SawanoHiroyuki[nZk]|Uruを迎え打ち出した 新たな[nZk]サウンド

いつもと違うグルーヴ感を目指したカップリング

──カップリングには新曲「Roller Coaster」と、2ndアルバム「2V-ALK」に収められてた「Amazing Trees」のエクステンデッドバージョンが収録されています。特に「Roller Coaster」はグルーヴ感が澤野さんが今まで作ってきた曲とは違いますね。

この曲も昨今の海外のポップスの影響を受けてますね。「2V-ALK」でもそういうサウンドアプローチを自分なりに取り入れていて。特に「Club Ki3ε」という曲は気に入ってるんです。クラブミュージックと言うと大げさですけど、ダンサブルにしたいと思って作った曲で、Gemieさんの歌のハマり具合がすごくよかったんですね。なので今回のシングルでもカップリングではリズムを感じられるものを作りたいと思って、Gemieさんに歌ってもらったんです。

──リズムは軽く跳ねてますし、ギターやベースの演奏もファンキーな要素が強いですよね。

それとコーラスで作詞のBenjaminの声も入ってるんですけど、もともと彼が英詞で歌ってくれた仮歌が曲により洋楽っぽさを入れてくれてたので、せっかくだからBenjaminの声も入れたらいつもと違うグルーヴ感を出せるんじゃないかと思って入れたんですよ。あと、ベースも最初は指やピックで普通に弾いてもらってたんですけど、録音してるときにスラップで弾いてもらうとカッコいいんじゃないかと思って、ベースの田辺(トシノ)さんにお願いしたら「いいねえ」とおっしゃってくれて。自然とグルーヴが生まれましたね。僕も気に入ってます。

──Gemieさんの歌はサビの譜割りのリズミカルな感じも相まって、マイケル・ジャクソンっぽいノリを感じたりもしました。

そうそう、これは本人が喜ぶかはわからないですけど、レコーディングのときにmpiさんがGemieさんの歌を聴いて「The Jackson Fiveの頃のマイケル・ジャクソンのアプローチみたいですね」とおっしゃってて「言われてみたらそうだなあ」と思ったんですよ。

──「Amazing Trees」も新たにアンビエント感のあるイントロが加えられて、アルバム収録バージョンとは印象が変わりました。

この曲はアルバムだと1曲目のイントロダクションの曲からつながる流れだったので、今回は別のイントロを付けたいなと思ったんです。それを入れることで僕もアルバムのときとは違う印象で聴けるなあと思いました。新しいイントロはAメロで鳴ってるトラックを持ってきてうまく組み合わせて作ったんですけど、「自分はこの曲にこんなフレーズを入れてたんだな」って改めて気付くこともあって面白かったですね。自分が新たにやったグルーヴのアプローチを聴くことで、それを次の作品に生かせますから。

1枚のアルバムを作ってるような感覚

──それぞれタイプの異なる4曲が収録されていて、シングルとは言えボリューミーかつバラエティ豊かな作品になりましたね。

澤野弘之

今回のシングルは偶然にも表題曲が2曲ともバラード寄りのミディアムテンポの曲になったので、どう受け入れられるかなと思ってたんですけど、追加で2曲作ったことでいろんなものを見せることができて。大げさに言えば1枚のアルバムを作ってるような感覚でやれた気がしますね。シングルを作ってるといつも思うんですけど、今はタイアップ曲も配信とかで単曲で買えちゃう時代じゃないですか。でも作ってる自分としては、もちろん1曲1曲に対してものすごく力を入れてますけど、やっぱりトータルで聴いてほしい気持ちがあるんですよ。今回のシングルも4曲で1作品と言うか、アルバム的な感覚で聴いてほしい気持ちがあるので、皆さんにもそこを楽しんでもらえたらと思います。

──そしてニューシングル発売後の5月13日には、ワンマンライブ「澤野弘之 LIVE [nZk]005」の開催を控えています。会場はパシフィコ横浜 国立大ホールということで、[nZk]のライブとしては初のホール公演になりますし、ゲストボーカルも大変豪華ですね。

今までで一番ボーカリストが集まりますからね(笑)。なので歌ってもらう曲数はいつもより減ってしまうんですけど、自分としては今回の「005」というナンバリングは記念すべき5回目のタイミングということで、みんなと盛大にできたらと思ったんです。[nZk]のナンバリングのライブは今までお客さんと一緒に盛り上がれたらと思ってライブハウスでやってきたので、今回もそういう楽しみ方ができればと思いますね。

──しかも澤野さんが近作のプロデュースを手がけたDo As Infinityの参加も決まってます。

そうなんですよ。Do As Infinityさんとは、どこかしらで一緒に演奏できる機会があればと思ってたのでお願いしました。僕がDo As Infinityさんのツアーにも参加するので、その交換条件みたいなものですね(笑)。今回は一緒に作った曲をやろうと思ってます。

──いわば集大成的なライブになる予感がありますが、何か特別な構想はありますか?

