ナタリー PowerPush - おおたえみり

大ファン・三浦大知が語る魅力

今年8月、DVD+CD作品「セカイの皆さんへ / 集合体」でメジャーデビューしたおおたえみり。普遍性と前衛性が見事に融合した音楽性、鋭さと豊かさを併せ持った世界観、エキゾチックなルックスによって、音楽ファンの注目を集めた彼女から、第2弾作品「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」が到着した。

前回の特集では安藤裕子がおおたえみりについて記したテキストを独占公開したが、今回は早くから彼女の才能に注目してきたという三浦大知に登場してもらい、“アーティスト・おおたえみり”の魅力についてたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 森朋之

 
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見たことないですもん、こんなアーティスト

──前回のおおたえみり特集では、安藤裕子さんのテキストを公開させてもらいまして。

はい、読ませてもらいました。本当に素晴らしい文章で、僕が言うことはもうないと思うんですけどね(笑)。

──(笑)そう言わず、よろしくお願いします。まず、三浦大知さんがおおたえみりさんに注目したきっかけを教えてもらえますか? 三浦さんはR&B、ダンスミュージックのイメージが強いので、おおたえみりさんのようなアーティストに興味を持つのが少し意外だったのですが。

いやいや、だって、この方はすごいですから。見たことないですもん、こんなアーティスト。いつもスタッフに訊いてるんですよ。「新しい作品はないんですか? できたらすぐ欲しいです」って(笑)。デビュー前から「すごい子がいる」という話は耳にしてたんですよね。最初は「ビョークにそっくりで……」みたいな話だったんですけど、実際に作品(DVD+CD作品「セカイの皆さんへ / 集合体」)を見させてもらったら、衝撃的すぎて、ビジュアルのことなんかどうでもよくなって。そこから大ファンになりました。

──「セカイの皆さんへ」のDVDにはピアノの弾き語りによるライブ映像が収録されていましたが、大知さんが衝撃を受けた部分というのは、どういうところですか?

うーん……。なんて言っていいかわからないし、言葉で説明しないほうがいいのかもしれないけど「音楽だな」って思ったんですよね。音楽ってやっぱり楽しいな、というか。こんなに理屈じゃない人っていないと思うんですよね。

──確かに既存のフォーマットや価値観で捉えられるアーティストではないですよね。

そうですよね。声もすごく特徴的だし……。しかも、全部がベストな状態にある感じがするんですよね。音楽っていろんな組み合わせでできてるし、いろんなパターンがあると思うんですけど、おおたえみりちゃんの音楽に関しては、正解はこれ以外にない、これ以外の表現方法はないだろうなと思うんですよ。

──すでに完成されている、と。

なんて言うんだろう? なんでもできるだろうなという感じもするし、これしかできないんだろうなという気もするというか……。多分音楽もものすごく聴いてるだろうし、可能性もいっぱいあると思うんです。でも、それは表裏一体なんですよね。例えばここに白い紙があるとして、可能性が黒い丸だとするじゃないですか。黒い丸がどんどん増えていくと、最終的に真っ黒の紙になって、ゼロに戻りますよね。そういう感じがするんですよね、えみりちゃんは。

ヘンに理解しようとしないでそのまま聴けばいい

──彼女のライブに関してはどうですか?

最初に観たのは代々木の小さいライブハウスだったんですけど、すごかったですね。人間の核心的な部分をすごく突く人だなって……。誰にでも、人にどう伝えればいいかわからない気持ちがあると思うんですよ。自分にしかわからない感覚というか。えみりちゃんのライブは全てが“それ”だったんですよね。ハッとさせられることが多くて、楽しかったですね。ニヤニヤしながら観てました。

──“核心を突く”というのは歌詞のことですか?

うーん……。えみりちゃんがライブで「あんまり理解しようとしないでください」って言ってて、会場にいる人がみんな笑うっていうことがあって。

──なるほど、良いエピソードですねえ。

だから、ヘンに理解しようとしないで、そのまま聴けばいいと思うんですよね。歌詞の意味だとか、「こういう気持ちで歌ってるんだろうな」とか、1つの答えを探さないでいいんじゃないかなって。

──童話のようでもあり、神話のようでもあり。どういう過ごし方をしていたらこんな歌が書けるんだろう?と思いますよね。

もしかしたら前世の記憶が残ってるんじゃないか?とすら思うし、1つの人生じゃこんな歌は歌えないんじゃないか?っていう気もしますね。視点も独特なんですよ。すごくミニマムなんだけど、その“点”をものすごくいろんな角度から見てる感じがする。宇宙から地球を見てるというか、いろんな人生観が並列されてるというか……。今20歳ですよね? 育った環境がどうとかってことはでなくて、自分だけの世界がちゃんとあるんだと思いますね。

えみりちゃんは最初からひとりだと思う

──音楽的にも“おおたえみりだけの世界”を感じます?

