Perfume|3枚組ベストアルバムに刻まれた、挑戦者たちの15年間

「Magic of Love」がシングルバージョンではない理由

──ベストアルバムの話に入ろうと思うんですが、52曲入りって相当なボリュームですよね。最初からこれだけの曲数を入れるつもりだったんですか?

かしゆか いや、ここまでではなかったですね。とりあえず一旦シングルを全部並べてみて、「どうですか? ほかに入れたい曲ありますか?」という話し合いをしたら、「えっ、あの曲入ってないの? 外せないよ!」みたいなことになってどんどん増えていって。「CD4枚組はないですね。入れられるのはここまでですね」って言われて打ち止めになって、最終的にこの曲数になりました。

のっち 「GAME」は入れるっしょ? 「シークレットシークレット」は入れるっしょ? あれ? 「SEVENTH HEAVEN」なんで入ってないんすか! みたいな話をしてたらどんどん増えていきました。

あ~ちゃん でもまだあるよね。「GLITTER」も入ってないし、「願い」も入ってないし。52曲もあるのに入ってない曲ばっかりですよ。

──選曲の基準は?

かしゆか 自分たちを知らない人にこれを手に取ってもらったときに、「Perfumeはシングル曲だけじゃなくてライブも大事にしてるグループなんだな」と感じてもらえる内容にしたいね、というのは考えていました。だから例えば「Magic of Love」がシングルバージョンじゃなくてアルバムミックスなのも、ライブではアルバムミックスをやることが多いからで。

──僕は52曲入りと知ったときに、それだけたくさん曲があるんであれば、例えば「カウンターアトラクション」みたいなリリースされてない曲やレア曲も入ったりするんじゃないかって、ちょっと期待したんですよ。こういうタイミングでもなければ今さらリリースされることがない曲もあると思うので。

あ~ちゃん それは言えてる。

のっち でも入る余地がなかったんです。

かしゆか 周りが強すぎて。

あ~ちゃん メジャーデビューから15年でようやく初ベストだから、次のベストはもうちょっと早めに出しますか。

──ここに入り切らなかった曲でまた3枚組を作りましょう(笑)。

あ~ちゃん そういうのがあってもいいですよね。「Perfumeの知られざる名曲集」みたいな(笑)。

思い出せないもう1つの「パーフェクトスター」

──知られざる曲といえば先日、PerfumeのTwitterのアカウントで「パーフェクトスター・パーフェクトスタイル」について「実は当時、デモで2曲『パーフェクトスター』とタイトルが付く曲をもらっていました」とツイートされているのを読んだんですが、そのエピソードは初めて聞いたなと思って。

あ~ちゃん なんだっけそれ。聴いてるはずだけど、どんな曲だったのか全然覚えてない。

のっち うわー、それ超聴きたい(笑)。聴いたら思い出すと思います。何年かに1回そういうのがあるんですよ。「1回録ってみたけど違ったな」って曲。

かしゆか 昔はありましたね。

──デモまで作って曲をボツにすることって、ほかのグループと比べてPerfumeは少なそうな気がしていたんですよ。

あ~ちゃん そうですね。中田(ヤスタカ)さんが作ってきてくれて出されたものが自分たちにとって正解、と思ってるところがあるので。

かしゆか 「ずっと同じプロデューサーと一緒にやってるから」というのはありそうですね。コンペをやらないので、ボツになる曲もない。

──あー、確かにそうですよね。

あ~ちゃん もう1つの「パーフェクトスター」ってどんな歌だったんだろ……?(スタッフに電話をかけ始める)……もしもし。Twitterに書いてた「パーフェクトスター」ってタイトルのもう1曲って? どんなやつ?

(電話先のスタッフ) 「エレクトロ・ワールド」みたいなテンポの曲、覚えてないですか? たぶん聴けばなんとなく思い出しますよ。2曲録って「どっちにしましょうか?」みたいな話し合いをして。

あ~ちゃん うん、それはなんとなく覚えてるけど、どんな曲だったのかはまったく覚えてない。

(電話先のスタッフ) あとで送りましょうか?

のっち あ、送ってほしい!

あ~ちゃん ありがとう!

──ほかにボツになった曲で何か覚えているものはありますか?

のっち 「こんこんこん」ってあったよね? そんな記憶が……。

かしゆか

かしゆか あった。超懐かしい。私もそれ思い出してた。

──「こんこんこん」というのは曲名?

かしゆか そうです。確か、何かのアルバムに入れようとしてたんだと思います。

のっち すごいダウナーな曲。

かしゆか のっちと私しかレコーディングに行けなかった気がする。

のっち あー! そうかも! そんなこともあった。

かしゆか それで「やっぱやめー」ってなって。

──曲自体がなくなった?

かしゆか なくなりました。

のっち でも歌詞は別の曲で使ってリリースしました。

──あ、そうなんですか。なんの曲になったんですか?

かしゆか いや、もう全然覚えてない(笑)。

のっち なんだっけね。まだどこかに歌詞カードあるのかな? それ見れば思い出すと思うけど。

「Challenger」が1曲目なのは時系列的に正しかった

──このベストアルバムには新曲が2曲収録されていますが、1曲目の「Challenger」は今のPerfumeの目線でこれまでの自分たちの活動を振り返るような歌詞で、長く応援してきた僕もグッとくるものがありました。

あ~ちゃん ベストアルバムに新曲を入れることは決まってたんですけど、曲がずっと上がってこなくてレコーディングが何回か飛んだんですよ。で、5回目くらいのレコーディングの前にこの曲と歌詞が送られてきて、中田さんから「昔、Perfumeのプロデュースをしてほしいと言われたときに、当時のマネージャーさんはこの曲を聴いてビビッときてくれたそうです。この曲を今のアレンジに変えて、歌詞を新たに書き変えてリリースするのはどうでしょうか?」という提案があって。

──え! じゃあこれは……。

あ~ちゃん そう、もともとあった曲です。私たちが中田さんに初めて会ったのが14歳の頃だから、16年前ですね。その頃に中田さんがやっていたグループの曲らしいです。

──へえー!

あ~ちゃん マネージャーさんから「これ聴いたの覚えてない?」って言われて、どんな曲だったのかは全然記憶になかったんですよね。聴いてみたら当時の中田さんっぽいサウンドの、レトロフューチャー感のある曲でした。で、中田さんがこれを作り直してベストアルバムに入れようとしてるって教えてもらって、「えー! すごいじゃん!」って。

──すごいですね。

あ~ちゃん 新しい歌詞を読んだら、めちゃくちゃ感動して本当に泣いてしまいました。こういう15周年みたいなタイミングで、いつも中田さんは私たちにこんな素敵な歌をプレゼントしてくれるんですよね。

──そう考えるとこのベストアルバムは完全に時系列に曲が並んでいるんですね。中田さんがプロデュースする前の曲が1曲目で、最後に新曲「ナナナナナイロ」が収録されて。

かしゆか 本当だ。

のっち 中田さんマジ天才。

──「Challenger」がもともと昔の曲だったということは、レコーディングのときの感覚はここ最近の曲とは違いましたか?

のっち 歌っててどうしても子供っぽい声になるんですよね。

──ああ、なるほど。

のっち あと音程が激しく上下に動くから、歌うのに必死でした。でも日本語のパートの子供っぽさと反対に、「We are Challenger」と歌っている部分はどことなく“包容力のある大人”って感じがして、その対比が私は好きですね。