音楽ナタリー Power Push - Perfume

“大人の女性”になった3人の思い

中田さんにプリンターのインクを買っていこう

──今回のレコーディングで何か変わったことなどはありましたか?

あ~ちゃん 今まで歌詞は紙でもらってたんですけど、今回のシングルからAirDropを使ってデータでもらうようになったんですよ。最初は「歌詞が見れればいっか」と思って了承したんですけど、いざやってみたら大変で。

──どうしたんですか?

あ~ちゃん Perfumeのレコーディングは、直前にその場で曲を聴いて、それを覚えて歌うんです。3、4回ぐらい聴いたらすぐブースに入るんですよ。普通のレコーディングよりもはるかに短い時間で曲を覚えなくちゃいけないから、今までは「ここは切る」「ここは音程が上がる」「この言葉が大事」みたいな自分なりの印を紙にいっぱい書き込んでたんです。それがiPhoneの画面に変わったら、書きこみにくい分手間がかかって、そこに気をとられて全然覚えられないし歌えない(笑)。

──あー、なるほど。

あ~ちゃん アプリを使って文字を書き込んだんですけど、「画面が大きくなった」って言われてるiPhone7なのに、もうちそうてちそうて。

のっち すっごい不便でした。画面をものすごく拡大して書くんだけど、指で触ったところにうまく書けないんですよね。

あ~ちゃん 先にレコーディングしたのは2曲目の「宝石の雨」だったんです。だから「次は歌詞を印刷してくださいってお願いしよう」って3人で話してたんだけど、言えないまま「TOKYO GIRL」も、AirDropで歌詞を受信してしまいました(笑)。

かしゆか 「すっごくやりづらい」なんて言う勇気もなく(笑)。

のっち 「1回やったからもう慣れたかな?」って期待もしてたけど、全然ダメだったなー。

あ~ちゃん 全然ダメだったね。今度こそ絶対言おう。

かしゆか 印刷できるようにプリンターのインクを私たちで買っていこう。中田さんに「足りない色はないですか?」って聞いて(笑)。

衣装の帽子のとんがりに大苦戦

──「TOKYO GIRL」のミュージックビデオは、今までのPerfumeのMVと比べていろいろ異色ですよね。ラストのダンスパートまで3人はエレベーターに乗ってるだけですし。

かしゆか バレました?(笑)

あ~ちゃん 「エレベーターの中で踊るか」っていう提案もあったけど、「いやエレベーターでは踊らんじゃろ、危ない危ない」って話になって(笑)。

かしゆか いろんな登場人物が出てくるMVっていうのも初めてだし、自分たちがいないシーンの舞台が現実の東京だっていうのもPerfumeとしては斬新ですよね。あとは、吉高(由里子)ちゃんに出てもらえたのがうれしかったです。

──著名人がMVにゲスト出演するっていうのもPerfumeにとっては珍しいですよね。

のっち そうですね。前は宇多丸さん(「シークレットシークレット」に歌番組の司会者役で出演)に出てもらったり。

あ~ちゃん 私がドラマの声優のお話をいただいたとき、実は由里ちゃんに相談させてもらって背中を押してもらったので受けさせてもらうことに決めました。ドラマもあるし、こんなコラボさせていただける機会なんてないから私たちのMVにも出てくれることになって超うれしかったです。由里ちゃんの撮影は私たちよりも先にやっていてくれてて、ドラマの声録りの日に由里ちゃんに会ったら「撮ってきたで!」「なんか上見てください言われたから上見てきたわー」とか言ってて(笑)。だから「どんな顔して映ってるんだろう」と思ってたんですけど、完成したMVを観たらちゃんと物々しい表情で空を見上げてて。女優ってすごいねえ。

かしゆか 衣装を着て踊ったのはMV撮影の当日が初めてだったんで、最後のダンスシーンで、帽子のとんがりに手が当たるっていう思わぬ事態にすごく苦戦したんですよ。

のっち 「ちょっと待って! ここで前を向くと帽子がぶつかる!」みたいな(笑)。

かしゆか その大変さは初回限定盤DVDの「Perfume View」っていうメイキング映像を観てもらえればわかると思います。「Perfume View」面白いんで、皆さんぜひ。

女子が静かになっちゃう!

──カップリングの「宝石の雨」は、おしゃれで優しい雰囲気の曲ですね。

のっち はい。「好きー!」って思いました。みんなに聴いてほしい。

あ~ちゃん かわいいよね。これがOra2(オーラツー)のCM曲だっていうのがまた、中田さん粋だなって思いました。歌詞も曲調もすてきで、ジェイソン(・ブルックス)さんのイラストの雰囲気とも合うし。ずっと「歯磨こうね」ってライブで言い続けて実現した、憧れてた歯磨きのCMで、こういうおしゃれな曲で出られたのがすごくうれしかった。

のっち 歌ってて気持ちよかったです。

あ~ちゃん 女の子がカラオケで歌ったらすごいかわいい曲だと思う。

かしゆか そうだね。歌うときはAメロが難しいんで気を付けてください。リズムが不思議なんで。

のっち

のっち うっわー! カラオケ行きたいっすね!

