音楽ナタリー Power Push - Perfume

“大人の女性”になった3人の思い

Perfumeにとって10カ月ぶりの新曲となるシングル「TOKYO GIRL」は、日本テレビ系で放送中の連続ドラマ「東京タラレバ娘」の主題歌。このドラマは東村アキコの同名マンガを実写化したもので、毎晩のように開かれる女子会で「○○だったら」「○○していれば」と仮定の話ばかりをしているうちに30代に突入した独身女性たちの迷走が、コミカルかつ残酷に描かれている。

漠然とした不安を抱きながら都会で過ごす人々の背中をそっと押すような主題歌「TOKYO GIRL」は、信念を持って夢を追い続けながら大人の女性になった、Perfumeだからこその説得力を持った楽曲だ。劇中で独身アラサー3人組を演じている吉高由里子、榮倉奈々、大島優子と同世代であるPerfumeに、今の思いを聞いた。

取材・文 / 橋本尚平

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トラブル続きの北米ツアーで感じた「これがPerfumeだな」

──アルバム「COSMIC EXPLORER」のリリースツアーが長期間だったこともあり、2016年はPerfumeにとってツアーの年だった印象があります。

かしゆか まさにツアー三昧。1枚のアルバムのツアーを、内容を変えながら半年間もかけてやるっていうのは初めての試みでした。

のっち 日本でアリーナツアー、海外でホールツアーをやって、日本に帰ってきて今度はドームツアーっていう、1つの作品で3種類のツアーをやったので。「アリーナではすごろくで曲を決めるコーナーをやろう」とか「ホールではドローンを飛ばそう」とか、会場が変わるとできる演出、やりたい演出も変わってくるから、それによってライブをやりながらセットリストもどんどん変えていきました。だからずっと「COSMIC EXPLORER」のことを考えて過ごしてましたね。これまでは1つの作品につき1つのツアーをやって、「私たちのアルバムの解釈はこうです!」って毎回正解を出してたんだけど、今回はいろんな解釈を見てもらえたのが楽しかったです。

かしゆか 今までのツアーだと「この曲はこういうふうに育てたいよね」っていうイメージが自分たちの中にあったんですけど、今回は3種類のツアーでお客さんのリアクションを探れたので、ライブの内容とみんなの期待が合致したときに「この曲はこんなふうに楽しめるんだ」っていうのを知ることができたし、自由に実験できたんですよ。あと、同じことをしてもやっぱり国が違えば反応は違うので、「海外で盛り上がったことを日本でやったらどうなるかな?」というのをドームで試してみたり。いろんな発見ができたツアーでした。

──アルバムのリリースツアーの一環としてアメリカ各地を回ったのは、Perfumeにとって初めての試みでしたね。

Perfume

のっち アメリカでは英語で歌ったりもしました。「Baby Face」っていう曲の歌詞を英語に訳してもらって、歌ったらめっちゃ喜んでくれたんですよ。うれしかったです。

あ~ちゃん 毎回、お客さんが「ウワー!」ってなったよね。

のっち うん。「英語で歌ってくれた!」って反応してくれて。

かしゆか 今回のアメリカは「こんなにも毎回ハプニングある?」っていうくらいハプニングだらけのツアーでした(笑)。北米ツアーではオープニングの「Cosmic Explorer」っていう曲でステージにドローンを飛ばす予定だったのに、初っ端のロサンゼルス公演で「ドローンが飛ばせなくなっちゃったんです」って言われて。ツアー初日の1曲目から演出が変更になりました(笑)。カリフォルニア州でこれからドローンの飛行を規制する条例ができるらしくて。

あ~ちゃん 「これから」だから、まだ大丈夫だよね?ってみんな思ってたよね。

かしゆか 会場にはちゃんと申請して許可が下りてたんですけど、消防局の人がチェックしに来たときに「人の前で飛ばすなんて聞いてない」みたいに言われて。消防局の人に全部委ねられてるから、その人がダメって言ったらダメなんですよ。

あ~ちゃん で、チェックしてもらったときに飛ばしてみたら、そのときだけうまくいかんかったんよね。

かしゆか タイミング悪く風が吹いて、ドローン同士がちょっと当たって落ちちゃったので、「はいもうダメー!」ってことになって。

のっち その人たちが見てるときだけ失敗しちゃった。

あ~ちゃん ガビーンだったね、あれ(笑)。

かしゆか 「リハーサルは全部平気だったんです!」ってお願いしたんだけどね(笑)。

──直前にそんなことになったら焦りますよね。

かしゆか もうみんなでわなわなしました!

あ~ちゃん しかも、どの会場もリハーサル時間が全然なかったしね。でもリハーサルで「ドローンが飛ばせません」ってMIKIKO先生から言われたとき、誰も「えー! どうしよう! 無理無理!」みたいにはならなかった。「はい。わかりました。じゃあどうやって登場しますか?」ってすごく冷静に話してて、「あー、これがPerfumeだな」って思いました。そして「大丈夫です。私たちにはドローンが見えています」って言って、実際には飛んでないドローンが見えてるつもりでライブをやりました。

──すごいなあ。

あ~ちゃん 「初めて海外でやる『Cosmic Explorer』だから絶対決めたい」っていう気持ちが3人もスタッフさんも強かったから、残念だなっていう気持ちはお互い言葉に出さなくても感じたんです。でも、そういうことをひと言も言わずにやり切るのが、涙が出そうになるくらい感動的でした。お客さんからの見た目はどう見えていたかわからんけどね(笑)。あとさ、3階が建てられないこともあったよね?

