音楽ナタリー Power Push - Perfume

“大人の女性”になった3人の思い

「声のお仕事がしたい」って何年も前から言ってたんです

──「思い切ったこと」という意味では、あ~ちゃんが声優に初挑戦(日本テレビ系ドラマ「東京タラレバ娘」レバ役)というのはまさにそれかと(参照:Perfumeあ~ちゃん「東京タラレバ娘」あのキャラ役で声優デビュー)。

あ~ちゃん あー、思い切った! 確かに(笑)。

のっち あれもタイミングだよね。何年も前からあ~ちゃんは「声のお仕事がしたい」って話をずっとしてて、年末に「今後どうする?」みたいなざっくりした話し合いをしたときにもまた言ってたんですよ。そしたらその数日後にドラマチームから「あ~ちゃんに声優を頼みたいんです」って話が来て。

あ~ちゃん ビックリしたよね。その話はマネージャーしか知らないのに……タイミングのよさがすごかったです。

──放送を観た感想は?

かしゆか 全然あ~ちゃんを感じさせなくて自然な演技でした。ちゃんとレバちゃんがしゃべってる。

のっち かわいかった! っていうか怖かった!

あ~ちゃん 自分のこと言われてるみたいで怖いよね、あれ(笑)。

──アフレコをやってみて、どうでした?

あ~ちゃん すごい楽しかったです。原作を読んでるときのレバちゃんのイメージが自分の中にあったんで、そのままやってみたら「いいですね」って言ってもらえて。だから演技指導みたいなことは特に何も言われずに進んでいってます。あと加藤諒くん(タラ役)がすごく面白い人で、録ってるときにずっと笑かせようとしてくるんですよ(笑)。楽しいなって思ってるうちにあっという間に録り終えてますね。

──これがきっかけになって、今後もいろんな役のオファーが来るようになるかもしれませんね。

あ~ちゃん まだやり始めたばっかりなんで次のことは考えてないですけど(笑)、声のお仕事はずっとやりたかったのでまたできたらうれしいですね。ナレーションとかもやりたいです。

──いいですね。かしゆかさんも声優に向いている声なのではと思いますが、興味はありますか?

かしゆか なんでもやってみたいです。お話いただけるなら。

のっち 見たーい!

かしゆか 昔はオファーが来てたんですけどね。全部断り続けてるうちに話が来なくなって(笑)。

不安なんてなかったです。読むまでは

──「東京タラレバ娘」は30代になった独身女性の不安や焦り、恐怖などをコミカルに描いた作品ですよね。そんなドラマの主題歌を歌うのに適任なアーティストとしてPerfumeが選ばれたというのは、皆さんが高校生の頃からライブを観ていた自分としては感慨深いものがあります(笑)。

あ~ちゃん 恐いですよね。だってドラマで3人を演じてるのが同い年の子なんだもん。「やばっ、私ってもうそういう歳なんだ」って衝撃でした(笑)。

──でもPerfumeは今まであらゆることを有言実行でやってきたイメージがあるので、選んだ道を悔やんだりとか、あまりしていなそうに見えます。

のっち いや、タラレバいっぱい言うよ(笑)。

かしゆか 全然あると思いますよ(笑)。

あ~ちゃん

あ~ちゃん そういうの超楽しいもんね。だから物語の中でKEYくんが「そうやって一生、タラレバつまみに酒飲んでろよ」って言ってるの聞いて、ガーンって感じ。

かしゆか だって最高に楽しい話じゃん! 「なんでいけんの?」ってなる(笑)。

あ~ちゃん 例えば「あのとき、のっちをPerfumeに誘わなければ……」みたいな話ね。

のっち そこは「誘わなければ」じゃなくて「誘わなかったら」って言ってほしかったですね(笑)。

あ~ちゃん ははは(笑)。もちろん、のっちがいなかったらPerfumeは絶対ここまできてないと思いますけどね。でも、そういう話をするのはすごい好きなんですよ。

のっち あのマンガ、読んだ女と読んでない女では物の考え方が全然違ってしまうと思います。

かしゆか 現実の受け止め方が変わるね。

あ~ちゃん わかるわかる。“変わらせられる”んだよね。このマンガ怖い。

──不安や焦りに共感したんですか?

あ~ちゃん 不安なんてなかったです。読むまでは。

のっち わはは(笑)。

あ~ちゃん 「私って人からこんなふうに思われてたんだ」っていう、知りたくないことを知ってしまった感じ。そういう恐怖ってありません? この間バラエティ番組を観てたら、出演してた男の人が「『私って前髪ぱっつんしか似合わない人だから』って言う女が嫌い」って話してて。

のっち どういう意味?

