ナタリー PowerPush - NIKIIE

「Equal」で引き合う光と影

果たして自分はその“あなた”じゃないって言い切れるのか

──光と影が混在するアルバムの中で、特にシリアスな表情を感じさせるのが「mannequin」だと思います。これはどんな思いで生まれた曲ですか?

私は、自分では自分であるつもりでいても、知らないうちに誰かが望んでる自分になってしまっていたりとか、ふとしたときに自分が何をしたかったのかが見えなくなる瞬間っていうのがあるんですよ。上に兄がいて下に妹がいる真ん中っ子なので、お姉ちゃんである自分と妹である自分を無意識に繕ってたところがあったし、学校でも相手との距離を取りすぎることで自分が自分じゃない時期がすごくあったんです。それが自分のクセで、コンプレックスでもあったので、改めてまっすぐ曲にしてみたんですよね。

──自分のイメージを壊すために「Un Deux Trois!」という曲が生まれたことも、そういった思いが起因しているのかもしれないですよね。

かもしれないですね。今って、私だけじゃなくていろんな人が自分のやりたいことってなんだろう、自分ってなんだろうって葛藤してる時代だと思うので、そういう問いかけも含めて作ったところもありますね。

──この曲にある「私はあなたの操り人形」「私が踊ればあなたは悦ぶ」というフレーズの“私”と“あなた”は別々の存在とも受け取れるし、“=”で結んで聴くこともできますよね。NIKIIEさんはそういう歌詞の書き方をすることが多いような気がするのですが。

うんうん。そういう書き方をよくしますね。例えば曲を書く入口としては誰かに対する怒りから“あなた”という言葉を使っていたとしても、書き進めるうちに果たして自分はその“あなた”じゃないって言い切れるのかなってだんだん思うようになっていくんですよ。だから自分を“あなた”に置き換えてしまうっていう。なんでなんでしょうね(笑)。

──明確な対象がいて、そこに思いをぶつけるほうがきっとラクなはずですよね。

だと思います。素直に“あなた”だけを思って歌えたらいいのにって自分でも思います。そこに自分を重ね合わせるのはしんどかったりしますからね。

──でもそうしてしまうのは、NIKIIEさんの優しさであり、強さであるのかもしれない。

そういう歌詞の書き方は1stの頃から変わってはいないんですけど、自分が発信したものに対しての責任っていうのはどんどん強くなってきてはいるんですよ。そういう意味では、活動を続けてきた中でタフになったところはあると思いますね。自分が思ったことを迷わずに伝える強さがより出てきたかなって。今回、「Hero:」という曲では、今まで恥ずかしくてあんまり書けなかった言葉を書いたりもしてますし。

──そういう部分での成長も本作には詰まっていますね。

そういう強さはきっと、これからも曲として出てくるんじゃないかなって思いますね。

ライブをめちゃくちゃやりたい!

──このアルバムのリリース後、3月からはツアーも決定しています。今回はアコースティックスタイルでのライブと、バンドセットでのライブを3本ずつ行うんですよね。

はい。アコースティックは自分にプレッシャーをかける意味でのチャレンジです(笑)。

──バンドとは違う緊張感がありそうですよね。

1stフルアルバムのツアーで弾き語りをやったときはものすごく緊張しましたからね。でも、去年の「CHROMATOGRAPHY」のツアーファイナルのとき、ダブルアンコールで急遽「涙星」を弾き語りしたんですけど、そこでは家で歌ってるぐらいにリラックスした自分を初めて出すことができて、新たな自分の一面を感じることもできたんです。なので今回のアコースティックライブではそういう空気感も出していけたらいいなって思いますね。その場の温度みたいなものでどんどん空気が変化していくようなものに。

──バンドでのツアーは?

バンドはいつものメンバーなので安心して回れそうです(笑)。今回もオールスタンディングになるので、よりグルーヴを増した台風みたいなライブになったらいいですね。

──アルバムの曲たちがどう再現されるかも期待してます。

緊張ですね(笑)。「Morning in the dark」なんかは、レコーディングだからできることっていうのを結構盛り込んでるので、それをバンドスタイルのライブに落とし込んだときにどうなるのかが自分でも楽しみです。

──では最後に。ここから始まる2013年の抱負をお願いします。

えーと、ライブをめちゃくちゃやりたいです!

NIKIIE
ニューアルバム「Equal」 / 2013年1月30日発売 日本コロムビア
「Equal」初回限定盤[CD+DVD] 3360円 / COZP-747~748
「Equal」通常盤[CD] 2940円 / COCP-37789
CD収録曲
  1. Introduction
  2. Morning in the dark
  3. Darlin'
  4. Un Deux Trois!
  5. カナリア
  6. LIGHT
  7. Mother's cry
  8. Duty Friend
  9. mannequin
  10. Hero:
  11. 涙星
  12. Everytime
  13. From me to you
初回限定盤DVD収録内容
  1. カナリア(PV)
  2. 涙星(PV)
  3. Duty Friend(PV)
  4. Everytime(PV)
  5. Morning in the dark(PV)
LIVE INFORMATION
NIKIIE ACOUSTIC TOUR 2013 "Equal"
  • 2013年3月9日(土)北海道 札幌Revolver
    OPEN 17:00 / START 17:30
  • 2013年3月10日(日)宮城県 仙台KOFFEE CO.
    OPEN 17:00 / START 17:30
  • 2013年3月19日(火)福岡県 福岡ROOMS
    OPEN 18:30 / START 19:00
NIKIIE LIVE TOUR 2013 "Equal"
  • 2013年3月29日(金)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
    OPEN 18:30 / START 19:00
  • 2013年3月30日(土)愛知県 名古屋Electric Lady Land
    OPEN 16:00 / START 17:00
  • 2013年4月7日(日)東京都 代官山UNIT
    OPEN 16:30 / START 17:00
NIKIIE(にきー)

1987年茨城県生まれの女性シンガーソングライター。4歳からピアノを弾き、16歳の夏から作詞作曲を始める。高校時代のバンド活動を経て、17歳よりピアノ弾き語りでソロ活動を開始。高校卒業後に上京し、本格的にライブ活動を始める。精力的なライブ活動が現在のレーベルの目に留まり、2010年12月にシングル「春夏秋冬」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。3rdシングル「紫陽花」は、東日本大震災の発生を受けフリーダウンロードと無料CD配布の形でリリースされた。2011年7月、1stフルアルバム「*(NOTES)」を発表し、これに伴う初の全国ツアーを大成功に収める。2012年には「hachimitsu e.p.」と「CHROMATOGRAPHY」の2枚のミニアルバムを発表し、収録曲はアニメ「LUPIN the Third -峰不二子という女-」エンディングテーマやドラマ「科捜研の女」主題歌などに起用され話題を集めた。2013年1月には2ndフルアルバム「Equal」をリリース。