ナタリー PowerPush - シド

メンバーと振り返る10年史

2004年~2005年:ライブが一番大切

──結成翌年の2004年には、早くも初のフルアルバム「憐哀-レンアイ-」を発表してます。レコーディング中の出来事って覚えてますか?

明希 ちゃんとしたレコーディングってそのときが初めてだったんですよね。アドバイスをくれるスタッフがたくさんいたりして、今までにない環境だったから、それに慣れるのでいっぱいいっぱいで。でもずっとアルバムを作りたかったんで、楽しかったですね。

Shinji ただすごいタイトなスケジュールで、毎日終電まで作業をしてて。結構休みなしの状態だったから、吹き出物はできるし……。まあ苦労も多かったですよ。

──アルバムを作り上げたことで次にいける自信が出てきたりは?

ゆうや 俺はなかったですね。もう解放感と満足感だけ(笑)。しばらく経って、ツアーでアルバムの曲を披露してから次にいける気がしましたけど。

──それが初の全国ツアー「2005 Autumn Tour “Sweet?”」になるんでしょうか。

ゆうや そうですね。あれは結構始まる前は不安だらけで。マトモにキャンペーンをやったことがないまま、いきなり全国ツアーだったし。でもね、すごいよかったんですよ。ホテルがちゃんとあったりして(笑)。「憐哀-レンアイ-」をリリースする前って、事務所にも所属してなかったから自分たちで車を借りて各地にライブしに行ってて、お金ないし、ホテルなんて泊まれないしっていう状態だったし。安心してツアーを回れた記憶があります。

──このツアー以降、シドはコンスタントにツアーを行ってますよね。会場の規模も、ツアーの長さも年々拡大してて。シドにとってライブはどんな位置付けのものですか?

マオ 結成当初からライブが一番大切だと思ってるし、ライブありきで動いてるので、やらないとすごく不自然ですね。音源もツアーやライブがあるから出すというスタンスだし。もちろん音源制作も100%の力を注いでますけど。

2006年:武道館アーティストなのに……

──初の全国ツアーを経て、翌年の2006年には初の武道館公演が行われました。先程少しマオさんにはお話いただきましたが、ほかの皆さんは初の武道館のステージはどうでしたか?

Shinji(G)

Shinji 始まる前から準備でとにかく忙しかった記憶があります。あと自分が思い描いていた武道館アーティストとは結構違うなと。

──どんなアーティスト像を思い描いていたんですか?

Shinji すごい外車で会場に乗りつけるようなイメージだったんですけど、自分たちは全然でしたね。

マオ Shinjiそのとき言ってたもんね。「俺ら武道館やってるのに貧乏じゃね? ヤバいな」って。

Shinji 武道館公演の1週間前がホントにお金なくて。ティッシュにマヨネーズ付けて食ってましたからね。

ゆうや それは嘘だろ!

Shinji 1回やってみたのはホント。すげえまずかったけど。

マオ 武道館に立ったらすごいアーティストになれる、ガラッと世界が変わると思ってたんだけど、実際はそれまでと変わらなくて。これは東京ドームとかやっても貧乏が続くのか、音楽をやる人って実はみんな貧乏なのかなって。絶望感を味わってましたね。

──そのときのモチベーションってなんだったんですか?

マオ 新曲を求められることだったり、ライブでの歓声だったり……ファンの声や喜ぶ顔ですよね。ホントにそれを支えにしてました。

2007年:「夏恋」きっかけでブーツイン!?

──2007年に「夏恋」がリリースされて、周りの状況が変わったんじゃないかなと思うんですが……。

マオ そこから新品のジーパンを買えるようになりましたね。スニーカーも汚れたら新しいのを買ったり。それまでは靴ひもがちぎれたら新しいのを買おうっていう感じだったんで(笑)。

ゆうや 僕は2007年くらいからブーツインするようになりましたね。

全員 はははははは(笑)。

──ファッションに変化が出てきたと。「夏恋」のヒットによって気持ちの余裕が出てきたからでしょうか?

