ナタリー PowerPush - RAM RIDER
アルバム「AUDIO GALAXY」2枚同時リリースで本格再始動
伝わる歌詞を書くということ
──内容的には「AUDIO GALAXY - RAM RIDER STRIKES BACK!!! -」のほうが内省的な面が強い気がします。
まあ歌詞がね。僕の歌詞はほぼ実体験をベースにしてるので。
──1人で歌っている分、よりリアルに聞こえるのかも。
僕、歌詞っていうものに興味がないまま生きてきたんです。で、前作を出したあと、いろんな人のプロデュースをしながら、音楽の歌詞っていうものに初めてちゃんと向き合った気がしてて。だから今回そこはある意味改良点っていうか、歌詞はものすごく良くなっているはず。
──具体的には?
意味がわかんない歌がない。
──そういうこと?(笑)
いや、ほんとに(笑)。今回はちゃんと気持ちが伝わる歌詞が書けたと思う。そこはでかいんじゃないかな。以前は「ユメデアエルヨ」とかもそうだけど、表面上はドリーミーな感じなんだけど、実はストーカーの妄想を歌った歌だったりとか、そういう仕掛けをいつも入れて、1人でニヤニヤしてたんです。でもそれって人には伝わらない遊びだなと思って。そういう言葉遊びはもういいから、もっと普通に伝わる歌詞が書きたくて。
──例えば「Memory」とか、すごく切ないラブソングですよね。
それもほんとに実体験から生まれた曲ですね。この何年かでそういう歌詞が書けるようになった。以前の歌詞に比べて具体的になってるし、より共感を得られるようにっていうのは考えましたね。日本語のポップス、J-POPとして完成度の高いものを作ったつもり。
──じゃあ日記みたいに、起こった出来事をそのままアウトプットしてるわけではなく。
それはそう。だって実際会うと僕、人の悪口とかばっか言ってるじゃん。
──あはは(笑)。
歌詞の中では、そこはナシにして、ちょっとナイーブなとことかね、1人の男の悩む姿が見えてくるようにって思ってる。ちょっといいかげんだったり、いやらしいところも含めて。
──そしてRAM RIDERの歌詞は一貫してロマンチックですよね。
ロマンチストだからね(笑)。
──しかも結構ナイーブで。この人大丈夫かな、この音楽業界をよくサバイブできてるなって思うくらい。
ナイーブだけど自分を守る術をいっぱい知ってるから大丈夫なんだよね。言い訳とか理由付けが得意だから。そのおかげで7年間大丈夫だったのかもしれない。自分自身は意外と図々しいし。それに何気に最初に拾ってもらった人にすごい鍛えられてるから。
──だから活動を続けられている?
バンドだったら無理だったかもしれないけど、1人の人間だからね。その分友人や仲間に恵まれたっていうのはすごく大きい。生きてる限り、もう辞めるって言わない限りは続いていく。実は「アイデンティティ」って曲が、そのあたりの気持ちを書いた歌で。
──「突然のトラブル 緊急停止&エラーチェック」「Emergency パラシュートで降り立つ ひとりで」という内容ですね。
歌詞を読んだらすぐわかると思うけど、音楽活動を始めてから今に至るまでの自分のことを歌った歌です。
「平成のメロディメーカー」
──ところで、この7年でたくさんのアーティストと仕事をしてきたわけですが、自分自身をプロデューサー視点で見たときに、RAM RIDERというアーティストの優れたところはどこだと思いますか?
メロディだね。
──即答ですね。
うん、最近自分のことを「メロディメーカー」って言うことにしたんです。
──それはどういう意味で?
やっぱりなんか、わかりやすい肩書きが必要だって話になって。メロディメーカーって響きは今どきすごくダサいんだけど(笑)、でもトラックメーカーはいっぱいいるし、DJやプロデューサーもいっぱいいるから、自分を端的に示す言葉は「メロディメーカー」なんじゃないかって。で、せっかくだから頭に何か付けようってことで、いろいろ考えて、「平成のメロディメーカー」って名乗ることにしたよ。
──いいと思います(笑)。
ほかの人の音楽を聴いていて、すごくいいリフだなとか、カッコいいミックスだなって思うことはたくさんあるんだけど、このメロディはやられたなって思うものは少なくて。そう考えると自分の得意とするところはメロディなんだろうって。
──確かに今回のアルバムも耳に残るメロディがすごく多いですね。
独特らしいんだよね。今回参加していただいたボーカルの人たちにも言われたけど、聴くと簡単だけど歌うと難しいって。あと普通はこっちに行くだろうって方向に行ってくれないって言われた、メロディが。だからやっぱり何かあるんだと思うんです。
CD収録曲
- HELLO starring ORANGE RANGE
- VOICE -とおくのきみへ- starring 南波志帆
- 非実在ボーイ starring MEG
- ファストラブ starring Bose(スチャダラパー)
- Memory starring フルカワミキ
- ベッドルームディスコ starring 桃井はるこ
- Sun Will Shine starring NAO☆(Addy)
- RAINBOW -なみだのあとで- starring 中川翔子
- 放課後★サスペンス starring バカリズム&藤岡みなみ(PANDA 1/2)
- ユメデアエルヨ starring 野宮真貴
CD収録曲
- chapter#1 "launching"
- GALAXY
- No Continue
- GOOD BYE
- chapter#2 "Beautiful Planet"
- 非実在ガール
- アイデンティティ
- DREAM
- chapter#3 "Sweet Star"
- 催眠
- Memory
- マグネット
- END OF THE PARTY
- chapter#4 "ReturnToTheEarth"
- 君をピンチから救えなかった際の歌(ボーナストラック)
※ローソン・HMV限定販売
RAM RIDER(らむらいだー)
1人で作詞作曲、トラックメイキング、歌唱を手がける男性ソロアーティスト。2003年から本格的な活動を開始。2004年3月に1stシングル「MUSIC」をインディーズでリリースし、2005年6月に「ユメデアエルヨ」でメジャーデビュー。同年11月に発表した1stアルバム「PORTABLE DISCO」がスマッシュヒットを記録し、大型フェスなどにも多数出演する。その後はDJとして人気を集める一方、プロデューサーやリミキサー、作曲家として活躍し、2010年4月からは映像同期型ネットラジオ「オーディオギャラクシー」を開始。同コンセプトのパーティを主宰し、ライブ活動も積極的に行う。2012年4月に約7年ぶりのオリジナルアルバム「AUDIO GALAXY -RAM RIDER vs STARS!!!-」「AUDIO GALAXY -RAM RIDER STRIKES BACK!!!-」を2枚同時リリース。