ナタリー PowerPush - OKAMOTO'S
今だからこそ欲望を叫べ!!!! 新たな扉開いた野心作
OKAMOTO'Sの新たな扉が開いた実感
──「欲望を叫べ!!!!」はOKAMOTO'Sが鳴らすロックンロールの本質を突き詰めるような曲だと思うんですけど、カップリングの「Future Eve」は、奔放かつ濃厚なサウンドをポップに落とし込んでいて。これもすごく大きな1曲だと思う。
ショウ そうですね。この曲を作るきっかけになったのは震災だったんです。去年5月に「10'S」をリリースしてからずっと走り続けてきた日々が3月11日で少し立ち止まることになって。ツアーの途中で2本、イベント出演も含めると合計5本くらいのライブが延期になって。初めて立ち止まって周りを見渡したときにいろいろ思うことがあったんですよね。去年の俺だったら、こういうときに何かを発信しても結局音楽じゃどうにもならないって立場をとっていたと思うんですけど、今年になって発信したら受け取ってくれる人がいるという自覚が芽生えていて。音楽でみんなに勇気と希望を持ってもらいたいと素直に思ったんです。
──そういう思いからメッセージ性の強い歌詞になった。
ショウ そうですね。未来を変えれば過去も変わる、だから今を全力で走ろう、という内容の歌詞なんですけど、この曲ができたことでまたOKAMOTO'Sの新たな扉が開いたなという実感があって。
──これまでのどの曲よりも意識的にリスナーに向かってる曲だよね。だから、必然的にバンドのポップな部分が導き出されてきたんだと思うんですけど。
ショウ そうだと思います。アルバムのなかでもこの曲がいちばん最後にできた曲なんですけど、ほかの曲を聴いてみても「10'S」のときよりもポップな曲が生まれていて。
──「Hello I Love You」とか。
ショウ そう。こういうポップな曲もありだよねっていう感覚がどんどん強くなっていて。アティテュードが伝わらなくてもカッコいい曲ってあると思うんですけど、伝わらなきゃいけない曲も絶対あるから、そのためにはメロディをポップにすることは大事だと思うし。媚びるためにポップにするんじゃなくて、伝えるためにポップにする。「Future Eve」は“伝わる曲”になってほしかったからどの曲よりもポップさを追求したし、その一方で間奏部分なんかはもしかしたらどの曲よりも俺たちの血がいちばん濃く出てるなとも思うし。それはまさに俺たちの欲望でもある。
──間違いないね。
ハマ 「Future Eve」はアルバムのトラックリストでも最後に位置づけられていますけど、僕ら流のポップな曲の完成形が作れたなと思ってます。アルバムにはほかにもポップな曲がありますけど、この曲だけ群を抜いて濃いというのは誰が聴いてもわかると思うので。
コウキ ポップな曲に落とし込んでも俺らの本質は出るし、1曲のなかにキャッチーな要素とアバンギャルドな要素を2つ入れるというよりも、それを混ぜてどれだけ面白いものが作れるかというところに魅力を感じていて。「Future Eve」はまさにそういう曲になったと思います。
レイジ 自分らも変わったんだなって思う。昔だったらポップな曲をどこか「(笑)」的なテンションでやっていたところがあったんですけど、今はそういう意識が全然ないので。個人的には、最近BOØWYが好きになったり、価値観がホントに変わったなって思う。
──へえー、BOØWYを好きになったんだ。
レイジ 正直、昔は全然興味なかったんですけど、つい最近めっちゃいいって思うようになって。1年前は考えられない。たった1年でこんなに価値観は変わるし、感性も進化するんだなって思いますね。
──それを言ったら、これからまだまだ変化も進化もしていくだろうしね。
レイジ そうですね。例えばBOØWYが好きになってほかの曲が嫌いになったとか、そういうことじゃないので。どんどん感性の幅が広がっていくから面白いなって。
──OKAMOTO'Sは特に、最初から音楽的にディープなところに突っ込んでいった分、広がる余地はデカいのかもしれないね。
レイジ そうそう、先にディープなところに触れているから、BOØWYを聴いても「うわっ、すげえエッセンス入れてくんな!」っていうポイントが楽しめるんですよね。それはデカいっすね。
インスパイア&リスペクト
──アルバムではハマくん作曲のディープなインスト曲(「ハマ・オカモトの自由時間」)があったり、レイジくん作詞の曲(「あの娘ぼくが使ったらどんな音するんだろう」)があったり、メンバー個人のキャラクター性や音楽的趣向もこれまで以上に浮き彫りになっていて。
ハマ バンドのなかで思いついたらどんどん提案しましょうという意識が活発になっていて。今作には収録できてないですけど、レイジが作った曲とかもけっこういっぱいあって。
レイジ そうなんすよ。スカの曲があったり。
──へえー! 聴きたいな。
ハマ バンドの中でお互いに触れていい場所が増えたんですよね。個人的には「カサブランカ・ダンディ」(オリジナル:沢田研二)のサウンドディレクションをやらせてもらったりして。レコーディングのテクニックやスキルもさらに上がってきて、自由に、リラックスした状態でいろんなチャレンジができたんです。
──ハマくんはどういうイメージで「ハマ・オカモトの自由時間」を作ったんですか?
ハマ 特に決意があって作ったわけでもなかったんですよね。最初はリフで使ってもらおうと思っていて。気づいたらひとつの曲になっていって。この曲のタイトルをどうしようってなったときに……ノラ・ジョーンズの「...FEATURING NORAH JONES」というコラボレーションアルバムがあるんですけど、僕はあのアルバムが大好きで。あのアルバムの邦題が「ノラ・ジョーンズの自由時間」(笑)。
──あはははは。
ハマ あれにインスパイアされて付けました(笑)。この曲の感じに合ってるなと思って。
──タイトルのインスパイアでいえば、レイジくん作詞の「あの娘ぼくが使ったらどんな音するんだろう」も、岡村(靖幸)ちゃんリスペクトによるものだしね。
レイジ そうなんですよ。でも、このタイトルを提案してくれたのもハマくんなんですよ。
ハマ せっかくだからレイジが作詞した曲だってわかるようなタイトルにしたほうがいいと思って。ほかの曲のタイトルもけっこう強いんで。
──ドラムを擬人化したラブソングっていうのがいいよね。
ハマ そう、ラブソングだし、レイジが岡村ちゃんフリークというのもあって、パッと思いついたんですよね。「あのロン」(「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんなするだろう」)はかなりの名曲なんで、それにあやかってというか。時期的にも祝・大復活というのもありますし。
レイジ しかもこのアルバムのリリース日って、9月7日でしょ? 岡村ちゃんの復活ライブ初日じゃん! すげえー!
期間生産限定盤収録曲
- 欲望を叫べ!!!!
- Future Eve
- 欲望を叫べ!!!!(アニメsize version)
- Future Eve(アニメ size version)
- 欲望を叫べ!!!!(instrumental)
- Future Eve (instrumental)
通常盤収録曲
- 欲望を叫べ!!!!
- Future Eve
- Live at LIQUIDROOM 20110422(Live Tour 2010-2011"Bring The BEAT! Bring The NOISE!")
OKAMOTO'S(おかもとず)
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行われた全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月にメジャー1stアルバム「10'S」、同年11月には2ndアルバム「オカモトズに夢中」を発表。2011年8月3日には初のシングル「欲望を叫べ!!!!」をリリースし、9月7日には3rdアルバム「欲望」を発表する。