ナタリー PowerPush - nobodyknows+
街に生き、日々働き、フロウする幸せ
「nobodyknows+って、やっぱいいな」
──最後に改めて、これまでの4年を振り返って、今の音楽活動に対する思いを教えてください。まずCRYSTALさんはどうですか?
CRYSTAL 本当やらされなくなって、やりたいときに音楽を作るようになって。その結果、責任が持てるようになったんじゃないですかね。
──CRYSTALさんは4年間に2枚のソロアルバムを出しましたが、ソロ活動をやってみてどう感じました?
CRYSTAL nobodyknows+って、やっぱいいなって(笑)。
全員 うわははははは!(笑)
CRYSTAL そこだな、一番の成長は(笑)。1人でやるときのライブなんかもう、1時間くらい前から緊張と不安で鬱病みたいになってるけど、メンバーといれば本番10分前までキャッキャやってて。フォローしあえるというか、すげえ頼もしいメンバーとやってるんだなっていうのを、1回外に出て見たのがよかったですね。
──ヤスさんはこの4年間、どうでした?
ヤス 以前は音楽を作ってどっかにライブに行ってみたいな生活がずっと続いてたんで。それをもうちょっとゆっくりしたペースでやると決めたときに、じゃあ、どうやって生活していこうかなっていうところから音楽以外のこともいろいろやるようになって、そうこうしてるうちに今度は自分たちで年末ライブを作れるようになったんで。今、このアルバムが出るっていうことで、こういうスタイルでやっていけるなっていうことがやっとひとつの形になったと思うんです。だから、またここからが楽しみだなって思ってます。
ライブ当日、開口一番「やったー、休みだ!」
──ノリさんは?
ノリ 言い方が悪いですけど、nobodyknows+が究極の趣味みたいな。みんなで地方にライブに行くときとか楽しくてしょうがないですもん。朝から酒飲んじゃいますから、今日は畑行かなくていいんだと思って(笑)。
CRYSTAL 地方でライブがあったとき、1回、コイツ、イベンターさんの送迎車に乗った瞬間に「やったー、休みだ!」って言いましたからね(笑)。「違う、ライブだから! 仕事、仕事!」って。ましてやイベンターの人の前で言っちゃダメって(笑)。
ノリ あはは(笑)。けど、リリックも今はすごい肩の力が抜けて、本当にバーッと書けるんですよ。前はずーっと作ってるみたいな感じだったけど、今は畑から帰ってきてスタジオに行くまでの2時間で書こうとか、たぶん集中力が上がったんだと思う。小学生が家に帰ってきてプラモデルを作ってるようなもんですよ、「今日はコレ作るんだ!」みたいな。
──ナシさんは?
ちび 今は日々生活するために働いてるし、それって普通に街で暮らしてる人と同じじゃないですか。だから、溜まるものもみんなと同じだし、その中で名古屋っていう街を盛り上げたいっていう気持ちは今でもずーっと変わらないし。そこで出てきた言葉だから親近感があるというか、より伝わる言葉が多くなったかなっていうのは自分でも感じてるんです。ライブも、音楽だけしかやってなかったときと比べると、気持ちや生活がちょっとずつ変わってきてるから爆発力とか放つエネルギーが大きくなってるんじゃないかと思う。
正しい音楽のあり方は街と子供が教えてくれる
──MITSUさんは?