かしゆか そうそう。北米ツアーはセットが3階建てで、私たちはオープニングに3階から登場するんですけど、サンフランシスコで「もらってた会場の図面と実際のサイズが違うので3階が建てられません」って言われて、「じゃあ、どこから登場します?」って(笑)。

あ~ちゃん 2階には出入口が付いてないから、2階の左右の袖のところにある小さい可動式の階段の中に開演前に隠れてたんです。曲が始まったら階段に入ったまま両側から寄ってきて、真ん中で2つの階段がくっ付いたらしゃがんでスタンバイして、階段をバーっと開くと中から私たちが出てくるっていう。「ジャーン!」みたいな顔で(笑)。

かしゆか “登場感”を顔で表現する、っていうね(笑)。

のっち 狭い狭い階段の中をちょこちょこ歩いたよね(笑)。

かしゆか でも、そういうハプニングも全部楽しめるのがこのチームのよさだなとホントに思います。

「こんなことしてる場合じゃない」ってお尻を叩かれるような気持ちになる

──今回のアメリカツアーを終えて、ニューヨーク・Madison Square Garden公演という夢に近付いた手応えは感じましたか?

のっち うーん。お客さん1人ひとりの熱だったり、Perfumeに対する愛情だったりがどんどん増してきているのは肌で感じたんですけど……実感したのは「大きい夢はやっぱり大きいんだな」ってことでしたね。「私たちって、すっごい大きいところに向かっているんだな」みたいな。もともと道なんかないときに見ていた夢だったけど、ちょっと道が見えたことにより「あ、この道すっごい険しいぞ!」って気付いた感覚です。

かしゆか

かしゆか 行ったことのない場所でも私たちを待ってくれてる人がいるっていう喜びは今回もすごく感じたんですが、初めてやったニューヨークでの2DAYSは苦しい思いをしたんです。「やっぱりもっとがんばらなきゃ、この会場での2DAYSを完全には埋められないんだな」っていうの目の当たりにして。私たちが目標にしてる場所はすごく大きいから、もっともっと力を付けて気合いを入れないと辿り着けないんだってわかって、改めて覚悟を決めました。

──ちょうどPerfumeが北米に向かう直前に行われた、リオデジャネイロオリンピック閉会式での2020年東京オリンピックのプレゼンテーションで、総合演出をMIKIKO先生、AR演出をRhizomatiks、音楽を中田ヤスタカさんが担当しましたよね。Perfumeが閉会式に直接関わっているわけではありませんが、普段Perfumeと組んでいる皆さんが世界中にインパクトを残したことで、結果的にPerfumeも存在感を示すことになった印象があります。「東京オリンピックではいろんな国の人たちの前で踊るPerfumeを観たい」という声も聞くようになりましたし。

あ~ちゃん ホントにうれしいですね。

──そういうこともあって、傍目に見て今のPerfumeは、少しずつではあれど夢に向かって着実に進んでいるように見えます。

のっち はっ! それはうれしい。

あ~ちゃん 自分たちが昔から信じてきた人たちがこうやって今評価されているのは、自分のことのようにうれしいんですよ。「もっと行け行け! MIKIKO先生はこんなもんじゃないんだぞ!」ってすごく思う。けどそれと同時に、「ああ、自分たちもホントにがんばんなきゃな」「テレビの前で観てる場合じゃないな」ってお尻を叩かれるような気持ちになるんです。私たちの一番近くにいる人たちがオリンピックという世界的イベントに携わったなら、その人と一緒にやってきた私たちだって自分を信じていれば大きな夢につながるかもしれない。2016年はそれを強く感じた年でした。

──そう思います。

あ~ちゃん 夢に近付くためには、もっと欲張ったほうがいいのかもしれないって最近思うんです。今までは石橋を叩いて、叩いて、叩くけどやっぱり渡るのやめる!ってくらいの慎重すぎる人たちだったけど、これからは勇気を出して、思い切ったことをバーンとやれるようになりたいですね。

ニューシングル「TOKYO GIRL」 / 2017年2月15日発売 / UNIVERSAL J
初回限定盤 [CD+DVD] / 1900円 / UPCP-9015
通常盤 [CD] / 1450円 / UPCP-5009

絶賛先行配信中!

CD収録曲
  1. TOKYO GIRL
  2. 宝石の雨
  3. TOKYO GIRL -Original Instrumental-
  4. 宝石の雨 -Original Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • TOKYO GIRL -Video Clip-
  • Perfume View
  • Special Teaser Trailer
Perfume(パフューム)

あ~ちゃん(西脇綾香)、かしゆか(樫野有香)、のっち(大本彩乃)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。

2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が採用される。2012年10月にアジア4カ国で初の海外ツアーを成功させる。翌2013年にはヨーロッパ3カ国での単独公演を開催。フランス・カンヌで行われた世界最大の広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」に日本人アーティスト初のゲストとして招待され、プロジェクションマッピングを駆使したパフォーマンスで喝采を浴びる。2015年にはアメリカ・テキサス州オースティンで開催されたの世界最大規模のフェスティバル「SXSW 2015」に出演し、インタラクティブメディアの祭典「SXSW Interactive」のヘッドライナーを務めた。同年10月にワールドツアーの様子を追った初のドキュメンタリー映画 「WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」を日米同時公開。2016年4月には約2年半ぶりのオリジナルアルバム「COSMIC EXPLORER」を発表し、同作を引っさげて北米5公演を含むリリースツアーを半年間にわたって行った。2017年2月には、日本テレビ系ドラマ「東京タラレバ娘」の主題歌として書き下ろされたシングル「TOKYO GIRL」をリリース。