三月のパンタシア「四角運命 / アイビーダンス」発売記念|みあ×三原康司(フレデリック)対談+みあ単独インタビューの2本立て特集 (2/4)

すごくまっすぐな人だなと思いました

──歌詞にはライブの高揚感や喜びが満ちあふれていますが、どういうイメージで書いていったんですか?

みあ コロナ禍で1年10カ月くらい有観客ライブができなかった期間があって、そのときの状況を踏まえて書いていきました。会えなくて寂しかったこと、“君”がいないと退屈だったこと、そういう期間を越えてようやく今日ライブで会えたんだから心から踊り明かそうよという思いを歌詞にしましたね。

──以前、みあさんはサウンドに引っ張られて言葉が出てくることが多いとおっしゃっていましたが、「アイビーダンス」に関してもそういったところはありましたか?

みあ サビの「ゆけ!」「歌え!」とか、前に突き進んでいくような歌詞は、サウンドの勢いのままに書いていきました。「ゆけ!」というところはいつかお客さんと一緒に歌いたいですね。

左からみあ、三原康司。

左からみあ、三原康司。

──「アイビーダンス」というタイトルはどの時点で決めたんでしょう?

みあ 歌詞を書き終えてから、最後に決めましたね。タイトルに愛しいものを連想するようなワードを入れたいというのは最初から考えていて、実は最初は「パンプキンダンス」にしようかなと思っていたんです。

三原 パンプキン?

みあ 海外では愛おしいものに対して「マイパンプキンー!」ってかわいがるみたいで。

三原 へえー、すごくかわいい言葉。

みあ でもマイナーなスラングだし、春の歌なのにハロウィン感が出ちゃうかなと思って。ほかのタイトルを考えていたときに、植物のアイビーが思い浮かんだんです。私は花や花言葉を楽曲のモチーフにするのが好きなので。アイビーは幸福の象徴として結婚式とかでも用いられているもので、みんなに会えた幸福感でいっぱいのこの曲にぴったりだなと。

三原 初めてお会いしたときに「アイビーダンス」の歌詞やタイトルの意味を話してくれたじゃないですか。そのときのことがとても印象的で、よく覚えているんです。初めて会った人に「楽曲に対してこう思っていて、こういうメッセージを持って歌っていきたいんです」ということを最初に話すなんて、すごくまっすぐな人だなと。初めて会ったアーティストさんとは、基本的に音楽とは別の話から入ることが多いから。純粋で朗らかな方だなと思いました。

みあ 恥ずかしい(笑)。そのときはまだ「アイビーダンス」というタイトルは仮にしていたんですけどね。もしご提案があったらお聞きしたいなという気持ちもあって。スタジオでは、この曲でファンとみあの1対1の物語を歌いたいという思いや、「アイビーには『永遠の愛』という花言葉があって、今こうやって一緒にいられるファンのみんなに対する『永遠に幸せでいようね』という思いをタイトルに込めています」というようなお話をさせていただいたと思います。

三原 それがすごく心に残っていて。「アイビーダンス」というタイトルを聞いた瞬間、うちの健司も「めっちゃいいじゃん!」って言ってて。

みあ うれしい!

三原 そのタイトル、思いつきたかったなあってちょっと思いました(笑)。

ともに切磋琢磨していきたい

──歌のレコーディングはいかがでしたか?

みあ この曲に関しては、飾らずにまっすぐに歌ってみようって。はみ出すくらいの勢いでいこうと思って、レコーディングに臨みました。

三原 僕が考えたメロディ、歌うのが難しくなかったですか?

みあ 難しかったです(笑)。

三原 うちの健司にもよく言われます(笑)。

みあ 特にライブで歌うのが難しいですね。この曲はファンのみんなと一緒に踊れるように振り付けもあるので。

──春の東阪ワンマンライブで「アイビーダンス」を披露していましたが、感触はいかがでしたか?

