そして“もう1つの「パーフェクトスター」”が到着

──以前「STAR TRAIN」についてインタビューしたときに（参照：Perfume「STAR TRAIN」インタビュー）、「歌詞を見て『私たちの歌だ』って思ったのは初めて」と話していましたが、今回の「Challenger」は「STAR TRAIN」以上にPerfumeの目線で歌詞がつづられていると感じました。

あ～ちゃん　うれしいね。

──中田さんがメンバーから話を聞いて、そこで知った実際のエピソードを歌詞に反映させた、みたいなことがあったんですか？

かしゆか　ないですね。だから不思議なんですよ。「STAR TRAIN」のときもそう思ったけど、ライブとかプロモーションとかを15年間ずっと一緒にやってきたみたいな目線で歌詞を書いてるから。

のっち　だから「口に出さないけど、私たちが思ってる以上にPerfumeのことをものすごく考えてくれてたんだろうな」って、愛情の深さを感じましたね。

──例えば「10年後きっとボクは楽に生きてられるはずと」という歌詞がありますが、皆さんはかつて実際にこういう気持ちでいたんでしょうか？

かしゆか　10年先のことなんて考えてなかったですね。当時は目の前のことでいっぱいいっぱいだったし、「この道で成功して10年後もこの3人でステージに立っていたい」なんて考えは思い浮かびもしなかったので。だって「まさか20歳まで続けてるとは思わなかった」とか言ってたのが、今はもう30歳ですからね。そう考えると、これはまさに今だから歌える歌詞ですよね。

あ～ちゃん　もしずっと亀戸でストリートライブやってるままで今に至っていたら、そもそも歌わせてもらえない曲だろうし。15年間でいろんな経験を重ねた結果、この曲を歌わせてもらえる状況になれたわけで、本当にありがたいですね。

──歌詞の目線が自分自身に近いから、歌いながらすごく感情移入したのでは？

かしゆか　でもそんなに気持ちを乗せすぎてもなって思って。曲を聴いたときは感動したけど、それをあんまり歌に出さないように、レコーディングはいつも通りにやりました。もちろん曲は気に入ってて、家に帰ってからもずっと歌ってたんですけどね。

──「感情を入れすぎないのがPerfumeらしさ」という意識があったんですかね。

かしゆか　というより、なんかそこまでは望まれてない気がしてるから。

あ～ちゃん　……と、そんな話の途中ですが「パーフェクトスター」の音源が届きました！

のっち　キター！

あ～ちゃん　これは非常に貴重ですね。さっそくみんなで一緒に聴きますか。

（※再生中）

あ～ちゃん　はっ！ 知ってる！

かしゆか　このメロディ知ってたね！

のっち　私たちが歌って録った音源だからね（笑）。あっ、ホントだ「パーフェクトスター」って言った！

あ～ちゃん　いいやん！ いいやん！

かしゆか　これヤバいね。明るくていい曲。懐かしいなこの音（笑）。

あ～ちゃん　トゥクトゥーン！って音ね。

──すごくいい曲ですよ、これ。お蔵入りになってるのもったいないですね。

のっち　もったいないー。

かしゆか　でも、これが世に出なかったからこそ、その後の「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」がみんなに聴いてもらえるようになった、というのはあると思いますよ。

「地獄先生ぬ～べ～」が鬼の手を封印してるみたいな話

──もう1つの新曲「ナナナナナイロ」についても聞かせてください。もうすでに歌番組などでも披露されていますが、歌のパートがオリエンタルでかわいらしい曲調なのに、間奏部分で突然雰囲気がガラッと変わるのが面白いですよね。

あ～ちゃん　うん。ゴリゴリですよね。MIKIKO先生は「TikTokみたいなダンスを作ってみた」って言ってました。

──あー、皆さん最近TikTokをやってますよね。

あ～ちゃん　「TikTokをやってる3人が楽しそうだったから」ということだと思うんですけど、こういうサウンド自体、今までのPerfumeの曲になかったじゃないですか。だから普通にPerfumeっぽいことをさせるんじゃなくて、ちょっとダサくなるギリギリのラインを狙ったダンスをあえて作ってくれたんだと思います。めっちゃ気に入ってます。

のっち　うん、いいよね。

あ～ちゃん　でも息ができないんですよ。

のっち　そうそう、力が入るから息止まっちゃう（笑）。

かしゆか　息を止めたら余計につらいのに止まっちゃうんだよね。MIKIKO先生はあのダンスのことを「隠してきたPerfumeのヒップホップ魂を解禁」って言ってました（笑）。

──隠してたんですか？

かしゆか　隠してたつもりはないんですけど（笑）、スニーカーを履いてると昔やってたヒップホップの感じが出ちゃうから、いつもヒールを履いて抑えてるんですよ。それを今回の振り付けで解禁しちゃったっていう。

──なんか、格闘マンガのキャラクターが普段着てる重たい胴着を脱ぎ捨てると超速く動けるようになる、みたいな話ですね。

あ～ちゃん　「地獄先生ぬ～べ～」が鬼の手を封印してるみたいな話ですね（笑）。

のっち　それ面白いね（笑）。

あっという間だなんて思えないくらい、充実した5年間に

──2020年2月には、このベストアルバムを携えてのドームツアーが予定されていますが、52曲もあるので全曲は……。

のっち　できないですね。

かしゆか　4日かけてやれば全曲できそうですけどね。

のっち　怖いこと言ってる！（笑）

かしゆか　さすがにスタッフさんが天に召されるかもしれない（笑）。

──なので、そういう意味でもどんなセットリストになるのか楽しみです。4都市を回るドームツアーってこれまでにない規模ですし。

あ～ちゃん　やっぱベストアルバムのツアーだし、大きいところで多くの人に見てもらったほうがいいんじゃないかと思ったんですよね。10月にはLINE CUBE SHIBUYAのこけら落としで計8日間の公演として「Reframe」をやることが決まってるし、「いろんなパターンのライブに挑戦する」というのが、私たちが今一番やりたいことなので。

──いいですね。

あ～ちゃん　2014年に国立競技場を建て替える前の最後のイベントに出たときに、「6年後、新国立競技場がオープンする頃になっても、自分たちがカッコいいと思うことをやり続けていられてたらいいな」と思ってたんです。だからメジャーデビュー15周年イヤーも、私たちが今カッコいいと思うことをやる年にしたいですね。

──先ほど「昔は10年後のことを想像しようとも思わなかった」という話をしていましたが、長い間常にカッコよくい続けたPerfumeなので、ここまでくると逆に「10年後にいなくなってる」という想像ができなくなってきた気がして。

あ～ちゃん　うれしい。

かしゆか　そんなこと言ってもらえるなんて。

のっち　ねー。

かしゆか　でも全然わかんないですよ。世の中どうなるかわからないですから。

あ～ちゃん　気持ちは常に戦々恐々です。安心したことなんて今までないかな。10年後って40歳？

かしゆか　デビュー25周年。

──四半世紀ですね（笑）。

かしゆか　大御所の方しか到達できないところだよね（笑）。

──でも結成から数えたら、もうすぐ2020年で20周年じゃないですか。結成25周年はあっという間に来ますよ。

のっち　5年はあっという間か。確かにね。

かしゆか　あっという間だなんて思えないくらい、充実した5年間にさせたいですね（笑）。