ナタリー PowerPush - ROTTENGRAFFTY

近所の兄ちゃんが歌う「世界の終わり」

40歳手前のおっさんが素直な言葉を歌ってるのがいい

──「世界の終わり」「Reunion」の2曲には、どこか通ずるものがありますよね。「終わり」「別れ」というネガティブな場面をテーマに、ポジティブな気持ちをストレートに歌っているというか。

NOBUYA(Vo)

NOBUYA 曲によっていろんなテーマはあるけど、結局僕らが歌ってることって「俺らはここにいるんじゃ」とか、「俺はこうやって生きてんねん」「で、お前らどうすんねん?」みたいなことで。で、今のROTTENGRAFFTYはライブのMCで言ってるようなことを、そのまま音に乗せて歌ってるんですよね。40歳手前のおっさんが素っ裸みたいな素直な言葉を歌ってるっていうのがいいんじゃないかなと。だから若い人たちが受け止めてくれてるのかな。

──素直な歌詞が出てくるようになったっていうのは年齢を重ねたからですか?

N∀OKI 年齢もあるし、経験もあるし。大人になってきて、恥ずかしくなくなってきた。昔やったらもっとオブラートに包んで抽象的な例えとかにしてたんでしょうけど。なんかね、おっさんなんちゃいます?(笑)

──恥ずかしさはもうない?

N∀OKI もうないっすね。やっぱ伝わってナンボやって思うんで。10年前とかだったら「世界の終わり」みたいな言葉、出てきてなかったと思います。

京都の夏は「京都大作戦」、冬は「ポルノ超特急」

──今回シングルには自主企画イベント「ポルノ超特急」の様子を収めたDVDが付属します。「ポルノ超特急」というのは、ROTTENGRAFFTYにとってどんなイベントなんでしょうか?

N∀OKI(Vo)

N∀OKI 以前は不定期に開催してきたけど、今は年に1回の“確認する場所”というか、1年の総決算みたいな感じですかね。10年以上続けてるし、ちょっとずつ規模も大きくなってきたし、なくてはならへんものになってる。

NOBUYA ツアーでゲストに出てくれたバンドとまた再会したりとか、逆に何年も会ってなかったようなバンドを呼んでひさしぶりに競演したり。あとステージ上で僕らとちゃんと戦ってくれるバンドばっか呼んでるんで、すげー心地いい。僕らの意図をみんな汲み取ってきてくれるので。それはバンドだけじゃなく、お客さんも。

──仲間のバンドやお客さんとの信頼関係によって成り立っているんですね。

NOBUYA あと京都で同い年の10-FEETが夏に「京都大作戦」っていうとんでもないイベントをやってて「やっぱ10-FEETすごいな」っていうのと「悔しいな」っていう気持ちがあるんで、京都の夏は「大作戦」、京都の冬は「ポルノ超特急」って言われるようなイベントにしていきたいなと僕は思ってます。京都の表は10-FEETで、裏はROTTENGRAFFTYみたいなことを言われたりもしてたんですけど、そろそろ言われなくなるように勝負したいですね。

──自身のステージも、ツアーやイベントなどほかのライブとは違う気持ちですか?

N∀OKI いや、一緒です。人のツアーであろうが、自分たちの企画であろうが、どこの会場であろうがそれは関係ないですね。

パイを広げていきたい

左からN∀OKI(Vo)、NOBUYA(Vo)

──このイベントの出演者もそうだし、ツアーのゲストとか見てもそうなんですけど、ROTTENGRAFFTYって独特な立ち位置のバンドだなと思っていて。やってる音楽はラウドですけど、いるシーンはラウドシーンではないですよね。

N∀OKI まったく俺はラウドを背負ってるつもりもないし、「ラウドシーン盛り上げるぞ!」みたいな気持ちはない。いろんなジャンルの人らとパイをデカくしていきたいなっていうのはすごいありますけど。メロディックとかは近くなってきてますけど、レゲエとかヒップホップとかジャズとかも、混ざらへんとかじゃなくて、こっちが混ぜて提示していけたらと思ってます。知らないだけで、聴いてみたらハマるような音楽もあると思うし。「ポルノ超特急」もそういうイベントでありたいですね。「いつものメンツ感」はなくしたい。そういうのは他にあるし、自分らにしかできへんことをやっていきたいですね。

──先ほどNOBUYAさんはお客さんの取り合いになってるともおっしゃっていましたが、今いるバンドシーンについてどう思ってますか?

NOBUYA 俺も「シーン」っていう考え方はないです。ただ、今ライブハウスで活躍している、メロディック、スカ、ラウドあたりのバンドのお客さんってほぼ同じなんですよね。1つの塊をいろんなバンドが取り合ってるというか。だからこそ僕たちはいろんなことにチャレンジして、たくさんの可能性を広げたいですね。

ニューシングル「世界の終わり」 / 2014年6月11日発売 [CD+DVD] 1944円 / PINEFIELDS RECORDINGS / PINE-0029
「世界の終わり」
CD収録曲
  1. 世界の終わり
  2. Reunion
DVD収録内容

ポルノ超特急2013 in響都KBS HALL

  1. 金色グラフティー
  2. STAY REAL
  3. ill-usion
  4. I & I
  5. D.A.N.C.E.
  6. 零戦SOUND SYSTEM
  7. 悪巧み~Merry Christmas Mr.Lawrence
  8. This World

Documentary

ROTTENGRAFFTY(ロットングラフティ)

NOBUYA(Vo)、N∀OKI(Vo)、KAZUOMI(G, Programming)、侑威地(B)、HIROSHI(Dr)により1999年に京都で結成されたロックバンド。パンクやラウドロック、打ち込みなどさまざまな要素を取り入れたミクスチャーロックサウンドが魅力で、関西を中心に精力的なライブ活動を行う。2001年2月にミニアルバム「RADICAL PEACE×RADICAL GENOCIDE」をリリース。2003年3月発売のミニアルバム「SYNCHRONICITIZM」ではIKUZONE(Dragon Ash)をプロデューサーに迎え、楽曲に更なる厚みを加えた。同年11月にシングル「悪巧み~Merry Christmas Mr.Lawrence」でメジャーデビュー。その後も数々の作品を生み出し、2006年にJ(LUNA SEA)が立ち上げた新レーベル「INFERNO RECORDS」に移籍。シングル「マンダーラ」をリリースした。その後、2010年に約4年ぶりとなるアルバム「This World」を発表し、ロックファンに健在ぶりをアピール。2011年にはベストアルバム「SILVER」「GOLD」を発表、レコ発ツアーは各地でソールドアウトとなる。2013年にリリースした5thアルバム「Walk」がバンド史上最高セールスを記録。約8カ月にわたる全国ツアーも大成功に収めた。そして2014年6月、5thシングル&DVD「世界の終わり」をリリース。