根本的なイメージは思春期と反抗期

──NIKIIEさんは1stアルバムのインタビューで、2ndアルバムの構想が既にあるとおっしゃっていました。そのときに思い描いていたものと今回完成したものを比べてみるとどうですか？

そのとき思い描いていたのは、1stは自分にとっての幼少期、2ndは思春期と反抗期みたいなイメージだったんです。繊細ですぐ壊れてしまいそうなんだけど、どこかに鋭い何かを持っている力強さがあるというか。そういう部分が2ndでは出せたらいいなと思っていたんです。当初は選曲まで思い描いてましたからね。ただ、1stを出してからの活動で音源に対しての声だったりライブで受け取るものだったりを吸収していく中で、だんだん形が変わっていったところもあって。

──それは当然とも言えますよね。光と影に対する思いもそうでしょうし。

そうそう。ただ、当初思い描いていた根本的な部分でのイメージは結局変わっていないような気はするんですよ。目的地は変わらずに、でもそこに至るための表現方法が自分の思い描いていたものとは違う、光と影をテーマとしたものになったっていう。そんな感じがしますね。

──タイトルも1stの段階で決まっているとおっしゃっていましたが……。

タイトルは全然違うものになりました。当初は自分の中の血というか性というか、そういう自分の性質みたいなものを表すタイトルだったんですけど、もっとシンプルにワンワードで伝わるものにしたいなと思ったので。結構ギリギリまで当初予定してたタイトルにしようと思ってたんですけど、いろいろ考えている中でポッと「Equal」が出てきて。自分が表現したかった思いに当てはまる言葉だと思ったので、それに決めました。

──いいタイトルだと思います。ただ、元のタイトルも気になりますけど（笑）。

ね。でも内緒です（笑）。言葉自体には思い入れがあるので、この先、曲名とかで出てくるかもしれないです。そのときはちゃんとお知らせしますね。

歌い方を開拓したレコーディング

──今回のアルバムの内容についてですが、前作と比べると格段に成長を遂げている印象もあって。NIKIIEさんが言うように前作が幼少期だとしたら、今作では確実に一歩大人になっていると思うんですよね。それは歌詞の深みや歌い方に、如実に表れている気がします。

ああ、歌い方は結構変わりましたね。今までは曲への思いをアレンジャーさんに伝えて、できあがってきたオケの世界観の中で、それを壊さないように歌っていたところがあったんですよ。でも、今回はアレンジの世界観を意識しながらも、思いのままに、自分が感じるまま、呼吸してるままにぶつかって歌うようになったんです。わりとライブに近い感情の使い方をして録っていったので、よりリアルになった部分はあると思いますね。

──表現の幅も曲ごとにグッと広がっていますよね。

そうですね、はい。言葉を噛むようなイメージで歌うっていうのは今までと変わらずなんですけど、その視点みたいなものが変わってきたんですよ。具体的に言うと、どんなにちっちゃいブースの中で歌ったとしても、自分の意識はすごく広いところ、ものすごく天井の高いところに持っていけるようになったんですね。だからこそ突き抜けるような声もより出せるようになったし、逆に地面を感じるというか、お腹からえぐるようにして声を出すこともできるようになって。そういう感覚はレコーディングしながらどんどん開拓していった感じでしたね。

──ボーカルに関して新しい扉が開けたと特に実感する曲ってあります？

全部がそうなんですけど（笑）……自分的にやったなと思ったのは「Morning in the dark」ですね。高い声を突き抜ける感じで出したり、低い声をあえてものすごく太く出したところが自分としては大きなチャレンジで。曲を作ったときから、これは歌い切れるかなって思ってたんですけど、実際レコーディングでは酸欠状態になりながら録りましたね。

NIKIIE像を壊したかった

──この曲には「光は影にならない影でできてる」というフレーズがあったりして、今回のアルバムのテーマを象徴している印象がありますよね。

そうですね。この曲は精神的に真っ暗な時期に書いたんですよ。でも、その時期は「hachimitsu e.p.」を出した頃でもあって。ってことは「hachimitsu e.p.」のような光を見出す作品を作っていても、暗い影の部分はにじみ出てくるっていうことだし、逆にどんなに暗闇の中であっても自分は光をいくらでも作っていけるんだなっていうことをすごく思ったんです。そういう思いがこの曲にはすごく込められてると思いますね。

──4曲目の「Un Deux Trois!」からも新しいNIKIIEさんの姿が感じられました。かなり衝撃的な曲ですよね。

これはもう新しい私です（笑）。やっぱり活動を続けていくと、良くも悪くもNIKIIE像みたいなものができてくるじゃないですか。それを壊したいなと思って書いたんですよね。メロディは突然マハラジャみたいになるボーダーレスな感じだし（笑）、歌詞では自由を求めてる気持ちを言葉遊びしながら書けたし、ほんとに感覚のままに作った感じですね。アレンジもセッションに近い形で作りましたし。

──見事にイメージをぶっ壊せましたね。

ぶっ壊せました（笑）。この曲は去年のツアーでやったんですけど、すごく楽しかったし、気持ちよかったです。