テーマは“自分”

──ついに1stアルバムが完成しましたね。1曲1曲まっすぐな言葉と熱を持った、とても人間味あふれる作品だと感じました。詩織さん自身としてはできあがってみてどうですか？

新山詩織っていう人物が浮き上がってくるような、そんなアルバムになったと思います。最初は特定のテーマを決めてなかったんですけど、“自分”がテーマになったっていう感覚に近いです。

──「しおり」というアルバムタイトルも象徴的ですが、これは詩織さんが決めたんですか？

そうです。最初は漢字で「新山詩織」って書いてみたり、「詩織」にしてみたりしたんだけど、やっぱりなんか違うと思って……ひらがなで「しおり」って書いたときに一番しっくりきて。ひらがなって味があってきれいだと思うし、自分で言うのもあれだけど（笑）、深みが出たと思う。あとパッと目に止まりやすい気がしたのでこれにしました。

──曲順はどうやって決めていったんでしょう？

聴いてる人が飽きないように、どこかでちょっとでもつっかかったりしないようにっていうことを意識しながらいろいろと並べてみて、「こうしたら聴いてて気持ちいいかな」っていう流れを考えました。アウトロが終わって余韻に浸ってるときに、なんだろ、タイミング悪く次の曲が入ってこないようにアウトロとイントロの間とかも考えて。それを元にサウンドプロデューサーの笹路（正徳）さんと一緒に決めていきました。

──自分の意見はけっこう採り入れられました？

ほとんど生きてます。ただ初めに自分が提案したものでは「ゆれるユレル」は最後だったんですけど、笹路さんのアドバイスで「ゆれるユレル」と「Don't Cry」を逆にして。2曲目に「ゆれるユレル」を持ってきて3曲目に最新シングルの「今　ここにいる」の流れで聴いてみたら、「ああ、ここが正解だった」と思いました。デビューの頃から今の私へっていう流れがすごくよかった。

「ゆれるユレル」は原点

──アルバムの収録曲を見返してみて、一番印象に残っている時期はいつ頃ですか？

やっぱり「ゆれるユレル」のとき。何もかも、ほんとに初めてのことばっかりだったから……。たくさんの人と会ったりして、すごく深い毎日だった気がする。

──今の詩織さんから見て「ゆれるユレル」はどんな曲ですか？

デビュー曲でもあるので、自分の原点だと思います。自分にとっては、何かを大きく変えるためのスタートになった曲。一番包み隠さずに全部出しきったし、ほんとに大事な曲になってます。

──では自分が一番変わったと思うタイミングは？

「ひとりごと」のときです。根っこの部分は変わってはいないと思うんだけど、なんとなく何かがちょっと切り替わったような気はしました。それまではひたすら自分に対して励ますように、気持ちを高めるためにわーっと歌ってたけど……「ひとりごと」の歌詞を書き終わったあとから、「私はこれからちゃんと人に向かって歌を発信していくんだ」っていう意識が高くなったと思います。