ナタリー PowerPush - NIKIIE

飾らない本心を歌にした1stフルアルバム「*(NOTES)」

昨年12月の鮮烈なデビューから、「春夏秋冬」「HIDE&SEEK」、そして震災を受けて0円で届けられた「紫陽花」という3枚のシングルを順調にリリースしてきたNIKIIE。そんな彼女が初のアルバム「*(NOTES)」を完成させた。

高校時代に生まれた曲からデビュー直前に紡がれた曲まで、言わばNIKIIE黎明期の集大成とも言える本作には、既発シングル曲はもちろん、ライブではすでにおなじみのナンバーなど多彩な才能を見せつけるカラフルな楽曲が並んでいる。聴き心地のいいメロディやサウンドをまといつつも、キレイごとだけではないリアルなメッセージを響かせるスタイルは、まさにNIKIIEだけにしかないカラーをしっかりと感じさせてくれる仕上がりだ。

ナタリーにはリリースごとに登場してくれているNIKIIEに、渾身の1枚について話を訊いた。

取材・文/もりひでゆき

初めてのアルバムはとにかく本音を歌った内容に

インタビュー風景

──本当に素敵なアルバムが到着しました! デビューからずっとここを目がけて走ってきた感じですか?

はい、目がけてましたね。デビューからというか、それよりもっと前、去年の3月くらいにスタッフの人たちと「これから一緒に作品を作っていきましょう」っていう打ち合わせをしてた段階ですでに1stアルバムは「NOTES」っていうタイトルで、こういう内容の曲が入ったアルバムを作りたいなって話していたんです。だからそこに向けてレコーディングしてきたっていう感じですね。

──そこまでビジョンが明確だったのはどうしてなんですか?

目先のことだけではなく、とにかく先、先を考えていたかったんです。そのほうが気持ちがブレずにちゃんと進んでいけると思ったから。なので初めましてのアルバムは、とにかく自分の生き方とか価値観とか、本音を歌った内容にしようと思っていたし、シングルに関してもどの曲をどの順番で出していくかっていうことはあらかじめ決めてました。

──計画的ですねえ。音楽以外でもそうやって綿密な計画を立てるタイプなんですか?

普段はそんなことないです。全然計画性のない人なんです(笑)。

──タイトルにはどんな意味が込められているんですか?

「NOTES」っていう単語自体にはいろんな意味が含まれてるけど、私の原点になってるのはやっぱり「ノート」で。私は中学生のときにひきこもってた時期があって、そのときに自分の中の誰にも言えない気持ちを全部ノートに書きなぐってたんですよ。それが作詞作曲を始めてから歌詞ノートに変わっていったんです。そこには自分っていうものが凝縮されていたので、1枚目のアルバムもそういう内容にしようと思ってこのタイトルに決めました。

──ちょっと面白い表記になっているのは?

アスタリスク(*)とカッコがつくんですけど、言語学ではこういう表記にするとカッコ内の単語は必要不可欠っていう意味になるらしくて。最初は単純にスペルだけのイメージだったんですけど、完成間近になってそれだけだと物足りない気がしてきちゃったんです。

──言語学は詳しいんですか?

全然詳しくないです(笑)。私の場合、目的に向かって何かを調べるとか、何かを探すっていうことはものすごい勢いでやるんですよ。なのでそこにたどりついたっていうか。計画性はないんですけどね(笑)。

ノートに書いた思いを共有できる瞬間がある

──NIKIIEさんにとって必要不可欠なノート。普段はどんなものを使っているんですか?

普通の大学ノートなんですけど、すごい使いこんでるのでボロボロで、表紙が取れてたり。ちなみに1冊目のノートはほんとに暗黒時代に書いてたものだったので、高校生のときに捨てちゃったんですよ。負の引力が強すぎて、これを持ってたら引きずられちゃうと思ったから(笑)。

──ノートに自分の気持ちを綴っていくと、日記がそうであるように、基本的には人に見せられないもの、見せたくないものになりますよね。

そうですね。基本、見せられないし、見せたとしたら「こんなこと考えてたんだ……」って相手を傷つける場合もあるし、ものすごくデリケートなものではありますよね。

──でもNIKIIEさんはノートに書かれた気持ちをバシッと曲にして歌うわけですよね。そこに怖さはないですか?

できた曲を最初に人に聴かせるときはものすごく怖いし、勇気がいりますね、どの曲も。でも自分の気持ちをさらけだすことによって、誰かとそのノートのページを共有できる瞬間もやっぱりあるんですよ。共感してもらうことによって、自分の気持ちを肯定してもらってるような感じにもなるし。で、そうなったときのパワーってものすごいから、そうなると曲がまた自分の中でどんどん大きくなっていくんですよね。

──NIKIIEさんの曲がものすごく正直なのはそんな理由からなんですね。

自分に偽りなくというか、感じたままに書いていきたいんですよね、やっぱり。

1stアルバム「*(NOTES)」 / 2011年7月13日発売 / 日本コロムビア

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 3200円(税込) / COZP-515~516 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 2800円(税込) / COCP-36815 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. NAME
  2. Kiss Me
  3. LUV SICK
  4. 春夏秋冬
  5. STAR
  6. カラノイズ
  7. 魔女
  8. 幻想フォルム
  9. HIDE&SEEK
  10. Interlude
  11. 紫陽花
  12. little summer
DVD収録曲
  1. 春夏秋冬(Music Video)
  2. 幻想フォルム (Music Video)
  3. HIDE&SEEK (Music Video)
  4. 紫陽花(Music Video)
  5. NAME (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
  6. Kiss Me (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
  7. LUV SICK (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
  8. STAR (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
  9. 魔女 (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
  10. TOXIN (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
  11. オトナコドモ (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
  12. little summer (LIVE「It's ME, NIKIIE TOUR!!」2011.4.10@DUO MUSIC EXCHANGE)
NIKIIE(にきー)

1987年茨城県生まれの女性シンガーソングライター。4歳からピアノを弾き、16歳の夏から作詞作曲を始める。高校時代のバンド活動を経て、17歳よりピアノ弾き語りでソロ活動を開始。高校卒業後に上京し、本格的にライブ活動を始める。精力的なライブ活動が現在のレーベルの目に留まり、2010年12月にシングル「春夏秋冬」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。3rdシングル「紫陽花」は、東日本大震災の発生を受けフリーダウンロードと無料CD配布の形でリリースされた。2011年7月、1stフルアルバム「*(NOTES)」を発表。9月より初の全国ツアー「NIKIIE LIVE TOUR 2011 *(POSTSCRIPT)」と「NIKIIE 弾き語りツアー 2011 *(PIANOSCRIPT)」を開催する。