小倉唯が8枚目のシングル「白く咲く花」をリリースした。彼女が学生生活を終えるタイミングで発表した今作には、卒業をテーマにした3曲が収録されている。
表題曲「白く咲く花」は、凛とした力強さとしなやかさを感じさせるナンバー。キュートでポップなパブリックイメージを持つ彼女の卒業ソングが、そのイメージと異なる挑戦的な1曲になったのはなぜなのか? 小倉が初めて作詞を手がけたカップリング曲「かけがえのない瞬間」についてもじっくりと語ってもらった。
取材・文 / 中川麻梨花 撮影 / 上山陽介
- 小倉唯「白く咲く花」
- 2018年3月14日発売 / KING RECORDS
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期間限定盤 [CD+DVD]
1944円 / KICM-91834 -
通常盤 [CD]
1296円 / KICM-1834
- CD収録曲
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- 白く咲く花
- ずっとふたりで
- かけがえのない瞬間
- 白く咲く花(off vocal ver.)
- ずっとふたりで(off vocal ver.)
- かけがえのない瞬間(off vocal ver.)
- 期間限定盤DVD収録内容
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- 「白く咲く花」MUSIC VIDEO
- 「かけがえのない瞬間」MUSIC VIDEO
- 「白く咲く花」 MAKING
- LIVE「Smiley Cherry」から昼公演の「Happy Strawberry」「Tinkling Smile」
1人の人間としての思いを反映した
──今回「卒業」をテーマにしたシングルになったのは小倉さんが学生生活を終えるこのタイミングに合わせて、ということですよね?
そうですね。初めてのノンタイアップのシングルだということも踏まえて、今回はより私個人に焦点を当てて作った作品になっています。
──表題曲の「白く咲く花」はメロディも歌詞も凛としていて、一本芯の通ったメッセージ性の強い曲になっていますよね。世の中の卒業ソングと言えば、切ない別れを歌ったものから明るく前を向いて歩いていくポップなものまでいろんな曲がありますが、小倉さんにとっての卒業タイミングでの表題曲がこういう曲になったのはなぜだったのでしょう。
今回「卒業」というテーマに対して3曲それぞれ違う方向性の曲になっているんですが、その中でも「白く咲く花」は学校というものから解放されて、また新しいステップへと踏み出すことを現実的に捉えた曲になっています。より素の私に近いと言いますか……1人の人間として、小倉唯としてもっと強くありたいという思いだったり、ここから向かっていかなきゃいけない目標に対して誠実に突き進んでいきたいという気持ちを反映させていただきました。
──新しい一面を見せるような挑戦の曲でありながら、小倉さんの生き方をそのまま反映したような1曲になっていますね。特にCメロの「たおやかでもタフな大人(ひと)でいたい」というフレーズは小倉さんそのものなんじゃないかと。以前「Honey♥Come!!」(2015年8月発売の5thシングル表題曲)のインタビューでは「弱みを見せたくない。いつも小倉唯でいたい」というふうにおっしゃっていました(参照:小倉唯「Honey♥Come!!」インタビュー)。
そんな言葉を吐き捨てていたんですね……! 恥ずかしい(笑)。
──今でも自分の中に意識的に「人に弱みを見せたくない」と強くあろうとする部分はあります?
そうですね……根本的にはずっとあると思うんですけど、「Honey♥Come!!」の頃と比べると最近はかなり自己開示をできるようになってきたかな。
──それは何かきっかけが?
何でだろう……でも前は力を抜くこと自体、あまりよくないことだと思っていたんですよ。パフォーマンスにしても仕事1つにしても常に自分ができることに全力を貫こう、みたいな。でも大学に入ってからの数年間で、肩の力を抜いたらその仕事に対して力を抜いてるのか?と言うと、そうではないのかなと感じるようになって。もちろん全力でやってたからこそ出せたものもあるけど、それが全部正解なわけではなくて、少しリラックスして心にゆとりを持たせることでできるお芝居だったり表現だったりがあるということに気付きましたね。
今だからこそ歌えた楽曲
──「白く咲く花」は「Honey♥Come!!」と同じく作曲が俊龍さん、作詞が大森祥子さんです。大森さんには小倉さんから「今回こういう内容を歌いたい」ということを伝えていたんでしょうか?
はい。私のほうから希望を出させていただきました。実は最初もっと柔らかい歌詞だったんですよ。ここまで芯の強い感じのカッコいい歌詞ではなくて、もうちょっとキラッとした、普段の小倉唯のイメージに近いような歌詞をいただいて。それもすごく素敵な歌詞だったんですけど、今回は自分の卒業のタイミングなのもあって、やるからには今しかできないチャレンジをしたいなという思いがあったので、「違った方向性のものも見てみたいです」とご提案させていただきました。それで上がってきたのがこの歌詞ですね。
──先ほどこの曲について「素の私に近い」とおっしゃっていましたが、上がってきた歌詞の1文1文を見て「これは自分に重なるな」という認識はありましたか?
ありましたね。自分で言うのもあれなんですけど、私すごく正義感が強くて。曲がったことは嫌いだし、自分が信じるものを大事にしていて、それを信じるからこそ見える世界や妥協しない心をずっと自分のモットーとしてきたんです。なので、こういう強い歌詞を投げかけられるのはうれしかったですね。かつ、私は現代の情報化社会に不信感を持っているタイプの人間で。今の世の中ってすぐ風潮や言葉に流されやすいけど、みんなが言っていることが本当に正しいのか、自分が本当はどう思ってるのか……そういうのって普通に暮らしてたら気付かないと思うんですよ。それが当たり前になっちゃってて。だからこの歌詞は私の中にもすごく響きました。
──俊龍さんにも曲調の希望は出していたんですか?
はい。最初にお願いするときに、今回はさわやかで力強さもある曲にできたらというアイデアをスタッフさんと一緒に話し合ったうえで出させていただきました。
──同じく俊龍さん作曲のデビュー曲「Raise」も凛とした雰囲気がある曲調でしたが、「白く咲く花」には同時にしなやかさもありますね。
しなやかさとか柔らかさとか、この感じは今の自分にしか出せなかったような気がします。癖になるリズムや音の取り方があったりするし、あとは技術的な面でも難易度が高い曲ですね。サビで裏声と地声が交互に織り交ざる部分が多かったり。そういうことも踏まえると、ホントに今だからこそ歌えた楽曲だと思います。
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こういう面も見せていいんだ