ナタリー PowerPush - おおたえみり

赤い公園・佐藤千明に聞く“理解できない”すごさ

昨年8月にDVD+CD作品「セカイの皆さんへ / 集合体」でメジャーデビューして以来、音楽ファンの注目を集め続けているおおたえみりが、1stミニアルバム「ルネッサンス」をリリース。赤い公園の津野米咲(G)と藤本ひかり(B)、女王蜂のルリちゃん(Dr)が参加したリード曲「月のレヴェル」、さらに小西康陽や池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)のプロデュース楽曲を収録した本作には、既存のスタイルと価値観を超越した彼女の音楽世界がカラフルに描かれている。

今回は以前から「えみりちゃんの大ファン」と公言している赤い公園の佐藤千明(Vo)に登場してもらい、“アーティスト・おおたえみり”の魅力について同世代ならではの視点で語ってもらった。

取材・文 / 森朋之 インタビュー撮影 / 高田梓

 
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「すごくヤバい人がいるから聴いてみて」って言われて

佐藤千明

──まず、佐藤さんがおおたえみりさんの音楽を知ったきっかけから教えてもらえますか?

今年の2月、自分たちのレコーディング合宿中ですね。ディレクターさんと「最近、いい人(アーティスト)いますか?」って話をしてたら「すごくヤバい人がいるから聴いてみて」って言われて。それがえみりちゃんだったんですよね。そのときに「最短ルート」のPVを観たんですけど、最初はひたすら笑ってましたね、ディレクターさんと一緒に(笑)。

──わかります。ホントにすごいものを観ると笑っちゃいますよね。

そうなんですよね。「えー、どういうことー?」って。歌詞にもビックリしましたし、アレンジもあまり耳なじみがない感じというか。ただただビックリして、何て言えばいいかわからなかったですね。合宿から帰ってきてから、さらにいろいろと聴いたんですよ。ナタリーさんの独占先行映像(参考:おおたえみり独占先行特集)も観たし、DVDも観て。周りの人たちにも「えみりちゃん、すごい。素敵!」ってずっと言ってたんですけど(笑)、しばらくしてようやくライブに行くことができて。それがまたすごかったんですよ。渋谷のLa.mamaだったんですけど、ライブが終わったあと、何もしゃべりたくないと思ったのはあのときが初めてでした。とにかく衝撃的だったし、ずっと余韻に浸っていたいなって……。

──よかったポイントってどこでしょう?

私、えみりちゃんの顔が好きなんですよ。ずっと見ていたいというか、中毒性がある顔だなって(笑)。ライブのときも「えみりちゃんの顔が見たい」と思ってたんですよね。「あの言葉を歌うときは、どんな顔してるんだろう?」とか。でも、ライブ中はすごく没頭してるんですよね。えみりちゃん自身が違うところに行ってるような感じがするというか……。それはもしかしたら、えみりちゃんの中にある世界なのかもしれないけど。私も(ライブを行うときは)そうでありたいと思うんですよね。自分自身の意識も違うところに行きたいし、聴いてる人たちをどこか違う場所に連れていきたいなっていうのもあるので。

──赤い公園のライブも、どちらかというと世界観を作り込むスタイルじゃないですか?

うーん、赤い公園を客観的に見られないから、ちょっとわからないですけどね。でも、えみりちゃんのライブとはベクトルが違うんだろうって思います。歌もすごいじゃないですか。最近、代官山(晴れたら空に豆まいて)でライブを観させてもらったんですけど、「母のもとへ」という曲で、それまでに聴いたことのない歌い方をしてたんですよね。私、がなるような歌い方のほうが好きなんですけど、まさにそういう感じで。「うわ、こういう歌い方もできるんだ!?」って思ったし、えみりちゃんって、実はすごく音程も正確じゃないですか。それをワザと外して、ちょっと汚いというか、がなるような感じで歌っていて……。