──自分たちの曲の解説をして、結論が「カラオケ行きたい」(笑)。

あ~ちゃん のっちはいい曲を聴くとカラオケに行きたがるんですよ。Mステさん(テレビ朝日系「ミュージックステーション」)とかに出て、いろんなアーティストさんが歌ってるのを目の前で観ると、その演奏終わりですぐ「カラオケ行きたーい!」って言う(笑)。「宝石の雨」のことを考えててそう言ったってことは、いい曲だってことですね。

かしゆか 「宝石の雨」は好きな人の前で歌ってもらって、「TOKYO GIRL」は女子会で歌ってください。

のっち うわー! いい!

あ~ちゃん 女子会いいね! 確かに「TOKYO GIRL」は男子がいないところでみんなで歌ったほうがいいかもしれない。

かしゆか 女の子同士で思いっきりはっちゃけてほしいです(笑)。

あ~ちゃん ……っていうかさ、みんなに気付かせないでいてほしかったよね!

のっち えっ? なんの話?

あ~ちゃん KEYにあんな大っぴらに「それ女子会じゃなくて行き遅れ女の井戸端会議だろ?」なんて言われたら、やりづらくなっちゃうじゃん。「女子同士で楽しく遊んでるのを見て男子はそう思ってる」ってイメージが付いたら、それまでなんとも思ってなかった人まで「実は俺もそう思ってたんだよね」って言い出しちゃうじゃないですか。

──いやー、大半の男性はそんなこと考えてないと思いますよ?

かしゆか でもこれで気付いちゃったってことでしょ?

のっち そうだよ! 坂口健太郎(KEY役)のせいだよ!(笑)

かしゆか 会社の飲み会とかで言われてる子は絶対いるだろうね。「あ、タラレバ言ってるー(笑)」って。

のっち もー!

かしゆか 女子が静かになっちゃう!

仕事ください。待ってます

──インタビューの最初に「2016年はPerfumeにとってツアーの年だった」という話をしましたが、2017年はどんな年にするつもりですか?

のっち 皆さんの目にたくさん触れる1年になると思います。去年出したのはアルバム1枚だけで、ずっとそのツアーをやってたから、今年は新しい曲を世の中にどんどん出していきたいなって。それによっていろんなところで宣伝する機会も多くなるだろうし。あと希望としては、海外のフェスに出てみたいです。

あ~ちゃん やはり新しいことをやりたいです。今までも常にスタッフの皆さんはいろんな新しいことを考えてくれてたと思うんですけど、今年も新しいことをいっぱい挑戦したいので、なんでもご依頼ください。

のっち 仕事ください。待ってます。

かしゆか いや、仕事はあるんですよ? いただいてるんですけど、もっとください。

あ~ちゃん こういうところ、私たちホントに大人になったよね(笑)。

ニューシングル「TOKYO GIRL」 / 2017年2月15日発売 / UNIVERSAL J
初回限定盤 [CD+DVD] / 1900円 / UPCP-9015
通常盤 [CD] / 1450円 / UPCP-5009

絶賛先行配信中!

CD収録曲
  1. TOKYO GIRL
  2. 宝石の雨
  3. TOKYO GIRL -Original Instrumental-
  4. 宝石の雨 -Original Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • TOKYO GIRL -Video Clip-
  • Perfume View
  • Special Teaser Trailer
Perfume(パフューム)

あ~ちゃん(西脇綾香)、かしゆか(樫野有香)、のっち(大本彩乃)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。

2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が採用される。2012年10月にアジア4カ国で初の海外ツアーを成功させる。翌2013年にはヨーロッパ3カ国での単独公演を開催。フランス・カンヌで行われた世界最大の広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」に日本人アーティスト初のゲストとして招待され、プロジェクションマッピングを駆使したパフォーマンスで喝采を浴びる。2015年にはアメリカ・テキサス州オースティンで開催されたの世界最大規模のフェスティバル「SXSW 2015」に出演し、インタラクティブメディアの祭典「SXSW Interactive」のヘッドライナーを務めた。同年10月にワールドツアーの様子を追った初のドキュメンタリー映画 「WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」を日米同時公開。2016年4月には約2年半ぶりのオリジナルアルバム「COSMIC EXPLORER」を発表し、同作を引っさげて北米5公演を含むリリースツアーを半年間にわたって行った。2017年2月には、日本テレビ系ドラマ「東京タラレバ娘」の主題歌として書き下ろされたシングル「TOKYO GIRL」をリリース。