「DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024 ~帰って来たM.A.D~」特集|SORA(DEZERT)×Ken(L'Arc-en-Ciel)の仲良し決起トーク

2022年の年の瀬、日本武道館を熱狂の渦に巻き込んだライブイベントを覚えている人はいるだろうか? その名は「V系って知ってる?」。「V系の再興」をテーマに掲げたイベントにはD'ERLANGERを筆頭に、MUCC、DEZERT、アルルカン、キズ、girugameshら世代の異なるアーティストが集結し、“V系Respect Super Session”なるパートではBUCK-TICK、LUNA SEA、GLAY、DIR EN GREYらの名曲がセッションで披露されV系ファンの間で高い評価を得た。

あれから約1年半──。「V系って知ってる?」のオーガナイザーであるDEZERTのドラマーSORAによる新たな企て、「DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024 ~帰って来たM.A.D~」が8月24日に東京・Zepp Haneda(TOKYO)で開催される。このイベントは、2016年と2017年に行われたKen(G / L'Arc-en-Ciel)企画のライブイベント「PARTY ZOO」と、2016年に開催されたMUCCとAKiのダブルヘッドライナーツアー「M.A.D」の合体版。かつて「PARTY ZOO」に出ることを熱望していたSORAが一念発起し、Ken、MUCC、AKiを巻き込んで立ち上げたのがこのイベントだ。当日はMUCC、AKi、DEZERTの単独ステージに加え、Kenにまつわるエトセトラ、Sakura Session~君がくれたもの~、SlipKnot三郷、LUNA SEA Respect Session #2といった個性的すぎる名前のセッションバンドも登場し、真夏のZepp Hanedaで狂宴を繰り広げる。

開催を目前に控える中、音楽ナタリーではSORAとKenにインタビュー。「SUMMER PARTY ZOO 2024」が実現に至った経緯や、イベントの見どころを聞いた。

取材・文 / 西廣智一

イベント情報

DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024 ~帰って来たM.A.D~

2024年8月24日(土)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)
OPEN 16:00 / START 16:45 / END 21:20(予定)

出演者

MUCC / AKi / DEZERT / Kenにまつわるエトセトラ / Sakura Session~君がくれたもの~ / SlipKnot三郷 / LUNA SEA Respect Session #2

セッションバンド 参加メンバー

Kenにまつわるエトセトラ #1
千秋(Vo / DEZERT)、昴(Vo / Royz)、小柳(Vo / 夕闇に誘いし漆黒の天使達)、Miyako(G / DEZERT)、Sacchan(B / DEZERT)、SORA(Dr / DEZERT)

Kenにまつわるエトセトラ #2
千秋(Vo / DEZERT)、ミヤ(G / MUCC)、aie(G / deadman)、Sacchan(B / DEZERT)、SORA(Dr / DEZERT)

Kenにまつわるエトセトラ #3
逹瑯(Vo / MUCC)、Ken(G / L'Arc-en-Ciel)、YUKKE(B / MUCC)、SORA(Dr / DEZERT)、足立房文(Key)

Kenにまつわるエトセトラ #4
Shou(Vo / Verde/ / Alice Nine.)、[ kei ](G)、AKi(B)、Shinya(Dr / DIR EN GREY)

Kenにまつわるエトセトラ #5
逹瑯(Vo / MUCC)、千秋(Vo / DEZERT)、Shou(Vo / Verde/ / Alice Nine.)、Ken(G / L'Arc-en-Ciel)、[ kei ](G)、YUKKE(B / MUCC)、AKi(B)、Shinya(Dr / DIR EN GREY)

Sakura Session~君がくれたもの~
Ken(Vo / L'Arc-en-Ciel)、aie(G / deadman)、ミヤ(G / MUCC)、YUKKE(B / MUCC)、Sakura(Dr / gibkiy gibkiy gibkiy / Rayflower / ZIGZO)

SlipKnot三郷
架神(Vo / DEXCORE)、ミヤ(G / MUCC)、SAKI(G)、Masa(B / NOCTURNAL BLOODLUST)、Allen(Dr / MUCC Support)、SORA(Perc. / DEZERT)、Bikky(Perc. / CHAQLA.)、Sacchan(MacBook Pro / DEZERT)

LUNA SEA Respect Session #2
逹瑯(Vo / MUCC)、HIROTO(G / Alice Nine.)、Miyako(G / DEZERT)、AKi(B)、Shinya(Dr / DIR EN GREY)

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「PARTY ZOO」に出たかったSORAの直談判

──まずSORAさん、「DEZERT Presents SUMMER PARTY ZOO 2024 ~帰って来たM.A.D~」という新たなイベントを立ち上げた経緯を聞かせてください。

