SAKANAMON「GUZMANIA」 PR

SAKANAMON|10周年を超えて“明るい日陰で咲く”グズマニアたちの新たな挑戦

SAKANAMONが8月7日にミニアルバム「GUZMANIA」(グズマニア)をリリースした。

本作には、彼らの結成10周年を記念したフェイクドキュメンタリー映画「SAKANAMON THE MOVIE ~サカナモンは、なぜ売れないのか~」のエンディング曲として書き下ろされた「箱人間」、イケてない男子ががんばるさまを描いたフォーキーなラブソング「矢文」、初のラップ歌唱に挑んだ「YAMINABE」といった個性あふれる新曲6曲のほか、リクエスト曲を募ったワンマンツアー「SAKANAMON THE UPDATE TOUR ~BUDDY→Victor→TALTO~」のファイナルとなった4月7日の東京・マイナビ赤坂BLITZ公演のライブ音源も4曲収録されている。ジャケットには、アニメーション作家で絵本作家の山村浩二が書き下ろしたイラストが使用された。

音楽ナタリーでは、SAKANAMONのメンバー全員にインタビュー。彼ら曰く「自分たちなりの新たな挑戦が詰まった1枚」だという新作について話を聞いた。

取材・文 / 田山雄士 撮影 / 前田立

“10周年ロス”にはなりたくない

──SAKANAMONは結成10周年のアニバーサリーを去年締めくくりましたけど、3カ月連続で配信シングルをリリースしたり、リクエスト曲を募ったツアーを行ったり、今年に入ってからも精力的にいろんなことをやってますね(参照:SAKANAMONが3カ月連続でシングル配信、リクエスト企画付きツアーも決定)。

藤森元生(Vo, G)

木村浩大(Dr) これまでやってなかった新しいことが、10周年を過ぎてからもまだまだできてる感じでうれしいです。今度「音楽居酒屋肴者」っていう初のアコースティックワンマンライブも大阪と東京でやりますし(※取材は7月初旬に実施)、そういうこともあってメンバー3人で話すことが以前より増えてきて。自分たちでやりたいこと、いいと思うことをもっと突き詰めるようになってるよね?

藤森元生(Vo, G) そうだね。10周年のイベントがあって、たくさんの方にめちゃくちゃお祝いしていただいて大団円だったんですけど、去年5月のワンマンツアーが終わった頃にはもう「これからどうしようか?」って話をしてました(参照:SAKANAMON、Zepp Tokyoで“ロックバンド”の10年振り返る)。楽曲制作は変わらず続けていたものの、指針が何もない状態というか、とてもふわっとしてたんですよ。

森野光晴(B) 自分たちでも盛り上げたし、周りの人たちも盛り上がってくれたし、バンド人生のピークを1回迎えちゃった感じがあったんです。でも“10周年ロス”にはなりたくないので、その不安を自信へ変えるためにいろんな試みをしてみようと。まず僕ら自身が飽きないように、そしてSAKANAMONのことを好きでいてくれてる人にこれからも楽しんでもらえるように、まだ聴いたことのない人にも届くように、とにかく手探りで突き進んでいきましたね。

藤森 改めてわかったのは、お客さんのリアクションは僕らを裏切らないと言いますか。こっちがいいと思って投げたものを、ちゃんと同じように受け止めてくれるんだなと感じました。それこそ、2月に配信リリースした「鬼」なんかは自分たちにとってはかなり冒険だった曲で。

──あの曲はビックリしました。次にどんな曲を出してくるのかがもうまったく読めないワクワク感が生まれたし、これからは予想するのさえ野暮なのかなって。

一同 あはははは!(笑)

森野 「考えるのをあきらめさせる」みたいな問題作ですよね。

藤森 「どういうリアクションが来るだろう」と思ってたら、すごく好意的な反応をもらえて、皆さんとても懐が深いなと(笑)。リクエスト曲の投票結果も「そうそう、この曲いいよね!」と一緒に言えるような納得のラインナップで、気持ちの共有ができたのが自信につながっていった感じがします。

──結果、バンドのフットワークが軽くなってきていますよね。

森野 そうですね。初ワンマンの再現ライブ(7月28日に大岡山 LIVE INN PEAK-1で開催)とかはたまたまライブハウスが15周年を迎えるタイミングだったから、そういう企画をやってみるのもいいかなって。

木村 murffin discs(所属レーベル)は「こんなのどうですか?」っていう僕らの思い付きを一緒になって面白がってくれるので、本当にいい事務所なんですよ。

元生の中にはいろんな形のロックがある

──新作の「GUZMANIA」は3カ月連続配信シングルやリクエストツアーの反応を踏まえて作った感じもありますか?

森野 どうなんだろう。でも「並行世界のすゝめ」「SECRET ROCK'N'ROLLER」「矢文」はリクエストツアーの最中に(藤森)元生が作った曲なので、今のSAKANAMONのモードがわかりやすく反映されてるのかなと思いますね。レコーディング自体はちょこちょこやってて、去年も何曲か録ってはいたんですけど。

藤森 録り溜めていた曲はわりとマニアックなのが多かったんだよね。

木村 今作で言うところの「YAMINABE」みたいな方向性のやつね(笑)。

森野 僕とキムさん(木村)がまったく演奏してない曲なんかもあったんで。ギターさえ弾いてないとか。

木村 「それを新作に入れるのはどうなのよ?」って。

SAKANAMON

藤森 もともとバランスを考えるほうですし、その反動もあって、今年はバシッとした姿勢のいい曲を作ろうとは思ってました。

木村 「並行世界のすゝめ」「SECRET ROCK'N'ROLLER」に関しては、リクエスト投票の結果も大きいんじゃない? 「みんなギターロックが好きなんだな」って実感したというかさ。

藤森森野 あー! それはそうかもね。

──ライブ音源も入ってるし、ロック色が強く出てますよね。SAKANAMONってコミカルな部分も魅力ですけど、やっぱり芯の強いロックバンドなんだなと思いました。

藤森 ありがとうございます。配信シングルは出していたけど、フィジカルのリリースはひさしぶりで待たせてしまった感じが勝手にあったので、ライブ音源も入れてボリュームのあるものにしたかったんですよね。

木村 激しくなってきたというか、とがってきた感じがします。元生の中にはいろんな形のロックがあるんだなと思ったし、新曲の6曲はどれも振り切ってるなって。

藤森 書いてるときはマイノリティ目線のつもりなんかまったくないのに、こうやってできあがってみるとどの曲も主人公の疎外感がすごいんですよね。みんな「あっち側」の人間というか。それがすなわち、ロックってことだと思うんですけど。

──ロックはマイノリティの叫びですからね。

藤森 そうですね。とにかく今までの全部の作品の中で一番マニアックなアルバムな気がします。自分がやってなかったことをギュッとまとめた感じがあるし、曲調1つ取ってもクセが強えなと。

森野 元生が作ってきたデモと最終的な完成品がより近くなった気もするんだよね。今回はセルフプロデュースだし、俺らとエンジニアさんの4人でほとんど進めていった感じだから、元生の脳内構図がダイレクトにバンと出て、キャッチーでありながら一段といびつでとがった仕上がりになったんだと思うよ。

木村 そうかもしれないね。アレンジを大きく変えようとしたら「キムさん、違うから! 違う!!」ってめちゃくちゃ怒られましたもん。元生は2回目の「違う」が超デカいんだよ。

藤森 そうだっけ(笑)。

森野 僕はこういう作り方も面白かったです。

木村 いい曲ができるなら、いろいろ試してみるのはアリだよね。