──楽曲の世界にあわせて意図的に歌い方を変えてる、と。

そうだと思います。それまでは楽曲の世界に対して「すごいな」って思ってたんだけど、そのライブを観てからは「歌もすごい!」って。挨拶もさせてもらったんですけど、自分が緊張しちゃってあんまり話せなかったですね。ライブの感想なんかも、なんて言えばいいかわからないし。

赤い公園と危うさは似てるかもしれない

──8月28日にリリースされる1stミニアルバム「ルネッサンス」のリード曲「月のレヴェル」には、赤い公園の津野米咲さんと藤本ひかりさん、女王蜂のルリちゃんが参加してますね。

自分のバンドのメンバーが参加しているのは誇らしかったですね。がんばれ!って思いました(笑)。実際のレコーディング作業は観ていないんですけど、メンバーから話を聞かせてもらって、すごく興味深かったですね。「えみりちゃんがね、『ここは森の中です』って言って、それからいきなり始めるの!」って。それがすごく楽しかったみたいで。

──(笑)。楽曲のシチュエーション、世界観をあらかじめ説明するっていう。

そうみたいですね。もう1つ面白いなーって思ったのは、リハスタにいるとき、メンバー以外の人は、マネージャーさんもディレクターさんもスタジオの外で待ってたらしいんですよ。えみりちゃんが「空気が薄くなるから、出て行ってください」って言って、4人だけの空間で演奏するっていう。津野も「やっぱ天才は違うな!」って言ってました(笑)。

佐藤千明

──完成した楽曲については、どんな印象を持ちました?

津野の危うさって、ギターの音にも出てると私は思うんですよね。その危うさが、えみりちゃんの楽曲にすごく合ってるなって思いました。聴いていてヒリヒリするというか……。えみりちゃんが同世代の女の子に声をかけた理由は、これなのかなって。

──この世代の女の子の特有の危うさというか……。

「この年齢だから」というのはあるかもしれないですね。感情が安定しない感じだったり、儚さだったり。その危うさは似てるかもしれない。(赤い公園とおおたえみりを)並べたとして、もし通じるところがあるとしたら、そこかなって思います。

おおたえみり 1stミニアルバム「ルネッサンス」/ 2013年8月28日発売 / 2100円 / cutting edge / CTCR-14748
CD収録曲
  1. 月のレヴェル
  2. ぼっちはハイ
  3. 舟の人
  4. 踊り子
  5. うでの毛
  6. ルネッサンス
  7. カーテン
赤い公園 1stアルバム「公園デビュー」/ 2013年8月14日発売 / EMI Records Japan
「公園デビュー」
初回限定盤 [CD+DVD] 3500円 / TOCT-29184
通常盤[CD] 2800円 / TOCT-29185
おおたえみり

兵庫県出身。1992年9月14日生まれのシンガーソングライター。幼少期からピアノを弾き始め、小学生の頃から曲を作るようになる。15歳で関西を中心に定期的なライブ活動を行う傍ら、次々とオリジナル楽曲を制作。ほぼ関西のみの活動にも関わらず、エキゾチックな容姿とぶっ飛んだパフォーマンスが噂を呼び、じわじわと話題になり始める。2012年8月、DVD+CD作品「セカイの皆さんへ / 集合体」でcutting edgeからメジャーデビュー。その後2作のDVD+CD作品をリリースしたあと、2013年8月に1stミニアルバム「ルネッサンス」をリリースする。

佐藤千明(さとうちあき)
赤い公園

津野米咲(G, Piano, Cho)、藤本ひかり(B)、歌川菜穂(Dr, Cho)との4人組バンド・赤い公園のボーカル兼キーボード。高校の軽音楽部の先輩後輩として4人が出会い、2010年1月に赤い公園が結成される。さまざまなジャンルの音楽を内包したサウンドと、予測不能なアグレッシブなライブパフォーマンスが魅力。東京・立川BABELを拠点に活動をスタートさせ、自主制作盤「はじめまして」「ブレーメンとあるく」を経て、EMIミュージック・ジャパン(現ユニバーサルミュージック内EMI Records Japan)からミニアルバム「透明なのか黒なのか」でメジャーデビューする。2013年8月に1stフルアルバム「公園デビュー」をリリースした。