ナタリー PowerPush - シド
メンバーと振り返る10年史
2008年:安心して焼き肉が食べられるようになった
──そして2008年にはメジャーデビューを果たしてますが(関連記事)、メジャー進出はバンドとして想定していたことだったんでしょうか?
マオ そうですね。俺らはずっとメジャーデビューしたいって言ってて、でも事務所からまずは地盤を固めようって言われて。だから決まったときは満を持してっていう感じで、本当にうれしかったです。
──メジャーに行くことでファンが離れてしまう懸念は?
マオ いや、それまでも何度か離れてしまうタイミングはあったんで。「Sweet?」の時点で離れた人もいるだろうし、化粧を落としたタイミングで離れた人もいるだろうし。でもちゃんとやってればファンは戻ってくるって実証してきたんで、ビビったりはしませんでしたね。
──ちゃんとやるというのは?
マオ いい作品を発表して、ライブをやり続けることですね。そこを疎かにしなければファンもついてきてくれると思ってました。
──メジャーデビュー曲の「モノクロのキス」はアニメ「黒執事」の主題歌にもなりましたが、タイアップが付いたことでの変化とか……。
マオ その頃から安心して焼き肉を食べに行けるようになりました(笑)。
──アニメとのコラボレーションによって、バンドのイメージが固まっちゃう不安とかは?
マオ 俺らは全くないですね。タイアップした作品のイメージがバンドに付くのって、決して悪いことじゃないと思うんですよ。どうせだったら「『黒執事』と言えばシドだよね」って言われるくらいの曲を作ろうと思ったし。
──シドってライブの本数もですけど、リリースも多いバンドですよね。だいたい1年に1枚アルバムを出して、シングルも3~4枚発表してる。
マオ みんな真面目で働き者なんですよ。でも俺らはこれが普通だと思ってるんで。あと音源を作ってツアーをやるのが楽しいんで、どんどん出したくなるんですよね。
明希 作るのは大変ですけど、なんだかんだでポンポンできるほうだし。自分の中に浮かんだ断片的なフレーズを、曲に落とし込むのは毎回苦労しますけどね。でも締め切りはいつも守ってますよ!
2009年~2011年:ライブの緊張は快感
──2009年はバンドの真面目で精力的な面が発揮された1年で、ツアーを2回開催して、フルアルバム1枚とシングル3枚を発表してます。そしてメジャーでの地盤固めが終わったあと、2010年にさいたまスーパーアリーナ(関連記事)と東京ドーム(関連記事)で単独公演を開催しました。
明希 これはどっちも楽しかったですね。
──大会場だから緊張したりは?
マオ 俺はデカイところに弱いんで、ドーム前は緊張しましたね。まあビビリなんでしょうね(笑)。でもステージに立っちゃうと変われるというか。
──メンバー4人の中で一番の緊張屋は?
マオ ゆうやじゃない?
ゆうや 俺、マオくんと逆でステージに立ってから緊張するんですよ。
マオ 最悪だな(笑)。
ゆうや だから緊張してるからライブはあっという間ですよ。たまアリでマオくんが浴衣で出てきて盛り上がってたけど、俺はそれどころじゃないっすよ、緊張で。
マオ 俺が浴衣着たのアンコールだから! ってことは最後まで緊張しっぱなしじゃん。
──ライブハウスツアーだと緊張度合いが違ったりは?
ゆうや いやどんなライブでも一緒。もはや緊張してるのが快感なんですよね。だって生きてる中で、そんなに緊張する機会ってないし。それを味わえるのがライブなのかなって思うようになって(笑)。今では楽しんでます。
──ところで結成以来ほとんど休まず活動してきたシドですが、2011年は東日本大震災の発生によりツアーを中断せざるを得ませんでした。それがバンドに影響を与えたところはありますか?
明希 うーん……バンドのことよりもやっぱり状況が状況なんで、とにかくファンの方のことや被災地の方々が心配で。被災地になった地域で過去にライブもやってたし、混沌とした状況の中で果たして僕らは何をすべきか考えたし。会議に会議を重ねて、結局1本中止したんですけど、バンドも大切ですが、それよりも被災地のことが心配でしたね。今はほとんどこれまでどおり活動できてますけど、ツアーを再開するまでいろんな思いが交錯したし、考えさせられることが多かったです。
2012年:「M&W」ツアーの成果は浜スタで
──そして2012年は初の海外公演を含むキャリア史上最長のツアー(関連記事)を行ってます。ロングツアーならではの苦労ってありますか?
