小倉はこれまで1stアルバム「Strawberry JAM」、2ndアルバム「Cherry Passport」、3rdアルバム「ホップ・ステップ・アップル」と、3枚のオリジナルアルバムをリリースしてきた。このページではサブスクリプションサービス解禁を記念して、3作品について振り返る。本人の言葉と共に、改めて過去作を楽しんでほしい。
──新曲「Very Merry Happy Christmas」と同時に過去作がサブスクリプションサービスで一斉配信されるということで、小倉さんがこれまでリリースした3枚のオリジナルアルバムについてお話をお伺いさせてください。
はい!
──ソロデビューから3年を経て2015年にリリースされた「Strawberry JAM」は、小倉さんのキュートなキャラクターが確立されたようなアルバムでした。あれから5年経った今、1stアルバムは小倉さんのアーティストとしてのキャリアの中でどういうアルバムになっていますか?
あの頃は、周囲の方たちに支えられながら“小倉唯”というものが確立されていった時期だったと思います。私自身はとにかく楽しく、どんな曲でも全力で歌おうとがんばっていました。まだまだ未熟な点も多かったと思いますが、そういった部分があったからこそ、たくさんの方々に応援してもらえたんだろうなって。私自身は、目の前のことに向かってとにかく必死でしたね。
──アルバムから特に思い入れのある曲を挙げるなら?
すべてに思い入れはあるんですが……あえて1曲挙げるなら「Sing-a-ling-a-Harmony」かなあ。
──この曲はファンの方への感謝をつづったメモを、作詞家のこだまさおりさんに渡して歌詞にしてもらったんですよね。
はい。なので、この曲には当時だからこそ書けたことや、あの頃の私ならではの表現が詰め込まれていて。今でもライブで歌うと、当時の自分がちょっと乗り移るというか。この気持ちを忘れちゃいけないなという思いにさせてくれる曲です。
──この曲につづられているファンの方への感謝のメッセージは、2020年の小倉さんの思いにも通ずるところがあるのでは?
根本はずっと変わっていないと思います。でも、今ならまた違った言葉になるだろうなと。1stアルバムで自分の思いを楽曲にしてもらえたのは、すごく意味があることだったなと歌うたびに感じます。
──このアルバムは「Raise」や「Baby Sweet Berry Love」など、小倉さんのライブの中でも重要な役割を担っている曲や、ファンの人に長く愛されてきた曲がそろっている印象があります。
特に「Baby Sweet Berry Love」は当時ファンの方にとってインパクトのある曲だったんじゃないかな。あとは「Get over」も疾走感があってメッセージ性の強い楽曲なので、新鮮だったんじゃないかなと思います。
──当時の自分を今の自分から見てどう思いますか?
すごく幸せだったと思います。環境的に恵まれていたと思うし、自分をちゃんと表現できる場が最初からあったのはありがたいことでした。そして自分も一生懸命それに付いて行ったからこそ今があると思うので。周りにいる人たちが私のために一生懸命がんばりたいと思ってくれるような……自分で言うのも恥ずかしいのですが、当時の自分にはそれだけのパワーがあったんだろうなと。
──「Cherry Passport」は1stアルバムに引き続き全体的なテイストとしてはポップでありつつ、その“ポップ”の中でいろいろなことに挑戦している印象があります。
このあたりから、自分もアルバムの制作において積極的に話し合いに参加するようになったので、挑戦してみたかった曲調にもチャレンジできました。特に「ドキドキラビリンス」や「エブリデイ☆ハッピーデイ」「アコガレCollection!」は自分がやってみたかったジャンルの曲たちですね。いろいろな曲に触れることができて、1つのアルバムを作り上げられたという大きな達成感がありました。
──このアルバムはリード曲「プラチナ・パスポート」に始まり、「ハイタッチ☆メモリー」「Honey♥Come!!」など、ファンと一緒に進んでいく気持ちや、ファンに対する宣言を感じ取れるような曲が序盤から並んでいる印象があります。そもそも、こうして改めて小倉さんのディスコグラフィを振り返ると、ファンの人に向けて歌った曲や、ライブ空間を想像して作ったような曲がとても多いですよね。