マオ いや「夏恋」ってリリースした当初は、実際のところはあんまり売れなかったんだよね。2008年、2009年あたりにカラオケなんかで徐々に広がり始めて。でもそれまでに比べると確かにセールスは良かったかな。

──今ではライブに欠かせない曲のひとつになってますが、曲を作り上げたときはどんな感触を得ましたか?

Shinji 自分として手応えはあったんだけど、リリースした直後はあんまり反応がなかったんで……。だから、どんな曲を作ればいいのか、どんな曲がリスナーに響くのか悩んでましたね。とはいえライブ映えする、ノリがいい曲ができたのはうれしかったですね。自分がいい曲だと思ってても、ノリがよくないとライブでは披露しづらいし。

──Shinjiさんのいい曲の基準とは?

Shinji 聴いた人の耳に残ることですかね。アレンジが込み入ってる難しい曲も好きですけど、誰が聴いてもすぐ歌える曲は純粋にいい曲だと思います。

ベストアルバム「SID 10th Anniversary BEST」 / 2013年1月16日発売 Ki/oon Music
「SID 10th Anniversary BEST」完全生産限定盤[CD+DVD] 4800円 / KSCL-2178~2179
「SID 10th Anniversary BEST」初回限定盤[CD+DVD] 3800円 / KSCL-2180~2181
通常盤[CD] 3000円 / KSCL-2182
CD収録曲
  1. 夏恋
  2. アリバイ
  3. モノクロのキス
  4. 私は雨
  5. レイン
  6. 御手紙
  7. ミルク
  8. 妄想日記
  9. 妄想日記2
  10. 眩暈
  11. S
  12. sleep
  13. ハナビラ
  14. 白いブラウス 可愛い人
  15. and boyfriend
  16. エール
  17. V.I.P
完全生産限定盤DVD収録内容
10th Anniversary 秘蔵LIVE Collection PART1
  • 2010.7.31 さいたまスーパーアリーナ スタジアムモード
    SID Summer Festa 2010 ~SAITAMA SUPER LIVE~「ノイロヲゼパアティー」
  • 2006.08.29 日本武道館 Summer Festa 2006「LIVE AT BUDOKAN」「chapter 1」
  • 2005.7.26 昭和女子大学・人見記念講堂 角刈り限定ライヴ(嘘)「バーチャル晩餐会」
  • 2010.3.4 新宿LOFT ライブハウスツアー「いちばん好きな場所2010」
    スペシャル公演-男限定LIVE-「capsule」
  • 2009.4.12 日比谷野外音楽堂 TOUR 2009「サクラサク」「Re:Dreamer」
  • 2007.2.6 渋谷C.C.Lemonホール(渋谷公会堂)TOUR 06⇒07 ”play”「星の都」
初回限定盤DVD収録内容
10th Anniversary 秘蔵LIVE Collection PART2
  • 2008.11.2 日本武道館 メジャーデビュー記念ライブ「刺と猫」
  • 2010.3.11 Zepp Tokyo ライブハウスツアー「いちばん好きな場所2010」
    スペシャル公演 -ペア限定リクエストカウントダウンLIVE-「できそこない」
  • 2010.12.11 TOKYO DOME YEAR END CLIMAX 2010 ~全てのシドへ~「2月」
シド

マオ(Vo)、明希(B)、Shinji(G)、ゆうや(Dr)からなる4人組ロックバンド。2003年に結成され、翌年1stアルバム「憐哀 -レンアイ-」をリリース。2005年には初の全国ツアーを開催し、全公演ともソールドアウトの快挙を成し遂げる。2006年には初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2008年にリリースした4thアルバム「センチメンタルマキアート」はオリコンウィークリーチャート8位を記録した。同年10月、シングル「モノクロのキス」でメジャーデビュー。2009年7月にはメジャー1stアルバム「hikari」をリリースした。その後も精力的なリリースとライブ活動を繰り広げ、2010年7月にはさいたまスーパーアリーナ、12月には東京ドームでのライブを行う。結成10周年を迎える2013年は、初のベストアルバム「SID 10th Anniversary BEST」のリリースをはじめ、アニバーサリーライブなどさまざまな企画を展開する。