東京ドーム絶対やるんで、そしたら来てください」「行きます。約束守ります」──田中は「SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル」の2022年5月21日放送回でYOSHIKI(X JAPAN、THE LAST ROCKSTARS)と約束を交わした。それから約1年後、この言葉が現実となった。YOSHIKIはSixTONESのデビュー曲「Imitation Rain」の生みの親。「Imitation Rain」はSixTONESの過去のライブでさまざまなハイライトを作り出してきた。
世界を股にかけて活躍するYOSHIKIはSixTONESとの約束を果たすためだけに来日。X JAPAN「ENDLESS RAIN」をピアノで弾きながら舞台のせり上がり装置で姿を現すと、5万5000人の前で無邪気にピースし、“Xポーズ”で会場を沸かせた。特別ゲストYOSHIKIの登場により、客席は“紅”へと染まっていく。そして、いよいよ「Imitation Rain」の演奏へ。ピアノを取り囲むように並んだ6人は、この日限りの特別なアレンジでデビュー曲を歌い上げる。曲が進むにつれて彼らのパフォーマンスは徐々にヒートアップ。ジェシーの「Mr.YOSHIKI!」というシャウトをきっかけに、YOSHIKIは激しいドラムソロも繰り広げた。「Imitation Rain」をフルサイズで披露し終えると、メンバーはYOSHIKIとともに改造ジープに乗ってファンとコミュニケーションを図った。ちなみにYOSHIKIが東京ドームの舞台に立つのは21回目だが、ドームでジープに乗るのは初めてだという。SixTONESとYOSHIKIのぜいたくなひとときはあっという間に過ぎ去った。
東京ドーム公演にはもう1人の特別ゲストが駆けつけた。2021年8月にリリースされた5thシングル曲「マスカラ」を手がけた常田大希(millennium parade、King Gnu)だ。SixTONESが「マスカラ」を歌っている真っ只中、耳をつんざくようなギターが鳴り響く。予期せぬ常田の登場に、客席からは地鳴りのような歓声が上がった。SixTONESはすぐさま常田のもとに駆け寄り、彼のプレイに合わせて心の赴くまま歌い踊る。その後、SixTONESと常田はジープの上でKing Gnu「Vinyl」、SixTONES「NEW ERA」の即興コラボも展開。東京ドームは驚きと喜びに満ちあふれた。
新しい時代への希望
「慣声の法則 in DOME」のフィナーレを目前に披露されたのは、ジュニア時代の楽曲「この星のHIKARI」と、「ABARERO」初回盤Bのカップリング曲「彗星の空」。いずれもファンからの人気が高い楽曲だ。新たな時代への希望を予感させるナンバーが畳みかけられ、場内には感動的なムードが広がった。SixTONES初のミュージックビデオが制作され話題を呼んだ「JAPONICA STYLE」をダブルアンコールで歌ったあと、SixTONESは5万5000人とともにお決まりのフレーズ「ズドン」を叫び、ライブの幕を下ろした。
ドーム公演では、SixTONESがファンに対して感謝を伝える場面もあったが、何よりもパフォーマンスを通じてその思いを届けようとする彼らの姿勢が印象的だった。ドームに立つ6人は間違いなくポップスターとしてまばゆい光を放っていた。「慣声の法則 in DOME」を終えて「ほかのドームも回りたい」と語っていたSixTONES。その目標が現実になる日もそう遠くはないだろう。
プロフィール
SixTONES(ストーンズ)
ジェシー、京本大我、松村北斗、髙地優吾、森本慎太郎、田中樹からなる6人グループ。2018年10月に「YouTube アーティストプロモ」キャンペーンに選ばれた。2020年1月にSnow Manと同時に1stシングルをリリース。デビュー曲「Imitation Rain」はYOSHIKI(X JAPAN、THE LAST ROCKSTARS)が手がけた。同年4月に冠レギュラー番組「SixTONESのオールナイトニッポンサタデースペシャル」がニッポン放送でスタート。最新アルバムは2023年1月にリリースした「声」、最新シングルは同年8月発表の「CREAK」。11月にはライブBlu-ray / DVD「慣声の法則 in DOME」をリリースした。
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