小倉唯|私からみんなへ、今届けたい初めてのクリスマスソング

世の中楽しいことがいっぱい

──2020年は未曾有の1年でしたが、この曲では日常的な幸せが描かれていますよね。クリスマスツリーに飾り付けをしたり、一緒に海外旅行に行ったときのアルバムを見たり……。

小倉唯

私自身、こういう1年だったからこそ、普段生活する中にも些細な幸せや楽しい思い出がたくさんあるなと気付いて。この曲では“思い出”がテーマの1つになっているんですが、日常的な人とのやり取りや些細な出来事も振り返ってみれば素敵な思い出だよね、ということや、こんな世の中でも楽しいことって実はたくさんあるんじゃない?という思いを伝えられたらいいなと思いました。

──具体的にはどういう物語を想像しながら歌いましたか?

1番は、外で待ち合わせをしているようなイメージ。2番は、お家で今までの楽しい思い出を大切な人と一緒に振り返っているようなイメージで歌いました。主人公の相手は恋人に限らず、お友達、家族でもいいと思います。歌詞ではあえて相手が誰なのかを明確にしていないので、皆さんにとって大事な人との思い出に当てはめて聴いてほしいです。

──今年は世界的に大変な1年でしたが、それでも「素敵な一年を過ごして キラキラの思い出ばかり」と歌うことに小倉さんの信念のようなものも感じて……そもそも小倉さんの8年間のソロアーティスト活動の中で、自分の未来のことで悩んだり下を向いたりしているような曲ってほとんどないと思うんです。

確かにそうかもしれないです。

──でも小倉さんが実際に突き抜けてポジティブな人かというと、「私、自信あります!」という感じの人でもないような気がして。どちらかと言うと、みんなに認められたい、受け入れられたい、そのためにはどうしたらいいんだろう?という気持ちを原動力に活動されている印象があるんです。でもこういうふうに明るくて前向きで、温かくて幸せな曲が多いのは、ご自身でもそういった曲を歌っていきたいという信念があるんでしょうか?

どうなんだろう……自分で言うのもあれなんですが、それは、私自身が向上心の塊だからかもしれないです(笑)。常に今よりよくなるためにはどうしたらいいのかということを考えてしまうので。壁にぶつかっても、じゃあその状況を改善するためにはどうしたらいいのかという効率的な方法を考えたいんですよね。落ち込むくらいなら、何がよくなかったのかを分析して、この目標を達成するためには、何するべきなのかって。結果的に、今はこういう状況だけど、いずれこうなるためにがんばりたいという、マニフェストのような曲が多くなっているのかもしれません。

──壁にぶつかったとき、ネガティブな感情を歌で吐き出したくなることはないんですか?

アーティスト活動においては、自分の心情をダイレクトに伝えたいという願望はあまりないんですよね。どちらかというと、経験上よかったことも悪かったことも、まず自分の中で感情を1回消化してから「こういうことがあっても乗り越えられるはずだからみんなもがんばってね」というようなメッセージを届けたいかな。ファンの方は私の感情をぶつける存在じゃないと思うし、それよりは、皆さんに私自身の“パフォーマンス”を楽しんでいただきたいという気持ちが強いんです。

小倉唯

これからもずっとよろしくね

──「Very Merry Happy Christmas」では弾むような楽しい気持ちを歌で表現されていますが、レコーディングはいかがでしたか?

高低の音程差がかなりあるので、思い通りに歌うのが難しい場面もあったんですが、ドキドキワクワクしている感じを声に乗せようと意識して歌っていたら、歌っているうちに、どんどん楽しくなっていって。サビでは抑揚のつけ方をこだわってみたり、Aメロは情景が浮かぶような場面なので感情を入れて歌ってみたりしました。

──終盤に「これからもずっとよろしくね」というセリフが出てきますが、これは小倉さんからファンの方へのメッセージとも受け取れるような気がします。

そうなんです。何かハッとするような台詞を入れられたらいいなと思って。大切な人たちと年明けを迎えるにあたって、みんなが相手に何を伝えたいかなと考えたときに「これからもずっとよろしくね」という言葉が一番しっくりきて。私からファンの方へ向けた気持ちとも重なるなと思って、アイデアを出させていただきました。

──これまでも台詞が出てくる楽曲はありましたが、この曲の「これからもずっとよろしくね」という言葉はファンの皆さんに向けての言葉でもあるからか、ナチュラルな言い方をされていますね。

はい。テイクを重ねて、いろんなバージョンを録りましたね。さりげなさを大事にして、中でも一番ナチュラルなものを選びました。隣にいる人に言っているくらいの距離感になっていると思います。

──この曲はファンの方にとってうれしいクリスマスプレゼントになると思うのですが、どのように受け取ってほしいですか?

今年の年末は、たくさんの人と一緒に過ごしたりするのは難しいかもしれないですが、この曲を聴きながら、自分の大切な人たちとの1年の思い出を振り返ってもらって、楽しい年末年始を過ごしてもらえたらいいなと思います。来年がより素敵な1年になるように、自分の中で思い出を整理してもらえたらいいんじゃないかな。この曲と一緒に幸せな時間を過ごしてもらえたらうれしいです。

──今回、ミュージックビデオは縦型なんですね。自分のスマートフォンのカメラで小倉さんを撮影したような、近い距離感の映像になっています。

今回は全編スマホの縦型の画面で撮影をしてもらいました。“思い出”が1つのキーワードになっている曲なので、MVでも日常の何気ない幸せな思い出を表現できたらいいなと思って。お正月の買い出しに行ったり、料理を作ったり……まるで私と一緒に暮らしているような距離感で映像を楽しんでもらえるんじゃないかな。

──ダンスの振り付けもかわいらしいですが、今回も小倉さんが考えたんですか?

はい。今回はスタンドマイクありきで振り付けをさせてもらいました。スタンドマイクでの振り付けって、今までありそうでなかったので、新しい挑戦でしたね。縦型ということもあって、横移動すると見切れてしまうんですよ。なので、常に縦に収まるダンスというところがポイントです。

いい意味で裏切りたい

小倉唯

──なかなか世の中が落ち着かない状況ではありますが、現段階で2021年のビジョンはありますか?

なんだろう……今まではファンの方の心情を考えながら作っていく曲が多かったんですが、これからはいい意味で皆さんを裏切ってみるような、少しドキッとさせられるような曲にチャレンジするのも面白そうだな。新しいことに挑戦しても皆さんに納得してもらえるように、自分のスキルや表現も日々確立できたらいいなと思っています。今までにないようなテイストの曲だったとしても、「あれ? こういうのもいいね!」と自然に受け入れてもらえるくらい。

──今後チャレンジしてみたいジャンルというと?

実は、シングルの表題曲でのダンスナンバーってまだやったことがないんです。なので、表題曲でしっかりダンスを見せるというのはずっとやりたい表現の1つですね。あとは、少しセクシーな感じの曲にも挑戦してみたいなと思っています。

──クリスマスイブの12月24日には初の配信ライブ「小倉唯 ONLINE クリスマス ライブ 2020 ~Winter Twinkle Magic~」があります。冬をイメージしたきらびやかなセットになるそうですね。

はい!「Winter Twinkle Magic」というタイトルの通り、キラキラした魔法をかけられるようなイメージ演出や、配信ならではのさまざまな仕掛けを取り入れる予定なので、ぜひ観ていただきたいです。かなり面白い内容になるはずだから、ファンの方は観ないときっと後悔する内容になると思います!(笑)