ナタリー PowerPush - 新山詩織
「前に進みたい」卒業前の素直な気持ち
新山詩織の4thシングル「今 ここにいる」は、「今は見えなくても 揺るぎない想い ひとつあれば 誰よりも輝き 羽ばたける きっと 涙が希望に変わる」というまっすぐな歌詞が印象的なナンバー。高校卒業を目前に控え今まさに新たな一歩を踏み出そうとしている新山は、同年代のアスリートに共鳴し前向きなメッセージソングを書き上げた。
今回はそんなタイトル曲に込めた思いや、敬愛するチバユウスケが歌うThe Birthday「ピアノ」をカバーした理由、昨年のワンマンライブで感じたことを質問。インタビューを通して、彼女が今どのような思いで過ごしているかが見えてきた。
取材・文 / 伊藤実菜子
がんばる人の隣にある曲になってほしい
──「今 ここにいる」は前作「ひとりごと」で見せた前向きな姿勢が明確になった歌詞だと思いました。今回はネガティブな言葉が見当たらないし、強い信念も感じられて。こういった歌詞を書こうと思ったのはなぜですか?
きっかけは髙梨沙羅さんが出るクラレ企業CMのタイアップのお話をいただいたことです。スキージャンプはテレビでちょこっと観たりするだけだったので、あんまりどういう種目なのかわからなくて家でいっぱい調べてたら、髙梨さんが坂を降りて飛ぶ瞬間の映像とか「もっと高く飛びたい」っていう言葉が印象に残って。そういうのを観て「この人はほんとにただ前をまっすぐ見つめていて、上を目指して進んでいくって決めてる人なんだなあ」って思ったんです。ほんとにすごい結果をたくさん出しているけど、その結果を出すまでにきっと楽しいこともつらいこともいっぱい積んできたんだろうなって勝手に想像したりもして。それで、この曲は私が髙梨さんに向けて書くんじゃなくて、自分が髙梨さんの気持ちになって、髙梨さんの目線で歌詞を書こうと。
──自分の中にあった気持ちというよりは、髙梨さんに触発されて出てきた歌詞なんですね。
でも、自分自身もあと少しで卒業っていうところで思うことはあって。自分みたいにこれからがんばって前に行かなくちゃいけない人が年齢関係なくたくさんいると思うので、そんな人たちの支えに少しでもなれたらいいなあっていう気持ちがありました。
──最初はどういうところから書きはじめましたか?
まず「羽」っていう言葉をキーワードにして。髙梨さんが飛ぶ瞬間はほんとに羽を広げて踏切台から飛ぶような感じがあるんですけど、それって自分が今前に進みたいって思ってるイメージと同じだなあと思って。曲の雰囲気にも合わせて、高く上に飛んでいくような感じで書いていきました。
──髙梨さんの目線で書いたという予備知識なしで歌詞を読むと、全体的に詩織さんの音楽に対する思いや決意がこめられているような気がしました。そのあたりはどうですか?
この歌詞は髙梨さんに入り込んで書いた部分が大きいので、たぶん自分のそういう気持ちは、自分でも知らない間に入っていたのかも。
──無意識なんですね。
今回はいろんな場面、いろんな状況でがんばる人の隣にある曲になってほしいっていうことを一番に考えて書いたので。単純にそういう人たちに届けたいっていう気持ちが大きいです。
武器は声
──ただ髙梨さんの気持ちを汲んだにせよ、こういったポジティブなメッセージソングを詩織さんが書いたのは意外でした。
うーん……。今回は今までとは違う新しさがあるけど、こんな私もいるってことだと思います。聴いた人がちゃんと自分自身を見つめられるところは変わってないと思う。
──では、新山詩織だけの武器を挙げるとするならなんだと思います?
……声かな。自分で言うのもあれだけど(笑)。
──それはなぜですか?