あ~ちゃん 「自分はこういう女なんだ」って言い切るのは、それ以上成長しようとしてないってこと。そんなのは甘えてるしもったいない、っていう彼の持論なんですけど、その話を聞いて「……あれ? もしかして私も言っちゃってる……?」ってそうでなくても気がしてくるのが女子なんですよ。

──ああ、なるほど(笑)。

あ~ちゃん 「若人にそんなこと言われても知るかい!」みたいな気分になりつつも(笑)、「実は私も周りからそう思われてるのかも……」っていう不安が1つ植え付けられるんですよね。「東京タラレバ娘」はそれをどんどん植え付けてくるマンガで、ホント恐ろしいです。

歳が追い付いてきたから深みが増して聴こえるんでしょうね

──かなり前置きが長くなりましたが今日の本題です。その「東京タラレバ娘」の主題歌である「TOKYO GIRL」の話をさせてください。僕は初めてこの曲名を見たときに「海外の人々に向けて東京の女性をアピールする」みたいなイメージの曲なのかと思ったんですよ。

のっち あー、はいはい! 「Welcome to New York」(テイラー・スウィフトの楽曲)みたいな。

あ~ちゃん 「Kawaii文化を発信」みたいなことですね。

──でも聴いてみたら全然違いましたね。都会在住者の憂鬱のようなものを歌っていて。皆さんはこの曲から何をイメージしましたか?

のっち まったく何も浮かびませんでした。だって私は“広島ガール”だし、「TOKYO」「Boom Boom」「Kawaii」だなんて単語を背負えないので(笑)。

──わはは(笑)。でも僕は、この歌詞はPerfumeのような、ステージに立ってパフォーマンスをする人の目線で書かれてると思ったんですよ。

のっち おっ? 詳しく聞かせてください。

──Bメロからサビにかけて描かれてるのは「ライトに照らされて、着飾って歌いながら、“彩りのサラウンド”を目の前のお客さんに届ける人」っていうことなんじゃないかなと。

あ~ちゃん ああー、そうか。なるほどね。歌ってるのが私たちだから、人からはそういうふうに聴こえるんだ。

かしゆか 面白い。私は普通に、現実を生きてる同世代の女の子の話だと思ってた。

のっち うん、同世代っぽい歌だよね。「満ち足りてるはずなんだけど、本当にこれでいいのかな?」みたいな、この曲に漂ってる漠然とした不安感って、20代前半の頃には感じなかったと思う。

──確かに、もし昔のPerfumeがこの曲を歌っていたら「背伸びした大人っぽい曲」って思われていたかもしれません。

のっち 10代の頃に歌ってたらファンタジーの歌になってそう。

あ~ちゃん たぶん、あんまり意味のない曲になっちゃってたと思う。歳が追い付いてきたから深みが増して聞こえるんでしょうね。自分たちにも当てはまるところがあるから。

ニューシングル「TOKYO GIRL」 / 2017年2月15日発売 / UNIVERSAL J
初回限定盤 [CD+DVD] / 1900円 / UPCP-9015
通常盤 [CD] / 1450円 / UPCP-5009

絶賛先行配信中!

CD収録曲
  1. TOKYO GIRL
  2. 宝石の雨
  3. TOKYO GIRL -Original Instrumental-
  4. 宝石の雨 -Original Instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • TOKYO GIRL -Video Clip-
  • Perfume View
  • Special Teaser Trailer
Perfume(パフューム)

あ~ちゃん(西脇綾香)、かしゆか(樫野有香)、のっち(大本彩乃)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。

2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が採用される。2012年10月にアジア4カ国で初の海外ツアーを成功させる。翌2013年にはヨーロッパ3カ国での単独公演を開催。フランス・カンヌで行われた世界最大の広告祭「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」に日本人アーティスト初のゲストとして招待され、プロジェクションマッピングを駆使したパフォーマンスで喝采を浴びる。2015年にはアメリカ・テキサス州オースティンで開催されたの世界最大規模のフェスティバル「SXSW 2015」に出演し、インタラクティブメディアの祭典「SXSW Interactive」のヘッドライナーを務めた。同年10月にワールドツアーの様子を追った初のドキュメンタリー映画 「WE ARE Perfume-WORLD TOUR 3rd DOCUMENT」を日米同時公開。2016年4月には約2年半ぶりのオリジナルアルバム「COSMIC EXPLORER」を発表し、同作を引っさげて北米5公演を含むリリースツアーを半年間にわたって行った。2017年2月には、日本テレビ系ドラマ「東京タラレバ娘」の主題歌として書き下ろされたシングル「TOKYO GIRL」をリリース。