みあ みんなすごく盛り上がってくれました! ライブでは三パシのイメージキャラクターのパンダくんにも登場してもらって一緒に踊ったんですけど、自分の視力がよくなったのかなと思っちゃうほど、フロアの隅々までみんなの楽しそうな顔がよく見えて。やっぱりみんなどこかに解放されたい気持ちがあるのかなと感じたりもしましたし。体を動かして気持ちよく音楽を楽しんでくれている姿を見ることができて、「アイビーダンス」を発表してよかったなと思いましたし、今後この曲がライブで育っていくのも楽しみです。

「三月のパンタシア LIVE 2022『邂逅少女』」大阪・なんばHatch公演の様子。

「三月のパンタシア LIVE 2022『邂逅少女』」大阪・なんばHatch公演の様子。

三原 ファンの方に喜んでもらえたみたいでよかったです。三月のパンタシアとフレデリックは普段それぞれ違うフィールドで活動しているけど、音楽が好きという気持ちはみんな同じだと思っていて。音楽でどれだけ気持ちよく踊れるか、一緒に楽しめるか、遊べるか……そういうのが直接伝わったんだなって、こうやって話を聞くと感じられてうれしいですね。この楽曲に注いできたことがちゃんと生きているんだなと感じられます。

みあ ファンの方々が「みんなで踊りました」って、開演前になんばHatchの近くの階段で踊ってるムービーを送ってくれたんです。

三原 すごい! 温かい世界だなあ。

──ダンスには「愛してる」のハンドサインが取り入れられていますが、振り付けはどういうふうに決めたんですか?

みあ 振り付けのある曲にしようというのは最初から考えていて。ただ、私にダンスを考えるセンスが一切ないので(笑)。

三原 いやいや、さっき撮影のときにハンドサインの振り付けを上手に教えてくれましたよ(笑)。

みあ (笑)。振付師の方に考えていただいたんですけど、「ファンのみんなと一緒に踊りたいので、簡単でキャッチーな振り付けを作ってもらいたいです」という思いはお伝えしました。そしたら「愛してる」という意味のあるハンドサインも入れてくださって。振り付けもすごく気に入っています。

左からみあ、三原康司。

左からみあ、三原康司。

──みあさんはいつも「変わらないまま、生まれ変わり続けたい」ということをMCやインタビューでおっしゃっています。フレデリックも自分たちの音楽の軸をしっかりと持ちながら常に進化し続けているというところで、目指すビジョンに重なるところもあるのかなと。

三原 そうですね。浸透させたい音楽があったり、もっともっと上を見ていきたいという思いは僕らも持っています。そのために楽曲の雰囲気を変えたり、いろんな挑戦をしていて。そういうところで共通する部分があるんだなというのは感じますね。みあさんの気持ちを今日聞けたことがうれしかったですし、ともに切磋琢磨していきたいなと思いました。こうして直接お話をして、トラックダウンのときに受けた第一印象の通り、みあさんは本当にこの曲のようなまっすぐな気持ちを持っている人で。そして、その気持ちがそのままちゃんとファンの方にも届いているんだなと。

みあ 音楽に対するまっすぐさ、誠実さがあるからこそ、フレデリックはずっとバンドシーンの第一線で活躍されているんだなというのを、私も今日お話を聞いていて改めて感じました。こんなにも三月のパンタシアに対して、丁寧に紐解きながら楽曲を制作していただいてありがとうございました!

三原 こちらこそありがとうございました。一緒に楽曲を作れてよかったです!

プロフィール

フレデリック

2009年6月結成。双子の兄弟の三原健司(Vo, G)、三原康司(B, Vo)と、赤頭隆児(G)、高橋武(Dr)の4人からなる。幅広い音楽要素から生み出されるユニークなサウンドと、ライブならではのアレンジや多彩な演出でライブバンドとしても定評がある。2012年にMASH A&Rが主催するオーディション「MASH FIGHT!」にて特別賞を受賞。2014年9月にメジャーデビュー作となるミニアルバム「oddloop」を発表した。その後もコンスタントにリリースを重ね、2018年4月に初のアリーナ単独公演を兵庫・ワールド記念ホールで行い、2020年2月には神奈川・横浜アリーナ公演、2021年2月には東京・日本武道館公演を成功させた。2022年3月に3rdアルバム「フレデリズム3」をリリース。6月29日に東京・国立代々木競技場第一体育館でバンド史上最大規模のワンマンライブ「FREDERHYTHM ARENA 2022~ミュージックジャンキー~」を開催する。