SORA 新しく立ち上げたつもりはないんですよ。MUCCの逹瑯さんとKenさんがラジオに出ていたときに、逹瑯さんが「『PARTY ZOO』、またやらないんですか?」みたいな話をしてて。その流れで、逹瑯さんが冗談で「SORAにやらせたらいいじゃないですか」と言っていたんです。

SORA(DEZERT)(撮影:西槇太一)

SORA(DEZERT)(撮影:西槇太一)

Ken (笑)。

SORA それを俺は聞き逃さなかったわけですよ。俺も以前、「MIDNIGHT PARTY ZOO」というイベントにMUCCのミヤさんに連れて行ってもらったり、「PARTY ZOO」の大阪公演を観に行ったりしたんですけど、みんなが本気で音楽で遊んでいて。そういう場に、俺もDEZERTとして出たいとずっと思っていたんです。なので、逹瑯さんが冗談でもそういうことを言ってくれたから、Kenさんと別件で電話をしていたときに「俺が『PARTY ZOO』をやったらどう思います?」と相談してみました。立ち上げたというよりも「俺も出たかったんで、やってもいいですか?」と提案したのが真相なんですよ。

Ken やってもいいけど、それとは関係なく新しいイベントをやればいいんじゃない、みたいな話からスタートした気がします。で、あとからタイトルが「SUMMER PARTY ZOO 2024 ~帰って来たM.A.D~」になったから、「PARTY ZOO」感が出てきたのかな。そもそも「PARTY ZOO」も結局僕が何かしたわけでもなく、出てくれていた人たちが中心で。むしろ僕の存在はおまけ感が強かったので、「SORAも気を使わずやったら楽しいと思うよ」という感じでした。

──かつ、今回は「PARTY ZOO」だけでなく、MUCCとAKiさんが2016年に実施したダブルヘッドラインツアー「M.A.D」もリンクしてきます。

SORA 「PARTY ZOO」と前後して行われた「M.A.D」も何度か観ていて。MUCCやAKiさんのステージにKenさんが出てきたり、そういう混ざり合いの中で大先輩たちがすごく楽しそうにしている姿を観て「こういうのが本当のイベントだよな。DEZERTもこういう人たちとステージに立ちたいな」と思っていたんです。でも、その頃のDEZERTは今よりも実力不足だったし、イベント自体も終了してしまった。そこからDEZERTが活動を続けていく中でMUCCやAKiさんとも仲よくなって、あるときAKiさんが「『M.A.D』またやりたいね。『M.A.D』の“D”ってDEZERTの“D”じゃん」と言ってくれて。しばらくしてからKenさんに「PARTY ZOO」の話をしたあと、MUCCは呼びたい、AKiさんも呼びたい、この人も呼びたいあの人も呼びたいといろいろ動いていたときに「『PARTY ZOO』と『M.A.D』を混ぜたらどうなるんだろう?」と思いついて、こういう形になりました。

Ken それぞれお互いのライブを観に行ったりレコーディングにも参加したりと、これまで一緒になる機会も多かったから、自然な流れだよね。そのあとSORAと話してて、「自分は何で出るんだい?」みたいな話をして。「『Kenにまつわるエトセトラ』という形で何かしたらどうだろうというやりとりとかをして。そうこうしているうちに「Sakura Session~君がくれたもの~」のほうが先に決まり、いつの間にか僕がそこでボーカルを担当することになってました(笑)。

Ken(L'Arc-en-Ciel)

Ken(L'Arc-en-Ciel)

気付いたらゲーム配信をする仲に

──SORAさんはDEZERTとしてはもちろん、2022年末には「V系って知ってる?」というイベントをオーガナイズするなど精力的に活動しているわけですが、KenさんとSORAさんの関係をひと言で表現すると?

Ken どういう関係なんだろうね? 当然音楽の話もイベントの話もするし、ドラムの話もすればギターの話もするし。タバコ休憩のときはどうでもいい話ばかりしてるし、最近はゲーム配信まで一緒にしてるし……もはやよくわからないよね。

SORA いろいろお話させてもらうようになってからもう8、9年ぐらい経ちますよね。

Ken そうだね……ああ、思い出した。水戸でMUCCがライブをしたときに、僕もSORAも観に行っていて。そこでSORAと自分が音楽に対して思っていることを話したのかな。

SORA それ、めっちゃ覚えてます。

Ken そのときに、SORAが僕の話に興味を持ったような気がしたんですよ。そうなると、もっとしゃべるわけじゃないですか。そこからいろいろ話題が広がっていって、気付いたらゲーム配信をする仲になっていた(笑)。なので、自分が興味を持っていることに対して関心を持ってくれた人ってことですね。

Ken(L'Arc-en-Ciel)

Ken(L'Arc-en-Ciel)

──そういう会話の中で、SORAさんは刺激をもらう機会も多かった?

