「A.I.M.$」(エイムズ)雫(ポルカドットスティングレイ)|書き下ろしのキャラクターソングで引き出す “無口な反重力スナイパー”アンチの魅力

スマートフォン向け新作対戦ゲーム「A.I.M.$ -All you need Is Money-」(以下エイムズ)は、悪徳企業が支配する「極天シティ」を舞台に、ギャングたちが制限時間内に一番多くの現金を強奪することを目指して戦うゲーム。音楽監修を蔦谷好位置が担当し、主題歌「All You Need」を手がけたMAN WITH A MISSIONのほか、SKY-HI、Creepy Nuts、ROTTENGRAFFTY、Fear, and Loathing in Las Vegas、BAD HOP、ポルカドットスティングレイ、渡辺直美、Dizzy Sunfist、Vaundyという豪華なアーティストが参加していることも話題を集めている。

音楽ナタリーでは、「エイムズ」特集の第2弾として、“無口な反重力スナイパー”アンチのキャラクターソング「化身」を制作したポルカドットスティングレイの雫(Vo, G)にインタビュー。楽曲制作のプロセス、「エイムズ」をプレイした感想、さらにポルカドットスティングレイのニューアルバム「何者」についても聞いた。

取材・文 / 森朋之 撮影 / 高田梓

一番カッコいい曲を作って、人気のキャラクターにしたい

──「エイムズ」のキャラクターソング制作には、ポルカドットスティングレイをはじめ、MAN WITH A MISSIONやSKY-HI、Creepy Nutsなどのトップアーティストが参加しています。オファーがあったときは、どう感じましたか?

雫(ポルカドットスティングレイ)

負けたくないなと(笑)。ほかのアーティストの皆さんがどう思っているかわからないけど、私にとってはギャング同士の戦いみたいなものだし(笑)。「一番カッコいい曲を作って、アンチを人気のキャラクターにしたい」と思って、ホントにがんばりましたね。

──すごい気合いですね! まず、“無口な反重力スナイパー”アンチというキャラクターの印象はどうでしたか?

最初、名前を確認しないで絵だけを見させてもらったんですけど、「一番かわいいな」と思ったキャラがアンチだったんですよ。その時点でテンションが上がったし、ビジュアルから受けた印象は歌詞にもガンガン反映させていて。反重力で浮いたまま移動することだったり、特徴的なヘアスタイルだったり、もちろん“口数が少なくて、パッと見た感じはおとなしそうなスナイパー”という設定もそうですけど、かなりアンチに寄せた、「エイムズ」要素が強めな歌詞になっています。とはいえ「エイムズ」を知らない人にもギリギリ伝わる歌詞だと思うし、「#化身」でツイートしてくれている人の中には、「これは別れた彼氏に向けた切ない恋愛ソングなのでは」みたいな考察をしている人もいて。そうやって楽しんでもらえているのはありがたいですね。

全員、アンチと我々のファンになれ!

──高速のBPMと、各楽器のフレーズがせめぎ合うアレンジも印象的でした。ポルカらしさとアンチのキャラクター性がしっかり感じられるサウンドですよね。

ありがとうございます。ゲームをプレイしているときの音楽って、めちゃくちゃ大事じゃないですか。BGMによってテンションが上がるかどうか決まるし、バトル中の操作感にも影響するので。今回もまずはプレイヤーの気持ちをアゲることを考えたんですけど、ただアゲアゲのポップソングだとアンチのキャラに合わないなと。あと、アンチは浮かんで移動する設定なので、「8ビートの疾走感だと、地に足を付けて走るイメージになっちゃうな」とか、けっこう悩んで。いろいろ試した結果、めちゃくちゃ速い16ビートになったんですよ(笑)。その分、楽器隊は大変そうでしたね。

──ギターもベースも難易度の高いフレーズを弾きまくっていて。

雫(ポルカドットスティングレイ)
雫(ポルカドットスティングレイ)

全員、大暴れですね(笑)。歌のことはとりあえず無視してもらって、「3分半、ずっと俺のソロ」みたいな感じで弾いてもらったんです。アンチはおとなしい性格だけど、きっと内に秘めているものがあると思ったんですよね。「口に出していないだけで、頭の中はこんな感じなのでは」というイメージを楽器隊で表現していて。少しくらいコードがぶつかっても気にしないでガンガン攻めてもらったんですけど、レコーディングではみんな苦しんでいて、ウケました(笑)。ギターのエジマハルシは「速すぎる。もうヤダ」と言ってましたね。

──(笑)。ギターソロも炸裂してますからね。

そうなんですよね。「化身」には、インターネット界隈で人気のある曲というか、“ボカロPがバンドを組んで作った曲” みたいなイメージもあって。「そういう曲のほうがポルカにも『エイムズ』にも合うはず」という判断だったんですけど、そういう曲は構成がハッキリしていることが多いんですよ。Aメロ、Bメロ、サビがしっかりあって、フレーズが複雑に絡み合っていても、リスナーは何を聴けばいいかわかる。なのでギターソロも「ここがギターソロです」とハッキリわかるようにしたかったんですよね。

──なるほど。実際に「エイムズ」をプレイして、「化身」が流れてきたときはどうでした?

めっちゃテンション上がりましたね! 制作中にテストプレイの画面に「化身」を当ててみて、BPMやアレンジの調整もやったんですけど、実際に合うかどうかはローンチされて本番の環境になってみないとわからないじゃないですか。やってみると、アンチが浮いて移動している場面と「化身」がめちゃくちゃ合っていて、「最高!」って(笑)。ユーザーの方も「アンチ、マジかわいい」「ポルカ優勝」とツイートしてくれて、うれしかったですね。「全員、アンチと我々のファンになれ!」と思いました(笑)。