beatmaniaは楽器である

──最近はゲームセンターに多種多様な音楽ゲームが並んでいますし、スマートフォンのアプリでも音楽ゲームを楽しむユーザーが増えました。お二人は今の音ゲーを取り巻く状況についてはどう思っていますか？

Ryu☆　「音ゲー」というジャンルがすっかり成熟した感じがあります。アーケード版を皮切りに家庭用のゲーム、そしてスマートフォン用のゲームと、ハードに合わせてユーザーのプレイスタイルも変わってきていて。僕はアーケードでプレイするのが一番面白いと思っているんだけど、手軽さとか、タッチパネルの導入とかで、プレイヤー側もより手を出しやすいものに集まるようになっているのかなって。あと今の音楽ゲームって、音源をパラデータで納品するものと、2ミックスで納品するものがあるんです。要はゲームの中で楽曲を構成している音を奏でられるのがパラデータで納品したゲーム、そうでないのが2ミックスで納品したゲームで、今の音楽ゲームは基本的に2ミックスのものが多いんだけど、beatmaniaはずっとパラデータで。

Watanabe　要は叩いているビートがズレてくると露骨にわかるのがbeatmaniaなんだよね。

Ryu☆　はい。パラデータで納品してゲームを作るほうが大変なんですけど、2ミックス音源のゲームの場合はどこのリズムを取ってゲームにするかっていうところのコントロールがしにくいんです。自分も提供した曲で「そこのリズムとっちゃったか」みたいな経験があって。パラデータで納品してると、作り手が叩いてほしい部分の音を送れるので、作曲者の想定とのズレが少ないんじゃないかなって思って。

Watanabe　今のRyu☆くんの話を聞いて思ったけど、beatmaniaってゲームは結局楽器でもあったってことなんだよね。鍵盤を叩けばそれが合っていようが間違っていようが音が鳴る。これは間違いなく楽器の性質と一緒だから。それで、最近の音楽ゲームの中には楽器を持たされていないものもあるってことなのかな。

Ryu☆　そうです。本当にその通りですね。あとこれはbeatmaniaに限らないんですけど、音楽ゲームはすごくプレイヤーのことを褒めてくれるんですよ。1つ叩く度に「GREAT」とか「COOL」とか出てくるんです。それは音楽ゲームという文化のすごくいいところだと思います。

Watanabe　確かに。部屋の中で1人でピアノの練習をしたとしても、誰も褒めてくれないからね。でもゲームだと1つ音を出すごとに褒めてくれるわけだ。

Ryu☆　そうです。しかも曲が終わったら拍手と歓声まで用意されているんですよ。場合によっては後ろにギャラリーまでいるわけですから。例えばピアノを弾いてギャラリーが付くことはそうないですけど、ゲームセンターだとそれが日常的に起こり得る。音楽ゲームのだいご味だと思いますし、こういう要素があるからこそ、ずっと愛され続けてきたのかなって思っています。

20年を経て「Deep Clear Eyes」がもたらす意味

Ryu☆　3月31日に東京・新木場STUDIO COASTで「EDP presents ULTRA SUPER Fes'2018」ってイベントがあるんです。ビーマニ20周年をみんなでお祝いするイベントなんですが、Watanabeさんに出ていただきたいなって思っていまして……。

Watanabe　僕でいいんだったら、ぜひ。

Ryu☆　ありがとうございます。もう僕がフロアから観たいくらいです。

Watanabe　年末にbeatmaniaに関連するイベントに出させてもらったことがあって、僕の出番の最後に「Deep Clear Eyes」をかけたんだよね。そうしたらお客さんの中に涙を流している人もいて。その光景を見て僕自身も感動したし、「この曲はそういう意味を持つようになったのか」って、改めて発見したところもあったんだよね。

Ryu☆　僕もたぶん泣いちゃうと思います。今日はいろいろとありがとうございました。