声ってその人の雰囲気がちゃんと出るものだと思ってて。自分は「今 ここにいる」のような曲を歌っても、元気いっぱいな感じにはならないし、無理してもそんなふうにはできないから。そういう自分らしさがそのまま歌に出てるというか。ほかの人が歌ったらまた別の曲になっちゃうんじゃないかなあと思うし。ちゃんと自分だけの曲にできるところだと思います。
高校生のうちに歌いたかった
──カップリングはThe Birthday「ピアノ」のカバーです。チバユウスケさん好きを公言している詩織さんにとっては念願叶って、という感じですね。
チバユウスケさんの曲をカバーしたいっていう気持ちはずっとあって。自分の中では高校を卒業する前に、高校生のときに出会って好きになったチバさんの曲を歌いたいと思ってたんです。
──数ある楽曲の中で「ピアノ」を選んだのはなぜですか?
歌詞の内容が今の季節にすごく合ってるし、何よりも大好きだったから……。とにかく歌ってみたいっていうのが一番でした。今まで何回も何回も聴きながら、もし自分が歌ったらどうなるだろうって考えてたくらい。ほかにもやってみたいと思ってた曲はいくつかあったんですけど、その中でもやっぱり、「この曲がやりたいです」って言って。
──ちなみにそのときに挙がっていた候補曲はなんだったんですか?
チバさんがPUFFYに楽曲提供した「誰かが」です。あと、ダメ元で提案してみたのは「キャンディ・ハウス」(THEE MICHELLE GUN ELEPHANT)とか。ROSSOの「シャロン」も出しました。
──「シャロン」は前回のインタビュー(参照:新山詩織「ひとりごと」インタビュー)でチバさんを知ったきっかけの曲だとおっしゃっていましたが、それほど特別な曲よりも「ピアノ」を選んだんですね。「ピアノ」のどんなところに惹かれるんでしょう?
今までいっぱいチバさんの曲を聴いてきたけど、「ピアノ」はほかの曲にはない、森の中を漂ってるような感覚があるというか。スーッと意識が遠のいて、その間に自分で自分のことを見つめていて、曲が終わってハッと気付くみたいな……。難しいな。なんか大好きすぎて曖昧なことを言いたくない(笑)。なんて言うか、すごく不思議な感覚に陥るんですよね。
» 初めての一発OK
- ニューシングル「今 ここにいる」 / 2014年2月12日発売 / ビーイング
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 1365円 / JBCZ-6005
- 通常盤 [CD] / 1050円 / JBCZ-6006
CD収録曲
- 今 ここにいる
- ピアノ
- 今 ここにいる -instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
- 「今 ここにいる」MUSIC CLIP
1stライブツアー「しおりごと」
- 2014年4月20日(日)大阪府 Shangri-La
OPEN 17:00 / START 17:30 - 2014年4月26日(土)東京都 WWW
OPEN 17:30 / START 18:00
イベント出演情報
- Melody of You
- 2014年2月16日(日)東京都 TSUTAYA O-WEST
OPEN 17:30 / START 18:00 - つしまみれ×FLiP×新山詩織
- 2014年3月15日(土)福岡県 Queblick
OPEN 17:30 / START 18:00 - HAPPY JACK 2014
- 2014年3月16日(日)熊本県 熊本市内
※新山詩織の出演時間、会場は後日発表。 - MbS×I ♡ RADIO 786「SANUKI ROCK COLOSSEUM」 ~BUSTA CUP 5th round~
- 2014年3月21日(金・祝)香川県 高松市内
※新山詩織の出演時間、会場は後日発表。
新山詩織(にいやましおり)
1996年生まれのシンガーソングライター。幼少期より父親の影響でブルース、パンク、ロックを聴いて育つ。2012年、ビーイング主催の新人発掘オーディション「Treasure Hunt ~ビーイングオーディション2012~」に「詩織」名義で出場。オリジナル曲「だからさ」と椎名林檎「丸の内サディスティック」を弾き語りで披露してグランプリを獲得する。同年12月、新山詩織としてアーティストデビュー。2013年4月に笹路正徳をサウンドプロデューサーに迎えたメジャー1stシングル「ゆれるユレル」をリリースし、7月には映画「絶叫学級」の主題歌として書き下ろした「Don't Cry」を2ndシングルとして発表した。2014年2月、女子スキージャンプの髙梨沙羅が出演する株式会社クラレの企業CMソングに採用された4thシングル「今 ここにいる」をリリースする。