これだけたくさんのボーカリストに出ていただく中で、お客さんが思う「この人が歌うならこの曲」というのを入れ込みながら、時間があっという間に感じられるようなステージにしたいと思いますね。舞台監督は「澤野さんを飛ばしてピアノを回したい」とか言ってるんですけど、それは無視します(笑)。

──それはかなり宇宙感ありますけどね(笑)。この先の展開を含め楽しみにしております。

ボーカルプロジェクトの[nZk]としてもいろいろ新曲を作っていきたいですし、そこから3rdアルバムをリリースできるような流れにしていきたいので、引き続き皆さんに興味を持っていただけたらと思います。

※記事初出時、固有名詞など一部表記に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

SawanoHiroyuki[nZk]
「Binary Star/Cage」
2018年4月25日発売 / SACRA MUSIC
SawanoHiroyuki[nZk]「Binary Star/Cage」期間生産限定盤A

期間生産限定盤A [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1203~4

Amazon.co.jp

©田中芳樹/松竹・Production I.G

CD収録曲
  1. Binary Star by SawanoHiroyuki[nZk]:Uru
  2. Cage by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
  3. Roller Coaster by SawanoHiroyuki[nZk]:Gemie
  4. Amazing Trees -extended ver.- by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
  5. Binary Star(instrumental)
  6. Cage(instrumental)
  7. Binary Star(TV size)
DVD収録内容
  • テレビアニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」ノンクレジットオープニングムービー
SawanoHiroyuki[nZk]「Binary Star/Cage」期間生産限定盤B

期間生産限定盤B [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1205~6

Amazon.co.jp

©創通・サンライズ

CD収録曲
  1. Cage by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
  2. Binary Star by SawanoHiroyuki[nZk]:Uru
  3. Roller Coaster by SawanoHiroyuki[nZk]:Gemie
  4. Amazing Trees -extended ver.- by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
  5. Cage(instrumental)
  6. Binary Star(instrumental)
  7. Cage(WALL-G edit)
DVD収録内容
  • 「Binary Star」MUSIC VIDEO
SawanoHiroyuki[nZk]「Binary Star/Cage」通常盤

通常盤 [CD]
1350円 / VVCL-1207

Amazon.co.jp

収録曲
  1. Binary Star by SawanoHiroyuki[nZk]:Uru
  2. Cage by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
  3. Roller Coaster by SawanoHiroyuki[nZk]:Gemie
  4. Amazing Trees -extended ver.- by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
  5. Binary Star(instrumental)
  6. Cage(instrumental)
澤野弘之 LIVE [nZk]005

2018年5月13日(日)
神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール

出演者澤野弘之 / Aimee Blackschleger / Aimer / Benjamin / Cyua / David Whitaker / Do As Infinity / Eliana / Gemie / mizuki / mpi / Tielle / Uru / Yosh

澤野弘之(サワノヒロユキ)
1980年生まれ、東京都出身の作曲家、編曲家。「医龍」シリーズやNHK連続テレビ小説「まれ」、「アルドノア・ゼロ」「進撃の巨人」「キルラキル」「機動戦士ガンダムUC」シリーズなど、ドラマ、アニメ、映画など映像作品のサウンドトラックを中心に、楽曲提供や編曲をするなど精力的に音楽活動を展開している。2014年春からはボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]を始動。その第1弾作品として「機動戦士ガンダムUC」シリーズの楽曲も共作したAimerと、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義のアルバム「UnChild」を発表した。2015年2月にはSawanoHiroyuki[nZk]の新作「&Z」と、自身の手がけたアニメーションのサウンドトラックの中からボーカル曲のみをセレクトしたベストアルバム「BEST OF VOCAL WORKS [nZk]」をリリースしている。同年9月にSawanoHiroyuki[nZk]の1stアルバム「o1」と、澤野名義のサウンドトラックベスト「BEST OF SOUNDTRACK【emU】」を発表した。2017年9月にSawanoHiroyuki[nZk]として2作目のアルバム「2V-ALK」、2018年4月にテレビアニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」のオープニングテーマ「Binary Star」と「実物大ユニコーンガンダム立像」のテーマソング「Cage」を収めた両A面シングルをリリース。

2018年4月25日更新