SORA 刺激とかグサッと刺さる言葉というよりは……俺は基本、自分が知らないことをどんどん知っていきたいタイプなんですけど、クエスチョンマークが浮かんだときにKenさんと話すとヒントをもらうことが多くて。ただ、Kenさんから言ってもらったことをそのままインプットするんじゃなくて、「自分はこう思うんですけど、どうですかね?」とキャッチボールをするのが楽しいんです。

Ken いろいろ考えたり試したりしたことを「こんなことあったよ」と話しているだけ。そういう会話を通して僕自身が刺激をもらうこともあります。それはミュージシャンとして「そういうアティチュード、いいね」っていう刺激もあれば、考え方に対して「なるほどね、そういう考えもあるのか」という発見もある。今回のイベントとか周りを巻き込む熱さもSORAにはあるのかなと思ってます。

体育祭では先陣を切るSORA

──「V系って知ってる?」開催に際しても、SORAさんは各バンドのもとを訪ねて出演をオファーしていたわけで。今のKenさんのお話を聞くと、すごく納得するものがありますね。

SORA Kenさんにも以前言ったことがあると思うんですけど、俺は中学生の頃からたくさんの人を集めて、その人たちと何かをするっていうのが大好きだったんですよ。普段はやんちゃしているのに体育祭になると突然結束しだしたり、ボンタン履いてるくせに合唱祭になったら指揮者をやったり(笑)。だから、熱いって言われると「自分ってそういうタイプなのかな?」と思うんですけど、それ以前に2022年の武道館で得たあの感動があるから……今回も人を“集めた”という言い方はしたくないですけど、参加していただく人たちに対しての責任感は以前よりはあるのかな。武道館のときは入り込みすぎていて、責任云々以前に「死ぬかもしれない」と思っていたから。

Ken どういうこと?(笑)

SORA 「これがコケたら俺、死ぬな」と。でも、今回はお客さん含めてみんな笑顔で帰ってほしいし、ハッピーな1日にしたいというテーマがある。武道館の経験があったからこそ、もっと楽しんでやらないとダメだと思うんです。人って太陽があるところに集まりたいと思うじゃないですか。俺もそういう存在にどんどんなりたいんです。よく先輩たちからも言われるんですけど、「祭りの準備をするんだ!」みたいな感覚で楽しまないとダメだと。俺も昔、よく地元の祭りの手伝いをしていたんですけど、祭りが終わって片付けが終了したあとの景色とか、そのときに一服するのが大好きだったんです。その感覚を武道館のあとにも覚えたんですよね。

SORA(DEZERT)(撮影:西槇太一)

SORA(DEZERT)(撮影:西槇太一)

Ken なるほどね。

SORA あのときはいろんな先輩方から声をかけてもらって。特にHYDEさんからは言葉でどうこうではなく、背中でいろんなことを教えてもらいました。僕はそれを一方的に勉強させてもらったので、今度は「どうしたらもっと楽しくやれるのか」という思考で、めちゃくちゃ汗かきながらやぐらの準備をしているわけです。

──お客さんが集まって、みんなで楽しい空間を作るっていうことは大前提としてあるけど、そこにたどり着くまでにいろんな人を巻き込んでいく、その作る過程も含む一連の流れがSORAさんにとって愛おしいものなんですね。

SORA それこそ武道館のとき、俺が「何かやらなきゃ」って入り込んじゃうタイプだということを気付いてくれたのか、HYDEさんは「楽しもうぜ」ってひと言だけ連絡をくれて。それで解放された部分がありました。逹瑯さんからも「SORAは入り込みすぎちゃうタイプだから、イベントはゲームみたいに考えたほうがいいよ! SORAは楽しいからゲームをするでしょ? ゲームの中には難しいステージもあるけど、クリアしたら楽しいじゃん。もっとリラックスして楽しもうよ」と言われたことで、すごいスッキリして。で、今回はKenさんからも「SORAが楽しくないとダメ」と言ってもらって、全員同じことを伝えてくれるから、何かトラブルがあったとしても「これは『(スーパー)マリオ(ブラザーズ)』の8-3面だ!」と思うようにしています(笑)。

Ken (笑)。

SORA 周りが揉めていると、「マグマ来た! どうやって飛び越えよう?」みたいなマインドになれる(笑)。で、なかなかゲームがクリアできないと気分転換に友達の家に行ったり友達に相談したりするじゃないですか。そういう感じで今はゲーム配信をしている感覚ですね。