ゆうや 体調管理! でも「M&W」のツアーでは誰も体調崩しませんでしたね。
マオ 今は新品の服を買って厚着ができるんで、それで風邪をひかなくなりました(笑)。
──はははは(笑)。ツアーで得たものってありますか?
明希 ライブの成果って、次の作品を作り始めたときにわかる気がしてて。確かにいいツアーだったとは思うんですけど、まだ目に見える形では表現できてないですね。4月のアニバーサリーライブでその成果が出せたらうれしいですね。
──そのアニバーサリーライブは横浜スタジアム(関連記事)で行われますが、なぜこの場所を選んだんですか?
ゆうや 理由はひとつじゃないんですけど、アルバム「dead stock」のツアーで横浜を飛ばしちゃってるんでリベンジの意味もあったり。「dead stock」ツアーのあとで、僕らはこうなったよって横浜の人に観てもらおうかなって。
──ライブの構想は練ってますか?
マオ 10周年の始まりなんで、それを感じてもらえるかつシドの歴史を知ってもらえるものにとは思ってます。「あの曲やっちゃうの!?」っていう驚きもあるだろうし、かなり期待してもらっていいと思います。
- ベストアルバム「SID 10th Anniversary BEST」 / 2013年1月16日発売 Ki/oon Music
- 「SID 10th Anniversary BEST」完全生産限定盤[CD+DVD] 4800円 / KSCL-2178~2179
- 「SID 10th Anniversary BEST」初回限定盤[CD+DVD] 3800円 / KSCL-2180~2181
- 通常盤[CD] 3000円 / KSCL-2182
CD収録曲
- 夏恋
- 嘘
- アリバイ
- モノクロのキス
- 私は雨
- レイン
- 御手紙
- ミルク
- 妄想日記
- 妄想日記2
- 眩暈
- S
- sleep
- ハナビラ
- 白いブラウス 可愛い人
- and boyfriend
- エール
- V.I.P
完全生産限定盤DVD収録内容
10th Anniversary 秘蔵LIVE Collection PART1
- 2010.7.31 さいたまスーパーアリーナ スタジアムモード
SID Summer Festa 2010 ~SAITAMA SUPER LIVE~「ノイロヲゼパアティー」 - 2006.08.29 日本武道館 Summer Festa 2006「LIVE AT BUDOKAN」「chapter 1」
- 2005.7.26 昭和女子大学・人見記念講堂 角刈り限定ライヴ(嘘)「バーチャル晩餐会」
- 2010.3.4 新宿LOFT ライブハウスツアー「いちばん好きな場所2010」
スペシャル公演-男限定LIVE-「capsule」 - 2009.4.12 日比谷野外音楽堂 TOUR 2009「サクラサク」「Re:Dreamer」
- 2007.2.6 渋谷C.C.Lemonホール(渋谷公会堂)TOUR 06⇒07 ”play”「星の都」
初回限定盤DVD収録内容
10th Anniversary 秘蔵LIVE Collection PART2
- 2008.11.2 日本武道館 メジャーデビュー記念ライブ「刺と猫」
- 2010.3.11 Zepp Tokyo ライブハウスツアー「いちばん好きな場所2010」
スペシャル公演 -ペア限定リクエストカウントダウンLIVE-「できそこない」 - 2010.12.11 TOKYO DOME YEAR END CLIMAX 2010 ~全てのシドへ~「2月」
シド
マオ(Vo)、明希(B)、Shinji(G)、ゆうや(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に結成され、翌年1stアルバム「憐哀 -レンアイ-」をリリース。2005年には初の全国ツアーを開催し、全公演ともソールドアウトの快挙を成し遂げる。2006年には初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2008年にリリースした4thアルバム「センチメンタルマキアート」はオリコンウィークリーチャート8位を記録した。同年10月、シングル「モノクロのキス」でメジャーデビュー。2009年7月にはメジャー1stアルバム「hikari」をリリースした。その後も精力的なリリースとライブ活動を繰り広げ、2010年7月にはさいたまスーパーアリーナ、12月には東京ドームでのライブを行う。結成10周年を迎える2013年は、初のベストアルバム「SID 10th Anniversary BEST」のリリースをはじめ、アニバーサリーライブなどさまざまな企画を展開する。