03. Caution
──「Caution」も「Here & Now」と同様に2021年の「CHASER」ツアーから披露されている曲です。当時どういうところが引っかかってピックアップされたんでしょうか?
中川 デモを聴いたときは、ライブでめちゃめちゃQWVを煽って盛り上がれる曲だなと思ったんですよ。
浦野 でも、振りが付いたら、バチバチに見せる曲になったよね。
中川 ダンス以外のところを考えられなくなっちゃった。曲って振付だけで全然印象が変わるものなんだなと驚きました。
浦野 振付はYORITOさんです。
──YORITOさんはOWVの曲だと「Bling Bling」や「Sound the Alarm」の振付を担当されていますね。
浦野 バチバチ系の振付を作ってくださっています。
中川 YORITOさんの振付は音を全部取るので、かなり激しい踊りなんですけど、それがカッコいいんです。この曲の振り入れのスケジュール、タイトだったなあ……。
本田 「CHASER」ツアーの福岡公演で「Caution」を披露することになって。2日で振り入れして、本当に大変だった。今でもそのときのことを鮮明に覚えています。
浦野 時間もなかったので、ぐあーっと一気に入れて。フルでの披露だったので、すごくドキドキしてたな。僕にとっては、OWVで一番パフォーマンスの難易度が高い曲ですね。
──レコーディングも2021年にやったんですか?
本田 そうですね。
浦野 「Here & Now」と同じ時期です。
──この曲では、恋にズブズブと落ちていくさまが熱っぽい歌声で表現されています。
浦野 「Caution」はセクシーさがある曲だよね。ズブズブ沼系。
中川 大人っぽいよね。演じるように曲の世界に入り込んで、色気を意識して歌いました。
──「聞こえる僕に警告するSign」という本田さんの歌い出しからゾクっとするような歌声です。
本田 これも後ろで「チチチチ」って音がして怖かったですね。
中川 「Gamer」もドラムの「ダダッ!」って音を気にしてたし、音に怯えすぎでしょ(笑)。
浦野 毎回音を怖がってる(笑)。本田くんの歌い出しのところはカッコよくて、ざわっとするよね。
本田 ここの声色はすごくがんばった記憶があります。ちょっと“敷く”ようにして歌いました。
中川 ウィスパーってこと?
本田 うん。声を敷いている。
中川 変わった表現だな。
浦野 カーペット的な。僕も敷きながら、その続きの「出口ない迷宮迷い込んだ」というところを歌いました。ここはアクセントを意識しましたね。アタックをポイントで(指を鳴らしながら)。
──ライブの流れの中でかなり映える曲ですよね。
本田 「Caution」はファンの方からも人気なんですよ。
浦野 「早く音源化してほしい」という声がけっこうあったもんね。ようやく世に出せてよかったです。
04. You
(2022年3月発売の5thシングル表題曲)
──「You」は春の始まりを感じさせるミディアムバラード曲です。先ほど佐野さんがおっしゃっていた通り、当時OWVのシングルの表題曲としてはかなり振り切った試みだったと思います。
浦野 メロディアスなサビのある楽曲で、それまでとは真逆のOWVを見せたいねという話になったのを覚えています。
佐野 「Ready Set Go」(2021年1月発売の2ndシングル表題曲)のときのマインドに近かったよね。
本田 最初は「Sound the Alarm」(シングル「You」のカップリング曲)のほうを表題曲にするという案もあったんですよ。
中川 めっちゃ迷ったよね。
本田 でも、スタッフさんとも話し合ったうえで最終的には「『You』でいこう」という結論になりました。
浦野 ファンの方を飽きさせない、という意図もありましたね。
中川 作戦ですね。
本田 この曲では衣装を“インサイドアウト”したんですよ。
浦野 懐かしい。ほかのグループがあまりやってないような衣装を取り入れたくて、あえて裏地を表に出してみたんです。“隠していた部分をさらけ出す”という意図もありました。
──韓国の振付師チームのLOOKが手がけた、しなやかなコレオも印象的でした。
佐野 それまでLOOKさんには「Roar」みたいなバチバチな曲の振付をやってもらっていたんですが、こういうミディアムバラードでのLOOKさんの振付も踊ってみたいなと思って当時お願いしました。
浦野 ちなみに「You」の歌い出しは誰だ……?
中川 本田くんです!
浦野 また本田くん! すごいじゃん!
本田 いやいや(笑)。秀太はサビを歌ってるから。
中川 秀太はサビまでとっておきたいんだよね。「You」は違うんですけど、僕、今回何曲か歌割りに携わらせてもらってるんですよ。
──それは中川さんにとって初めての試みですよね。
中川 はい。「Gamer」「DARK STAR」「Better Day」の3曲で挑戦しました。スタッフさんと話して、OWVの中でのそういう役割をもらったというか。だから、新曲に関してはレコーディング中に全員のテイクを見るようにしていて。トラックダウンにも立ち合わせてもらいました。
05. DARK STAR
──「DARK STAR」も2ndアルバムに収録することを想定して2021年から準備してきた楽曲だそうですね。
中川 はい。「DARK STAR」はヒップホップテイストの楽曲です。
浦野 ダークな感じだよね。デモの時点ですごくカッコよかった。この曲、音が少ないよね?
