ナタリー PowerPush - nobodyknows+

街に生き、日々働き、フロウする幸せ

クラブシーンに適宜対応するためのサウンドデザイン

──実質的に幕開け曲となる「オ ヒ サ シ ブ リ」は、nobodyknows+らしいパーティ感にあふれた曲ですね。

CRYSTAL これは2年前の年末ライブ(「出張ネバーランド」)のために作った曲がもとになってて。

DJ MITSU

MITSU そう。ライブの登場用に作った曲だったんです。それをちゃんと1曲にしようっていう。

──最後のヴァースをヤスさんがキックするのは珍しいけど、次の「LET'S DANCE」はヤスさんがトップになっていて、絶妙な曲順だなと思いました。

MITSU ありがとうございます。けど、曲順だけは相変わらずわからないというか。もう並びはどの曲がどこでもいいんですよ(笑)。

──でも、今回はすごく気持ちいい流れでしたよ。特に5曲目まではアッパーな曲が次々に繰り出されて、めっちゃアガる流れで。

CRYSTAL うん。自分たちで言うのもなんですが、めっちゃまとまってると思いますね。

──その「オ ヒ サ シ ブ リ」や「LET'S DANCE」に顕著ですが、今回はEDM系の音を取り入れているのがひとつの特徴だと思うんです。

MITSU それはこっち(名古屋)のHMVの人にほめられました。「ようやくわかってきたね」みたいな(笑)。その人自身EDMとか一切聴かない人なんで、実際は皮肉だったりするんですけどね(笑)。

──正直驚いたんですよ。MITSUさん、EDMやるんだ!?って。

MITSU ほら、そういうことを言われるのが恥ずかしいから(笑)。「あ、EDMだ」とか言われるのもイヤじゃないですか。いや、イヤなことはないな(笑)。まあでも、CRYSTALとかは名古屋のクラブに今でもしょっちゅう遊びに行ってるんですけど、「LET'S DANCE」はそういうところでもかけてもらえる曲で。「ココロオドル」は今でもかけてくれてるし、それがかかってる時点でどうなんだ?って思うクラブシーンでもあるんですけど(笑)、そういうところにも適宜対応していかないと……。この時代を生きるグループとしてはよくないですからね(笑)。

この街で何をしながら音楽を作るのか

──あと、少し古い曲ですが、昨年に発表した「MUST BE TRUE」についても聞きたかったんです。これはどんな思いで書いた曲なんですか?

MITSU これは街のことだよね。この曲はヤスがサビを書いてますね。

ヤス一番?

ヤス 店をやってると自分たちの街で会う人の数が多くなってきて、いろんな人がおるなあって思ったんですよ。毎日誰か誰かに会ってるけど、普段は自分と似たような人にしか会わないじゃないですか。行動範囲が同じ人だったりとか、自分の仕事に関わる人だったりとか。でも、人を待つ側の仕事を始めて、小さな店にずっといると、「あ、こういう人もいるし、この街はこういうところなんだ」みたいな。特に昼間に動いたりするとそう思うんです。だから、あの曲では音楽以外で働いてる時間のほうが長くなったことで思う自分の街に対する気持ちとか、そのへんのことを書いたんです。

──僕はこの曲をちょっとシリアスに受け止めたんですね。メジャーを離れてこの曲を発表するまでの約2年、それぞれに兼業スタイルで活動し始めたわけだけど、「グループとしてここらでもうひと踏ん張り」みたいな気持ちを歌ってるのかなって。

MITSU ああ、なるほど。

──そういう意味では、かつて出した「T.R.U.E.」の延長線にあるような気持ちも込められているのかな、と思ったり。

CRYSTAL BOY

CRYSTAL 確か、「MUST BE TRUE」も年末ライブの最後に歌う曲っていうことを考えて作ったんだよね。

MITSU そう。全部を締めるような、この街についての思いっていう。

CRYSTAL その頃から年末のワンマンライブ「出張ネバーランド」に力を入れてたんですよ。だから集大成というか、自分らの決意表明みたいな思いは強かったかもしれないですね。

──昔話をすると、「T.R.U.E.」は、「ココロオドル」が売れて周りが騒がしくなってきたあとに、「いや、俺らはこういうふうにやっていきたいんです」っていう所信表明を書いた曲だったでしょう?

MITSU そうっすね。今さらの話になっちゃいますけど、1stアルバムのときは全員が「売ろう」と思ってやってたし、超資本主義というか、もう絶対売らなきゃダメだからねっていうことでやってたんですよ。だけど、そのあとに、みんな反省が始まったんです。音楽のあり方としてそれは正しいのかどうか。じゃあ、自己批判も兼ねて、その超資本主義な視点から1回離れて、自分たちはこの街で何がやれるんだろう?っていうところを思い直して書いたのが「T.R.U.E.」とか、2ndアルバムだと思うんです。そこから時間が経って、でもみんな、それぞれにメシを食わなきゃならないと。で、それぞれに何かを始めてがんばり、そんな環境の中でも常に音楽というものはあって、そこに対する答えのひとつが「MUST BE TRUE」になったような気がします。このままこの街で何をしながら音楽をやるのかっていう、その答えのひとつがこれですね。

ニューアルバム「nobodyknows+ is dead?」 / 2013年9月25日発売 / 2500円 / $TAX RECORDS / TNK-029
ニューアルバム「nobodyknows+ is dead?」
収録曲
  1. nobodyknows+ is dead
  2. オ ヒ サ シ ブ リ
  3. Let's Dance
  4. Winds of Wins
  5. FOREVER
  6. Skit 1
  7. Worlds End feat.MASH
  8. Theme from nobodyknows+ pt.16
  9. No Regret
  10. Skit 2
  11. Fly High
  12. HOLD MY HAND feat. HOME MADE 家族, SEAMO
  13. L.B.S.(Laid Back Summer)
  14. 愛のテーマ feat.中村耕一
  15. MUST BE TRUE
  16. Join Us(Album ver)
出張ネバーランド2013 ~大忘年会スペシャル~
2013年12月28日(土)
愛知県 名古屋CLUB DIAMOND HALL
nobodyknows+(のーばでぃのうず)

nobodyknows+

1999年に名古屋で結成された、4MC+1DJのヒップホップグループ(2007年3月までは5MC+1DJ)。以来、現在に至るまで名古屋を拠点に活動する。2003年にミニアルバム「nobody knows 3」でメジャーデビュー。ソウルミュージックをベースにした情感溢れるトラック、MC陣の個性豊かなボーカル、そしてリアルなリリックが共感を呼ぶ。その本領が発揮された2004年のシングル「ココロオドル」で大ブレイク。同年末、NHK紅白歌合戦初出演を果たす。その後もコンスタントなリリースやツアー、各地の夏フェスへの出場を経て、さらなる人気を獲得。2006年には47都道府県を回る全国ツアーを開催し、大成功を収める。2007年にはアルバム「vulgarhythm」、2009年には「best of nobodyknows+」をリリース。以降、メジャーレーベルを離れ、中日ドラゴンズの公式テーマソングを毎年制作し、愛知県の参議院議員選挙キャンペーンのCMソングを手がけるなど、地域密着型の音楽活動を展開。そして2013年10月、6年ぶりとなるオリジナルフルアルバム「nobodyknows+ is dead?」を発表した。