ナタリー PowerPush - nobodyknows+
街に生き、日々働き、フロウする幸せ
オリジナルアルバムとしては実に6年ぶり! nobodyknows+が長い沈黙を破り、ついに帰ってきた。「nobodyknows+ is dead?」という意味深なタイトルを冠したニューアルバムには、期間限定配信だった「HOLD MY HAND feat. HOME MADE 家族, SEAMO」や、CDが全国流通していない中日ドラゴンズのチアチームの公式テーマソングを4年分まとめて収録。さらにメロウなニュージャックスウィング曲「Worlds End feat. MASH」や、オッサンの物憂い夏を描いた「L.B.S.(Laid Back Summer)」、その名もずばりの「オヒサシブリ」など、成熟したnobodyknows+節が味わえる新録曲が並ぶ。
結成当初から一貫して名古屋で活動し続け、今は音楽以外の仕事もそれぞれにこなしている5人。「best of nobodyknows+」のリリースを最後にメジャーレーベルから離れて4年、彼らはその間どんな思いで過ごし、本作を作りあげたのか。彼らの近況を聞くと同時に、兼業スタイルから見えた理想の音楽のあり方をたっぷり語ってもらった。
取材・文 / 猪又孝 撮影 / アラキシン
レスラー&農家、居酒屋オーナー、球場DJ
──まずはメジャーを離れてからの4年間について聞かせてください。その間の活動ペースは自分たちとしてはどんな感じでしたか?
DJ MITSU ソニーを辞めたあと、名古屋で自治体のイベントや企画に改めて積極的に携わってみたりとか、ちょっと視点を変えながら進んできた4年間だったんですけど、たぶんこれくらいのペースでいいんだと思うんです。例えば、その間にCRYSTAL(BOY)はソロをやったりとか、ヤス(一番?)は毎年ソロを作ろうと言うんだけどやっぱできないとか(笑)。
ヤス一番? あはは(笑)。
MITSU あとノリ(・ダ・ファンキー・シビレサス)はプロレスやDJを本格的に始めたりとか、いろいろやってて。4年かけてようやくペースがつかめるようになったって感じですね。ライブもそこそこあっち行ったりこっち行ったりしてるし。
──ライブはどれくらいのペースでやってたんですか?
MITSU 多いと月に6本とか7本とか。週末はどこかに行ってる感じですね。
CRYSTAL BOY けっこうやってますよ。10月くらいになると学園祭とかが入ってきてさらに増えますね。
──先日、ノリさんがフジテレビの「アウト×デラックス」に出演して「うっかりプロレスラーになってしまった紅白歌手」と紹介されてましたけど(ノリは現在、地元の今池商店街の活性化を目的としたプロジェクト今池が立ち上げたプロレス団体「今池プロレス」に所属)、今、皆さんは兼業スタイルで活動されてますよね。例えばノリさんは音楽活動と並行して、プロレスラーのほかに農業もやってる。そっちはどういうペースなんですか?
ノリ・ダ・ファンキー・シビレサス 農業(参照:Taskファーム長久手)はほぼ毎日で、プロレス(参照:今池プロレス)は週1ですね。
──確か、4年くらい前は野菜の移動販売をしてましたよね。
ノリ そう。売るほうから作るほうにスライド。今は作るほう専門になっちゃいました。
──当然、時期を見て育てるものも変えていくんでしょう? 夏はキュウリを収穫とか。
ノリ もちろん。けど、今はちょうど端境期に入っちゃって、なんもないっす。これからはサツマイモも出てきますし、ナスももう一回あるし。あと、葉物もいっぱい出てくるし、来年のタマネギの準備ももう始まるし。
──ヤスさんは居酒屋の「わかば屋」をオープンした。
ヤス そう。「わかば屋」とラッパー。「わかば屋」(参照:炭火黒もも焼き わかば屋)は生活の5割くらいですかね。週3日、4日出てる。ライブで地方に行くと、そこの日本酒とか魚介類とか仕入れてきたり(笑)。
セレクトショップのレアキャラとスタジアムDJ
──CRYSTALさんはセレクトショップ「BPM-CLOTHING STORE」(参照:BPM CLOTHING STORE)のオーナーをやっていて。たまに店にも立つんですか?