そうですね。メロディのセンスもすごいし、歌謡的、日本的な美しさもあって。あと、ビート感もすごく伝わってくるんです。ピアノにしても歌にしても、リズム感、タイム感がすごく良いと思う。ピアノってほとんど独学なんですよね? 弾き方も普通とは違うし。でも、あれじゃないと出せないニュアンスがたくさんあるんでしょうね。

──やはり、規格外という言葉がふさわしいのかも。

ロックとかR&Bとか、そういうことじゃないですからね、最初から。例えばマイケル(・ジャクソン)みたいにポップっていう枠から抜きん出て唯一無二になるっていうのではなくて、えみりちゃんは最初からひとりだと思うんですよ。僕自身、ここまで音楽をやってきて、そんな人に出会ったことがなかったし。ぜひ、音楽業界の中にいる人にも聴いてほしいですね。みんながハッとするというか、いろんな気付きのきっかけになるんじゃないかなって。

──“最初からひとり”だったとしたら、孤独だったでしょうね……。

でも、それも僕らが勝手に理解しようとしてるだけで、えみりちゃんが実際にどう思ってるかはわからないですからね。ライブで「理解しないで」って言うくらいだから。そう言えばライブのとき、PVの話をしたあとに「PVのテーマ曲です」って言って、全く別の曲を歌ったんですよ。あれもすごかった(笑)。

──確かに(笑)。ちなみにライブのとき、えみりさんと話はしたんですか?

ご挨拶はさせてもらいました。(すごく小声で)「ありがとうございました」って言ってましたけどね(笑)。あと、僕のライブを観に来てくれてたんですよ。そのとき、おいしい紅茶をいただきました。

おおたえみり DVD+CDシングル「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」 /2012年11月21日発売 / 2100円 / cutting edge / CTBR-92084/B
DVD+CDシングル「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」
DVD収録内容
  1. パカパカ大学生
  2. 猿の宴
  3. フェードアウト人生
  4. 輪廻
  5. 母のもとへ
CD収録曲
  1. 最短ルート
  2. 最短ルート(instrumental)
三浦大知 ニューシングル「Right Now / Voice」2012年12月12日発売 / SONIC GROOVE
「Right Now / Voice」MUSIC VIDEO盤 [CD+DVD] 1890円 / AVCD-16305/B
ニューシングル「Right Now / Voice」LIVE盤 [CD+DVD] 1890円 / AVCD-16306/B
ニューシングル「Right Now / Voice」通常盤 [CD] 1200円 / AVCD-16307
CD収録曲
  1. Right Now
  2. Voice
  3. Far away
MUSIC VIDEO盤 DVD収録内容
  • Right Now -MUSIC VIDEO-
LIVE盤 DVD収録内容
  • 「DAICHI MIURA LIVE 2012“exTime Tour 2012” Digest & Off Shot」
おおたえみり

おおたえみり

兵庫県出身。1992年9月14日生まれのシンガーソングライター。幼少期からピアノを弾き始め、小学生の頃から曲を作るようになる。15歳で関西を中心に定期的なライブ活動を行う傍ら、次々とオリジナル楽曲を制作。ほぼ関西のみの活動にも関わらず、エキゾチックな容姿とぶっ飛んだパフォーマンスが噂を呼び、じわじわと話題になり始める。2012年8月、DVD+CD作品「セカイの皆さんへ / 集合体」でcutting edgeからメジャーデビュー。11月には第2弾作品「セカイの皆さんへ2 / 最短ルート」をリリースした。

三浦大知(みうらだいち)

沖縄県出身。1987年生まれ。1997年にダンスユニット・Folderのメインボーカルとしてデビューし、類い稀な歌唱力とパフォーマンスで「和製マイケル・ジャクソン」と評される。2000年から変声期に伴い、一時的に歌手活動を休止。ダンスレッスンやボイストレーニングに明け暮れる日々を経て、2004年から活動を再開する。2005年1月にシングル「Keep It Goin' On」でソロシンガーとして再デビュー。2007年にはアメリカで開催された「Rock Steady Crew 30th Anniversary」に日本人初の単独出演を果たし、2012年には初の日本武道館ライブを成功させるなど、その圧倒的なパフォーマンスは国内外問わず高く評価されている。