中川 うん、すごく少ない。
浦野 音が少ないからこそ、自分たちのラップのクオリティを求められる曲だと思います。
中川 技術が必要な曲だよね。そういう意味で、2021年に「この曲はやりたい!」と思ったんですけど「今じゃないな」とも感じて。よりいいものとして昇華したいから、これから活動していって、いろんな感性が磨かれてから音源化しようということになりました。そのタイミングが今回かなって。
──ということは「Here & Now」「Caution」とは違って、レコーディングは最近やったんですか?
中川 はい。2023年に入ってから収録しました。
浦野 今だからこそ歌えるなと思って。
──スターが街を歩いているような光景が浮かんでくる曲ですが、ただの“STAR”ではなく“DARK STAR”というところも、OWVの色が出ていると感じました。
中川 もともとは確か“SUPER STAR”だったんですよ。それもカッコよかったんですけど、より僕らの色に合わせてくださったんです。僕たちはヒール役のほうが心地いいというか。“DARK STAR”のほうがOWVっぽいなと思いました。
──満を持してのレコーディングはいかがでしたか?
浦野 難しかった! 僕はラップをそんなに通ってこなかったというのもあって、毎回ラップのレコーディングは苦戦するんですけど、「DARK STAR」はラップしかないので。先ほど話に出たように、音が少なくてクオリティを求められるし。この曲のレコーディングのディレクションは、かっちゃん(中川)がしてくれたんですよ。
──「DARK STAR」に関しては歌割りに中川さんが携わっているということですが、中川さんの中でOWVの歌割りを決めるうえで何かポイントはあるんですか?
中川 これは僕の好みかもしれないんですけど、ワンフレーズごとにあまり細かく切りたくないというか。大きいパートを1人ずつに渡して、その中で存分に表現してほしいというのが自分のスタイルのような気がしています。細かく分けたほうがいいところもあるんですけど、基本的には1つの大きなセクションをそれぞれ担当したほうが、リスナーの方の印象に残りやすいし、4人の歌声を覚えてもらいやすいかなと思っていて。アルバムの中だと、特に「Gamer」はそういうイメージが強かったです。
──メンバーそれぞれの声のよさがわかっていないとできない役割だと思います。
中川 そうですね。自分のイメージに合ったところをメンバーに歌ってもらえるのはうれしいです。自分が思う“OWVの見せ方”というのがあるなと最近感じます。
──先ほどトラックダウンにも立ち合ったとおっしゃっていましたが、「DARK STAR」に関してはいかがでしたか?
中川 最初は声にエフェクトをかけて、音馴染みのいい感じにしようかなと思っていろいろ試したんですけど、そうすると今度はトラックが生きなくなって、楽曲のよさが消えてしまって。最終的にはあまりエフェクトをかけずに、自分たちの声の表現そのものを重視した仕上がりにしました。いろんな試行錯誤を経て、できあがった楽曲ですね。
──「CASINO」ツアーでは「DARK STAR」「Slam Dog」、そして中川さんのソロと、3曲連続のラップでドープな世界観が築かれていました。「Slam Dog」への導入となる振付は、KF-projectのお二人が担当したそうですね。
本田 ガッツリした振付というよりは、作品に添えるような振りのイメージですね。
佐野 あそこの振付に関しては、「Slam Dog」につなげるにあたっての橋渡しといいますか。あのセクションは、中川のソロラップにつながるまでの物語になっています。その中で、この「DARK STAR」という曲はすごくパワーを持ってるなと思っていました。
06. Time Jackerz
(2022年7月発売の6thシングル表題曲)
──6曲目の「Time Jackerz」は、攻めの姿勢を感じるハイパーなダンスチューンです。1stアルバムの取材のときに皆さんが「OWVのEDMはまだペンで丸を書いたところで、中は塗ってないんです。これから期待しててください」ということを含みを持たせておっしゃっていましたが、「Time Jackerz」がリリースされたときに「この曲のことだったのか」と思いました。
浦野 当時、言ってましたね。
佐野 「Time Jackerz」もけっこう前からあった曲なんですけど、「僕らの昇華能力が追い付いてないから、まだやめておこう」ということをみんなで話し合ったんです。今かな、というタイミングでリリースしました。
中川 「Time Jackerz」も音が少ないんですよ。
浦野 考え方的には「DARK STAR」と一緒だよね。
佐野 でも、個人的に「Time Jackerz」はこれが完成形とは捉えていないというか。この曲はもっと変わっていくと思うんですよ。いろんなリミックスをしていくうちに。さらにぶち上がる曲になると思いますし、ダンサーさんが大量にいたら絶対カッコいいだろうし。
──まだまだアレンジできるということですね。
佐野 はい。たくさんの可能性を秘めた曲だと思います。
本田 こういう音サビがクラブテイストになっている楽曲だと、ダンスだけじゃなくていろんな見せ方ができそうだよね。確かに、これからもいろんな形を見せてくれる楽曲だと思います。
浦野 僕たちも「Time Jackerz」の完成形が気になるもんね。何年後かに「Time Jackerz」がどう化けているのか楽しみです。