フィーチャリングアルバム制作の経緯

──ではそれぞれのアルバムの話も聞かせてください。フィーチャリングボーカルアルバム「AUDIO GALAXY - RAM RIDER vs STARS!!! -」は、メジャーレーベルからのリリースということもあって、非常に豪華な内容ですね。

そうですね。ボーカリストの名前だけ見ても本当に豪華で派手で、しかもRAM RIDERらしいラインナップになったと思う。

──あんなにフィーチャリングアルバムを出すのを嫌がっていたRAMさんが、ここに来てこの作品を作ろうと思ったのはなぜなんですか？

やっぱり刻一刻と変化する音楽業界において、あと何年CDって形でのリリースができるかが見えなくなってきたっていうのもあるし、正直に言ってしまえば、今回は僕が歌うアルバムと2枚同時リリースだから出そうと思えたっていうのはあります。

──2枚あわせて聴いてもらうことが重要だった？

あの、例えば「今やりたくないことでも、一度やって売れたら次は自分のやりたいことができるよ」って言う人がいたとして。でもそれを信じてフィーチャリングをやって成功したとしても、次に自分に歌わせてくれる人なんていない。フィーチャリングで成功したなら、成功した路線のまま続けていくしかないんです。

──はい。

そして、一方で「売れなくてもいいからやりたいことだけを貫け」って言う人もいるわけです。僕はどっちの気持ちもわかるし、どっちも完全に正解とは言えないと思ってる。だからとにかく両方やってみて、そこで検証すればいいって思った。だから2枚同時で出すことにしたんです。

──2枚同時リリースだからこそ、RAM RIDERの全体像が伝わると。

うん。それにフィーチャリングアルバムっていうのは自分にとって長年の課題でもあったから、いざ作るならこれくらいすごいメンツでやりたいっていうイメージは最初からあったんです。で、ダメもとで頼んでみたら皆さん快く参加してくれるっていう話になって。そうなったら自分のエゴみたいなものは置いといて、受けてもらった人のためにも全力で作んなきゃなって。

──そこで完全に意識が変わったわけですね。

あとはやっぱりレコーディングして仕上がった曲を聴くたびに、自分以外の人が自分の曲を歌うことの良さがわかったっていうのもあるかな。プロデューサー視点で見たときに「華やかだし、こっちのほうが売れるな」って思えたし（笑）。今は「やって良かったな」って心の底から思ってます。

──当時はあんなに反発していたのに（笑）。

僕に最初に「フィーチャリングアルバムを作ろう」ってアドバイスしてくれた人の気持ちがやっとわかった。本当に。

──でもこの数年の経験がなかったらこのアルバムはなかったでしょうね。

そうですね。できなかったと思う。

──古くからのファンにとっては、「HELLO」「ベッドルームディスコ」「ユメデアエルヨ」といったRAM RIDERクラシックスが収録されているのもうれしいところです。

まあ、3曲までなら入れてもいいかなって（笑）。

──これらの曲が入っていることで、先程の「RAM RIDERの曲は古くならない」という話がよくわかるし、RAMさんが自分の曲を大事に思ってるのが伝わってきます。

うん、自分の曲は好きですからね。自分の曲が一番いいと思ってる。

念願だった「逆襲盤」リリース

──そして通称「逆襲盤」こと「AUDIO GALAXY - RAM RIDER STRIKES BACK!!! -」は、全曲RAMさんがボーカルのアルバムですね。どういう人に聴いてほしいですか？

えっ、どういう人に聴いてほしいんだろう。ものすごくいいアルバムになったとしか言えないんだけど。

──ターゲットについては考えなかった？

強いて言えば全方位ですよね。おじさんおばさんから子供までみんなが聴ける音楽になってると思う。

──これは以前作ろうとしていた「PORTABLE DISCO 2」とはどこが違うんですか？

単純に曲が全部違いますね。そこに入る予定だった曲のほとんどは入ってない。

──7年経ってコンセプトを大幅に変えた、ということもなく。

じゃないです。メロディのポップさや歌詞のわかりやすさ、アレンジの完成度。その全てにおいて今回のほうが格段に良くなってるっていうだけ。当時の自分が力不足だったっていうのを改めて実感した。あの頃は特急電車に乗っけてもらってただけで、まだそれに見合う実力を自分が持ってなかった。

──でも腐らず、迷わず、方向性を変えずにここまで続けてきたわけで。

そこはやっぱり中田（ヤスタカ）くんみたいな人が身近にいるっていうのもでかいかな。彼もぶれずにやり続けてるし、負けられないって思うから。

──7年越しでRAM RIDER名義のオリジナルアルバムをリリースする感慨もありますか？

それはもちろん。やっぱり「CD出さなきゃ」っていうのはずっと思ってたから。だから配信とかやらなかったんだし。一度発売中止にしてるから、それを出さずに次に行くことはできないって思ってた。