ファンの皆さんと心を通わせることが、私のアーティスト活動のベースになっているので。私のアーティスト人生って、常にファンの方々の存在があってこそ成り立っていると思うんです。だからそこは常に意識しているし、ライブでお客さんの熱量を感じるからこそ、ライブで歌ったらどうなるのかなということは常に想像しながら、景色を思い浮かべて楽曲を作っています。
──このアルバムの中でも「Tomorrow」は未来に向かっていく等身大の気持ちが描かれていて、ほかの楽曲とは少しテイストが異なるように感じます。「私が積み上げた 努力の結晶は輝き続ける」といった歌詞の内容が、以前「日々がんばれることをがんばってきた積み重ねでここまできていると思う」とおっしゃっていた通り、努力し続ける小倉さんの姿にとても重なって(参照:小倉唯「白く咲く花」インタビュー)。
確かに。当時の私の楽曲の中では、めずらしく自分にフォーカスしている曲だと思います。自分の気持ちをどう見せるかというところで、この曲を発表した当時はライブパフォーマンスに苦戦していたんですが、「Tomorrow」をきっかけに自分の内面から思いを引き出すような表現方法もあるんだなと学習しました。
──サブスクで2ndアルバムを改めて聴く方も多いと思いますが、今どのようにこの作品を聴いてほしいですか?
「Cherry Passport」は“パスポート”というワードが入っていることもあって、この先につながっていく作品。1stアルバムが原石だとすると、それがちょっと磨かれて、さらにこれからもがんばっていくよ!という勢いを感じるようなアルバムだと思います。だから私は、このアルバムをすごくエネルギッシュな作品だと感じていて。元気や活力をもらえるようなアルバムになっていると思うので、自分に自信がないときなんかにぜひ聴いていただきたいです。一歩踏み出す勇気をもらえるような作品なんじゃないかなと思います。
──最新アルバム「ホップ・ステップ・アップル」は多くの挑戦が詰まった作品だったかと思いますが、振り返ってみていかがですか?
タイトルの通り、1st、2ndと比べてもすごくステップアップできた作品だなと。この頃から、かわいさだけではなく年相応の艶っぽい表現の幅にも挑戦して。いろいろな経験を経て、まさにリンゴのようにいい感じに、少し熟した部分も感じられる作品なんじゃないかなと思います。
──小倉さんに「Baby Sweet Berry Love」などのようなキュートでラブリーな印象を持っている方は、サブスクでシリアスなナンバー「雨の森はウソつき」などを聴くと驚くかもしれませんね。
確かに。「雨の森はウソつき」「FARAWAY」ではダークトーンの声色を使いこなせるようにチャレンジしてみました。私のイメージを少し破れた曲なんじゃないかな。バラードの「ショコラ」もすごく好きな曲ですし、自分で作詞をした「ピーナッツ」も思い入れのある楽曲なので、ぜひ聴いていただきたいです。私自身、3rdアルバムあたりでやっと自分の見せ方がわかってきたような気がしていて。これが自分の中での再スタートというくらいの気持ちで作った1枚ですね。
──小倉さんのディスコグラフィにはシングルのカップリングにも数々の素晴らしい曲がありますが、サブスク解禁を機にぜひ聴いてほしいというカップリングの推薦曲はありますか?
私的には「Look@Me♡」(2020年6月発売のシングル「ハピネス*センセーション」カップリング曲)が特にお気に入りです。この曲はもう、自分よりもうまく歌える人を作りたくないなという思いで歌いました(笑)。私にしか歌えない!と思ってもらえるくらい、キラキラした世界観を作ろうって。
──器用にいろんな曲を歌いこなしている印象がありますが、小倉さんの中でも「これだ!」という得意ジャンルがあるわけですよね。その真ん中をいくのがキュートなポップチューン「Look@Me♡」だったと。
はい。「Honey♥Come!!」とかもそうなんですが、こういう曲だったら任せてください!という気持ちでいます(笑)。