CRYSTAL たまにですね、レアキャラなんで。でも、僕はけっこうラクしてるほうですけど、みんな大変そうです。学園祭とか終わって「ハァ、今から仕事かあ」ってヤスとナシ(ちびまるおの愛称)が嘆いてて、「マジか」みたいな。
──そのナシさんは、4年のあいだにHIDDEN FISH→漫☆画二郎→ちびまるおと改名しましたよね。そもそも、なぜ改名したんですか?
ちびまるお なぜ改名したか?って言われるとその場のノリなんですけど(笑)。毎年、年末にやってるワンマンライブイベント「出張ネバーランド」のネタっていうのもあるし、そもそもあんまりHIDDEN FISHっていう名前で呼ばれたことがないですからね。漫☆画二郎でも呼ばれたことはないし、ちびまるおでも全然呼ばれない(笑)。
──ナシさんはMITSUさんが運営する「SOUL GROUND」(参照:SOUL GROUND)で相変わらずバーテンを?
ちび そうです。って、ほら、やっぱりナシって呼ばれるじゃないですか(笑)。
──すいません、そっちのほうが呼びやすくて(笑)。
ちび あと僕はナゴヤドームでの野球の試合のほぼ全部のスタジアムDJをやらせてもらってて。試合開始のときとか、イニング間とか、ドームがオープンしてから試合が終わるまで毎回バッチリ盛り上げてます。
CRYSTAL で、そのあとに朝5時まで働いてるんですよ、「SOUL GROUND」で。
ちび 店は基本20~5時なんで。
CRYSTAL だから、ライブとかで朝9時集合とかだと本当ボロ雑巾みたいなんですよ。やっと来た、なんとか来れたみたいな(笑)。
──この4年間は、そうやって各自が働いてる時間の合間を縫って楽曲を作っていくっていう感じだったんですか?
MITSU そうですね。
──毎週何曜日の何時からはグループの時間みたいに決めてたわけじゃなく?
MITSU そう。でも、締め切りだけはちゃんと決めて。そこに合わせてみんなやってくるっていう作り方をしてました。昔から変わらないです。
- ニューアルバム「nobodyknows+ is dead?」 / 2013年9月25日発売 / 2500円 / $TAX RECORDS / TNK-029
- ニューアルバム「nobodyknows+ is dead?」
収録曲
- nobodyknows+ is dead
- オ ヒ サ シ ブ リ
- Let's Dance
- Winds of Wins
- FOREVER
- Skit 1
- Worlds End feat.MASH
- Theme from nobodyknows+ pt.16
- No Regret
- Skit 2
- Fly High
- HOLD MY HAND feat. HOME MADE 家族, SEAMO
- L.B.S.(Laid Back Summer)
- 愛のテーマ feat.中村耕一
- MUST BE TRUE
- Join Us(Album ver)
nobodyknows+(のーばでぃのうず)
1999年に名古屋で結成された、4MC+1DJのヒップホップグループ(2007年3月までは5MC+1DJ)。以来、現在に至るまで名古屋を拠点に活動する。2003年にミニアルバム「nobody knows 3」でメジャーデビュー。ソウルミュージックをベースにした情感溢れるトラック、MC陣の個性豊かなボーカル、そしてリアルなリリックが共感を呼ぶ。その本領が発揮された2004年のシングル「ココロオドル」で大ブレイク。同年末、NHK紅白歌合戦初出演を果たす。その後もコンスタントなリリースやツアー、各地の夏フェスへの出場を経て、さらなる人気を獲得。2006年には47都道府県を回る全国ツアーを開催し、大成功を収める。2007年にはアルバム「vulgarhythm」、2009年には「best of nobodyknows+」をリリース。以降、メジャーレーベルを離れ、中日ドラゴンズの公式テーマソングを毎年制作し、愛知県の参議院議員選挙キャンペーンのCMソングを手がけるなど、地域密着型の音楽活動を展開。そして2013年10月、6年ぶりとなるオリジナルフルアルバム「nobodyknows+ is dead?」を発表した。