MITSU 今は本当に自然でいいなと思ってます。僕は音楽のあり方っていうのをずっと考えてるんですけど、僕らの今の形がある意味すごく正しいと思うんですよ。例えば失恋したとするじゃないですか。次の日に朝起きたらテレビからいろんな音楽が流れてきて、CD屋に行けばこんなんもありますよ、こんなんもありますよ、この歌手はあなたの気持ちをすごく歌ってくれてますよって言うんですけど、ウチの4歳になる子供が、僕に怒られてしょんぼりしたあとに「パパに怒られた」みたいな歌を普通に歌うんですよ。「♪今日はーパーパに怒られたー」とか勝手なメロディで歌ってて。ブルースにも似たような(笑)。
──適当に自分で作って口ずさんでると。
MITSU そう。人は自分の気持ちをちゃんと歌うことができるんですね。それが歌のあり方だと僕は信じたいところがあるんです。人に売るものでもないし、人に聴かせるものでもなくて、大前提として「自分が自分のために歌うもの」っていうのが音楽として正しいあり方なんじゃないかと思うんです。そういう意味では、さっきのノリの話じゃないけど「今日は畑でいい汗かいた」「よし今日は歌いたい気分だ」みたいな感じで歌う。今はカラオケがあるから「歌う」ということに関してはそっちのほうが手軽だけど、それを自分の言葉で歌えるかどうかっていうのがすごい本質のような気がするんですよね。で、それがどういう人に向けて歌われているのかって考えるのは聴き手の受け止め方次第。だから批判されてもいいし、周りの評価も特になんとも思ってなくて。これが「どうやったら売れる?」ばっかり考えてる人にはそんな評価さえすごいストレスなんじゃないかな? それこそ「音楽のあり方」としては本末転倒だな、と思いますね。
──そういう意味では今はノンストレスだし、かえっていいものが作れていると。本当、ノビノビと音楽をやってる感じなんですね。
CRYSTAL っていうか、マジメに働いてます(笑)。
ヤス あはは(笑)。間違いない。
──マジメに働きながらノビノビ音楽やってますと。あ、違うか。マジメに働くことでノビノビ音楽やれてます、かな。
CRYSTAL ああ。そっちですね。それはすごくあるかもしれない。
ノリ うんうん。
CRYSTAL 歌でメシ食いたくてがんばったけど、今働きながら音楽やってると、歌えるっていうことがそのときよりすごい幸せに感じられてるから。
──で、俺たちはこれからもそういう方向を求めて進んでいきますと。
MITSU うん。というか、たぶん、いよいよそういうふうになってくると思うんですよ。今、CDは何千枚っていう売り上げが普通だったりするじゃないですか。で、中には採算が取れないって理由で製作費も出してもらえない、つまり曲もリリースできないような「メジャーアーティスト」もゴロゴロいる。そうなったとき、なんのために音楽をやってるんだろうな?って。いよいよみんながそう思い始めたときに、とっくにこっちは答えを持ってるっていう(笑)。そしてそれは、10年以上前に僕らが思い描き始めたときと何も変わらないこの形であり、そうやって活動を続けていけたら素晴らしいなと思うんですよね。
- ニューアルバム「nobodyknows+ is dead?」 / 2013年9月25日発売 / 2500円 / $TAX RECORDS / TNK-029
- ニューアルバム「nobodyknows+ is dead?」
収録曲
- nobodyknows+ is dead
- オ ヒ サ シ ブ リ
- Let's Dance
- Winds of Wins
- FOREVER
- Skit 1
- Worlds End feat.MASH
- Theme from nobodyknows+ pt.16
- No Regret
- Skit 2
- Fly High
- HOLD MY HAND feat. HOME MADE 家族, SEAMO
- L.B.S.(Laid Back Summer)
- 愛のテーマ feat.中村耕一
- MUST BE TRUE
- Join Us(Album ver)
nobodyknows+(のーばでぃのうず)
1999年に名古屋で結成された、4MC+1DJのヒップホップグループ(2007年3月までは5MC+1DJ)。以来、現在に至るまで名古屋を拠点に活動する。2003年にミニアルバム「nobody knows 3」でメジャーデビュー。ソウルミュージックをベースにした情感溢れるトラック、MC陣の個性豊かなボーカル、そしてリアルなリリックが共感を呼ぶ。その本領が発揮された2004年のシングル「ココロオドル」で大ブレイク。同年末、NHK紅白歌合戦初出演を果たす。その後もコンスタントなリリースやツアー、各地の夏フェスへの出場を経て、さらなる人気を獲得。2006年には47都道府県を回る全国ツアーを開催し、大成功を収める。2007年にはアルバム「vulgarhythm」、2009年には「best of nobodyknows+」をリリース。以降、メジャーレーベルを離れ、中日ドラゴンズの公式テーマソングを毎年制作し、愛知県の参議院議員選挙キャンペーンのCMソングを手がけるなど、地域密着型の音楽活動を展開。そして2013年10月、6年ぶりとなるオリジナルフルアルバム「nobodyknows+ is dead?」を発表した。